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渡辺ゼミ

渡辺 雅子(専攻領域:宗教社会学・ライフヒストリー研究・移民研究)

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現代社会と宗教

テーマの説明

日本人は無宗教だと言われます。けれども神社や寺で手を合わせる姿を外国人が見るならば、日本人はとても信心深い人々と思うのではないでしょうか。正月には膨大な数の人々が神社・仏閣に初詣に出かけています。墓参りには若者も含めて年に1-2回行く人は6割以上を占めます。お守り・御札を身につけている人、祈願に行く人もけっこう多いです。これらを宗教的な行動とは認知していないことに、日本的な特徴があります。つまり文化的な慣習の中に宗教的なるものが含まれているのです。また、近年のパワースポットブーム、聖地巡礼ブーム、癒しブームなどもメディアの仕掛けがあるにしても、宗教的な色彩は強いです。

マンガの中にも宗教的なテーマが見出せます。手塚治虫の『ブッダ』、『火の鳥』といったまさに宗教的テーマを扱った古典をはじめとして、『風の谷のナウシカ』、『20世紀少年』、『聖☆おにいさん』、元祖イケメン坊主物語の『ファンシーダンス』、『住職系女子』、そのほか多くの宗教に題材をとったマンガがあります。アニメや映画・ドラマなどにも、その内容に宗教的なものを含んでいるものを見つけることができるでしょう。

伝統仏教は葬式仏教といわれますが、過疎化、都市化、核家族化、個人化といった現代社会の変化の中で、新しい取り組みを行っている寺もあります。新宗教は日本の高度成長期において信者数を伸ばしましたが、農村から都会に移住した人への共同体を与え、悩み苦しんでいる人々への対応を行いました。教団という組織宗教には抵抗があるという人が多いですが、なぜ人は宗教に入信するのか、信仰することによって人はどのように変わっていくのか、信仰継承はどのような場合になされるのかなどのテーマもあります。

宗教的なるものは、実はさまざまな分野に拡散しています。マスコミで取り上げられる宗教は事件としての場合が多いので、現代日本においては宗教というとイメージがあまりよくないかもしれません。実際には宗教による(布教を伴わない)社会貢献活動も行われており、また、地道な活動を行っている教団も多くあります。

現代日本における宗教状況としてもう一つ挙げられるのは、近年日本に在住する外国人が増加するにつれ、各国の宗教施設が建設され、多文化的宗教状況が生まれていることです。移民とともに宗教も移動している状況が見出せます。

このように現代日本では、さまざまな宗教のあり方がみられます。このゼミでは、宗教という視点から現代日本の状況を読み解いていきたいと思います。

使用テキスト・参考書・論文等

春学期には、受講生と相談のうえ、テーマを決め、現代日本の宗教状況についてさまざまな視点からアプローチします。テキストは定めませんが、関連文献を適宜コピーするなどして使用する予定です。
参考書にはたとえば以下のようなものがあります。

  1. 高橋典史・塚田穂高・岡本亮輔編『宗教と社会のフロンティア――宗教社会学から見る現代日本』勁草書房、2012
  2. 寺田喜朗ほか『近現代日本の宗教運動――実証的宗教社会学の視座から』ハーベスト社、2016
  3. 阿満利麿『日本人はなぜ無宗教なのか』ちくま新書、1996
  4. 磯村健太郎『ルポ 仏教、貧困・自殺に挑む』岩波書店
  5. 井上順孝『若者と現代宗教』ちくま新書1999
  6. 上田紀行『がんばれ仏教!お寺ルネサンスの時代』NHKブックス
  7. 高橋卓志『寺よ、変われ』岩波新書
  8. 稲場圭信・黒崎浩行『震災復興と宗教』明石書店、2013
  9. 稲場圭信・櫻井義秀編『社会貢献する宗教』世界思想社、2009
  10. 岡本亮輔『聖地巡礼――世界遺産からアニメの舞台まで』中公新書、2015
  11. 山中弘編『宗教とツーリズム 聖なるものの変容と持続』世界思想社、2012
  12. 裵昭『となりの神さま ニッポンにやって来た異国の神々の宗教現場』扶桑社、2007
  13. 三木英・櫻井義秀『日本に生きる移民たちの宗教生活――ニューカマーのもたらす宗教多元化』ミネルヴァ書房、」2012
  14. 渡邊直樹編『宗教と現代がわかる本2015 特集 マンガと宗教』平凡社、2015
  15. 渡辺雅子『現代日本新宗教論――入信過程と自己形成の視点から』お茶の水書房、2007
  16. 渡辺雅子『ブラジル日系新宗教の展開――異文化布教の課題と実践』東信堂、2001

このほか、さまざまな文献があるので、受講生の関心をふまえ、授業中に適宜指示します。

ゼミの進め方

①春学期には、テキストの輪読とディスカッションを中心に進め、レポーター、コメンテーター、司会を分担し、学生自身がゼミの運営にあたります。担当のレポーターはレジュメを作成することが必須です。レポーター以外の学生は、取り上げる文献をしっかりと読み、問題的を整理し、質問、議論ができるような準備をします。ゼミで「沈黙は金」ではありません。なお、必要に応じて理解を深めるための関連の映像資料も利用したいと考えています。

②みなさんの希望があれば、たとえば、明治学院大学の卒業生が住職で、伝統仏教の中で新しい試みをしていることで注目されている寺(大学の近く)の見学や、他の宗教関連の施設の見学を行いたいと思います。

③夏休みには2泊3日程度の合宿を行う予定です。その時期・内容については相談して決めたいと思っています。

④秋学期には、春学期や夏合宿で学習したことを踏まえて、個人でもしくはグループで、テーマを設定し、課題に接近してもらいたいと思っています。

⑤成績は、ゼミへの参加度(出席、発表、レジュメの精度、発言など)と学年末のゼミ論文(12000字程度)によって評価します。