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社会学部TOP 社会福祉学科 岡本 多喜子 (担当科目:高齢者福祉論A・B)

岡本 多喜子 (担当科目:高齢者福祉論A・B)

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専門領域あるいは担当科目の紹介

高齢者福祉論A・B

 高齢者と呼ばれる人々を理解するための授業です。高齢者が福祉を必要とするのはなぜなのかについても考えていきたいと思います。
質問1:「高齢者」は何歳から?
 これはとても難しい質問です。多くの国々では65歳以上を一応「高齢者」と呼んでいます。国際比較をする場合には、一定の基準が必要です。そこで65歳という年齢を「高齢者」の仲間入りをする年齢としました。しかし開発途上国では長生きする人が少ないために60歳以上を「高齢者」としていることが多いようです。日本では、65歳以上ではなく、75歳以上を「高齢者」と呼んではどうかという意見も出ています。つまり、「高齢者」とは年齢で一概に括られる人々ではないということです。

質問2:高齢者とは皆似ていて、同じような考えや行動をする人々か?
 私たちは皆、同じではありません。私たちが似ていたのは、きっと生まれた直後ではないでしょうか。その後の社会的な経験や教育などによって、また遺伝的な要素によって、私たちはどんどん似ていない存在になってきます。80歳、90歳、100歳の人々は、皆同じ高齢者ではありません。それぞれに個性豊かな人々です。

質問3:高齢者が増えると何が困るのですか?
 高齢者問題という言葉をよく聞きます。高齢者の存在が問題となるのです。でも誰にとって問題なのでしょうか。何にとって問題なのでしょうか。考えてみましょう。
 不老長寿は、人類の夢でした。日本では100歳以上の方が約6万人います。長寿の夢はかなえられたのかもしれません。では不老はどうでしょう。いつまでも若ければ、高齢者問題は生まれないかもしれません。では若いとは、どのようなことでしょうか。多分、体力・知力・持久力が20歳の時と同じで、年齢を重ねただけということでしょうか。そのような高齢者が増えれば、人手不足は解消され、年金額や医療費の問題もなくなるかもしれません。でもそのような人々は今よりももっと長生きするので、やはり高齢者問題は生じるかもしれません。

 高齢者福祉論A・Bでは、ここに挙げたような質問に対する答えを考えていきます。高齢者は他人に世話になる人々である、とひとくくりにすることはできません。要支援・要介護状態の人は65歳以上者の2割以下です。でもあなたやあなたの家族が介護を必要とする状況になるかもしれません。その時に、この国で生まれ、生活していてよかったなと思える社会とはどのような社会なのかを、検討していきたいと思います。

専門領域の理解を深めるための文献紹介

高齢者は何時の時代にも、どこの国・地域にでも生活をしています。高齢者という人々を理解するために、皆さんはどうかたくさんの小説・マンガ・映画・ドラマ・舞台・アニメなどを読んで、見てください。自分のこれからの人生にとっても役立つかもしれません。

1年生・2年生

  1. 谷川俊太郎『おばあちゃん』ばるん舎、1982年
    認知症の高齢者が、1980年代にはことのように詩人には映ったのでしょう。
  2. 長谷川町子『いじわるばあさん』第一巻から第三巻、姉妹社、1983年
    懐かしい「おばあさん」のイメージで、「おばあさん」を取り巻く家族や人々が描かれています。「いじわる」をするにも努力と工夫が必要です。「いじわる」を考えることで、「おばあさん」はいつも頭を使うことができるのです。
  3. 宮本常一『忘れられた日本人』岩波文庫、1984年
    高齢者が地域社会の中で果たしていた役割がいかに重要であったか、そしてその役割は現在では無くなっていることを知ることができます。
  4. 日本老年行動科学会監修『高齢者のこころとからだ事典』中央法規出版、2014年
    高齢者に関する心理から健康・社会福祉まで幅広く知識を得ることができます。普段何気なく使っている言葉などの意味を明確に知ろうとしたときに、役に立ちます。

3年生・4年生

  1. エリクソンなど『老年期』みすず書房、1990年
    ライフサイクルの最後の段階である老年期は、どのような時期なのでしょうか。エリクソン自身が80歳代となったときに著した本書は、発達の最後の時間をどのように過ごすことが大切かを教えています。
  2. 社会福祉法人浴風会・高齢者施設処遇史研究会『浴風園ケース記録集 戦前期高齢者施設の「個人記録110」』学文社、2015年
    戦前の養老院に入所した方の個人記録が残っている浴風会の協力により生まれた、貴重な施設処遇記録集です。高齢者施設処遇(ケア)の原点のひとつを知ることができます。