明治学院大学

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大学院 社会福祉学専攻

社会学部TOP 大学院 社会福祉学専攻 2019年度大学院社会学研究科社会福祉学専攻修了生の皆様へ(社会福祉学専攻主任祝辞)

2019年度大学院社会学研究科社会福祉学専攻修了生の皆様へ(社会福祉学専攻主任祝辞)

大学院社会学研究科社会福祉学専攻を修了されるみなさんへ

 大学院の博士前期課程(修士課程)および博士後期課程の修了、おめでとうございます。
 前期課程のみなさんは、多くの方が福祉の現場でお仕事をしながら、大学院で授業を受けて単位を取得され、その上でさらに1年間以上かけて修士論文を執筆されました。その間、社会人と大学院生という二足の草鞋を履くことになり、本当に大変であったと思います。みなさんが2年間あるいは3年間という限られた時間のなかで、研究のため、さまざまな試行錯誤を重ねながら、それを修士論文の形にまとめていくのは、まさに悪戦苦闘の連続だったはずですが、みなさんは、それをそれぞれの創意工夫によって見事に成し遂げられました。その成果は、人によっては必ずしも納得のいくものではなかったかもしれませんが、専攻主任としては、みなさんにぜひ自信と誇りをもって、本専攻を修了してほしいと思っています。
 そして、博士後期課程を修了された福馬健一さん、本当におめでとうございます。
 福馬さんが博士後期課程に在籍し、まとめられた博士論文は、審査委員会においても高い評価を受けました。養護老人ホームという、現在の介護保険制度を中心とする高齢者保健福祉サービスの供給体制のなかで、ややもすると軽視されがちな福祉施設を研究テーマとして設定し、戦後の高齢者保健福祉サービスの展開という大局的な視座から、その問題点や課題などに焦点をあて、実証的な調査研究によって深耕していく博士論文は、まさに本専攻の歴史と伝統を継承する論文であると思います。専攻主任としては、福馬さんの、これまでの熱意と努力に対して深く敬意を表するとともに、これからのさらなる飛躍を期待しています。
 さて、みなさんは、ノブレス・オブリージュ(Noblesse Oblige)という言葉をご存知でしょうか。
 この言葉は「高貴なる義務」と翻訳されることもありますが、必ずしも適訳とはいえないため、わが国ではかたかなで記述されることが多いようです。もともとこの言葉は、中世の騎士たちの間で使われていたようですが、19世紀以降、欧米で広まりました。それは、社会の特権階級の人たちはその特権をもたない人たちへの義務を果たすところに存在意義があるという理念であると言っていいでしょう。わが国で言えば、新渡戸稲造が著した『武士道』などにもそれが表現されているのではないかと思います。
 ここでその理念を私なりに解釈すれば、それは「能力のある人たちは、その能力に応じて社会に貢献し、それによってこの社会をより良い方向へ変革していく義務と責任がある」となるでしょうか。そしてそれは知識人、つまり大学院を修了した人たちにもあてはまると思います。
 言い換えれば、みなさんにはこの大学院で修得したことを活かして、わが国だけでなく、世界の社会福祉とソーシャルワークをより良くしていく「ノブレス・オブリージュ」があると、私は考えています。もちろん、それは決して容易なことではないでしょう。しかし、それゆえにやりがいのあることではないかと思います。立ちはだかる壁は高ければ高いほど、それを乗り越えた時の喜びもまた大きいと言います。みなさんは今日、本専攻を修了されますが、私は専攻主任として、みなさんの今後のご活躍を心から祈念しています。

大学院社会学研究科社会福祉学専攻主任  和 気 康 太