明治学院大学社会学部MENU

水谷ゼミ

水谷 史男(専攻領域:職業の社会学)

教員紹介ページへ

職業としてのアート

テーマの説明

これまでこのゼミでは職業・労働の問題、つまり人が働くことを通じて何を実現し何を苦しむのかを、社会階層論の視点で考えるというテーマで続けてきました。しかし、私は2017年度末で退職予定なので、このゼミが明学最後となります。そこで、最後にちょっと特殊なテーマに絞ってゼミをやろうと思っています。

今の日本で自分の力で仕事を見つけ、仕事の中で充実した生活や夢のある未来を手にするのは、なかなか簡単ではない。大学2年生にとっては、いずれ就活が迫ってくるはずだし、自分がどんな仕事をしていくのか見えてこないと当然不安になるでしょう。大学に行って、単位をとって卒業できればなんとかなる、と思っていた自分が、そんな甘い社会に生きているのではない、ということを4年生で就活すると骨身にしみて知るわけですね。それでは遅い!諸君は社会学をやっているわけだから、この社会のなかで職業を通じて生きていくシステムが、どういう構造の中で成り立っているかを考えることができるはずです。そこで、ゼミで職業・労働を社会学として考えてもらうと同時に、ひとつの応用問題として、「アート」を職業にするとはどういうことか、あるいは「アート」で生きている人々は何をやっていて、何を悩んでいるのか。これを社会学でやってみよう、というわけです。

ここで「アート」と呼んでいるのは、狭い意味の芸術創作に限らず、美術、デザイン、建築、音楽、演劇、舞踊、映像、お笑い、といった文化的表現活動全部のことです。一般に「アート」は普通の仕事とは違うと思われていますが、現代の日本では「アート」を仕事にしている人はかなりたくさんいて、産業として広がっています。でも、職業・労働の問題として見てみると他の職業と共通する問題もあり、むしろ「アート」には資本主義というシステムの矛盾が鮮明に表れていると考えられます。まずは、「職業としてのアート」という視点をよく考えて、現実に「アートで飯を喰う」人たちが何をやっているか、1年間自分なりに追求してほしいと思います。

使用予定テキスト・主要な参考文献

この問題に関して、必ず読むべき本はさほど多くはないけれども、一般向けにわかりやすく書いた本はほとんどない。美術ならH・リードやK・クラーク、音楽ならM・ヴェーバーやT・アドルノなどが基本ですが、翻訳はあってもたぶん諸君には歯が立たない。とりあえず、ゼミが決まったら読書リストを渡すので、読んで下さい。

ゼミのすすめ方

ゼミでは、いつも新学期の始まる前に、事前の予備ゼミを一日かけてやります。それから授業が始まるといくつか本をみんなで読んでいきます。しかし緊張感はここまで、たいていの場合、自分の発表に当ったときだけレジュメを作り発表すると安心して、これで単位は大丈夫と見切った時点で平気で欠席するする人が出ます。しょうがねえなあ~、とぼくは失望して絶望します。夏には夏合宿を2泊3日でやりますが、英文を読んだり課題発表をするときは、ほとんど眠そうに何も聞かず発言もしない人に限って、自由時間に遊んだり、酒の入る夜のコンパでは張り切って盛り上がって騒ぎます。ぼくは、ああ、この子たちはこういう楽しい機会が欲しいんだな~、と思っていっしょに騒ぎます。楽しい夜。

秋になるとお約束のゼミ論文(12,000字)にむけた発表。ここでも、なんとかなるさの気分が漂う中、そろそろ就活の不安がきざします。もし、単位と成績という縛りがなかったら、大学の勉強になどなんの魅力も感じないのでしょうか?それでも、みんな最後の土壇場で苦し紛れにゼミ論文を書いて、無事演習1は終了!単位を落とす人はめったにいない。ぼくはなんで毎年ぼくのゼミの希望者が20人以上もいるのか不思議です。水谷ゼミは楽勝ゼミ、とかいう噂のせいでしょうか?一度びしびしキビシーゼミをやってみたい、と願ってきました。これが20年以上ゼミをやってきたぼくの感想です。最期のゼミ、ぼくは君たちより先に卒業するので、最後になにか好き勝手なことをやってみたいと思っているのです。