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松原 康雄 (担当科目:社会福祉学特講5A・5B)

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専門領域あるいは担当科目の紹介

児童福祉論

児童福祉論では、子どもと子育てに関する状況や、子どもや子育てに関する社会的支援について、福祉の分野から理解し、その課題や展望を検討します。あわせて、支援を展開する実践理論や技法についても扱います。

児童福祉という分野が、特定の成長発達あるいは養育に関する「問題」を抱えている子どもや家族への対応であるという限定的考え方は時代遅れのものとなっています。もちろん、このような課題への社会的対応も重要ですが、子育て支援全般も重要な社会的意義を持つようになってきています。社会的養護、すなわち子どもや家族が直面する「課題」への対応支援と、子育て支援が児童福祉論の2本柱になります。

子どもは保護されるだけの存在ではありません。子ども自身が固有の権利を有している主体的存在でもあることを認識することが重要です。しかし、子どもに保障された様々な権利は子どもだけでは守りきれません。家族だけではなく、社会的な権利擁護が必要となるのです。また、ときとして子どもの権利を擁護すべき家族が子どもの権利侵害、すなわち虐待を引き起こすこともあります。この場合には、社会が家族による子育てに介入していく場合もあります。子どもの「サンマ」、すなわち空間、時間、仲間が削り取られるなかで、社会的にこれらを創出していく働きかけも重要な課題です。

児童福祉論を学ぶステップとしては、子ども自身や親たちの生活状況や、かれらを取り巻く社会環境を理解把握することや、子どもの権利を再確認することがスタートとなります。さらに、児童福祉法、行財政の仕組み、各種機関施設の機能に関する学びが準備されます。これらの基礎的な知識を前提に、社会的養護や子育て支援の現場実践を学ぶことになります。児童福祉分野での実践でも、社会福祉分野全体に共通するソーシャルワークが適用されていることから、ソーシャルワーク全般の理解を基礎に児童・家族ソーシャルワーク固有の技法を学ぶことになります。

日本は、少子社会が進み、人口減少社会を経験し始めています。この状況は長期的に継続することが予想されています。児童福祉施策だけでこの傾向を変えることはできません。教育、保健医療さまざまな取り組みの充実と連携が必要となります。この連携の大きな柱であり、中核となる施策としてはやはり児童福祉施策は大切な役割を担っています。社会的施策全体の動きや政策形成の展望を授業の終了時には学習できていると思います。子どもと直接ふれあう現場は楽しくもあり、大変でもあります。この現場で働く基礎知識も児童福祉論で得られるでしょう。

専門領域の理解を深めるための文献紹介

1年生・2年生

  1. 近藤二郎『コルチャク先生』朝日新聞社
    コルチャック先生は、第二次世界大戦前から中、ポーランドで活動した医師、作家、ラジオのパーソナリティ、児童福祉施設長です。自分自身もユダヤ人差別を受けながら、戦争で家族を失った多くの子どもを施設で育て、最後はナチスドイツの絶滅収容所で子どもとともに亡くなっています。施設では子どもの主体性を尊重したことでも有名です。ポーランドは、子どもの権利条約の提案国となっています。コルチャク先生の存在が提案するうえで大きな役割を果たしました。この本は、コルチャク先生の生涯をわかりやすく記述してあります。
  2. 小口尚子、福岡鮎美『子どもによる子どものための子どもの権利条約』小学館
    当時中学生であった二人が「児童の権利に関する条約」を自分たちの言葉で翻訳したものです。黒柳徹子さんは、「この翻訳で内容がよくわかった」と推薦しています。詩人の谷川俊太郎さんの装丁もすてきです。子どもの権利を自分たちの生活にひきつけて理解できる一冊です。
  3. 3年生・4年生

  4. 松原康雄・山縣文治編著『児童福祉論』ミネルヴァ書房
    児童福祉分野全体の施策や実践についてわかりやすく解説してある本です。児童福祉論では参考書として使用しています。特に、子育て支援関係の施策にも一定量の記述がなされていることが特徴でしょう。
  5. 才村純著『子ども虐待 ソーシャルワーク論』有斐閣
    子どもの虐待は、いじめとならんでマスコミでも頻繁に報道されます。子どもの権利侵害でも最も深刻なこの虐待につて、制度的な対応だけでなく、実践的課題についても目配りをした本となっています。筆者自身も、研究と実践両方を行ってきた人であり、豊富な経験と知識が活かされたものとなっています。

その他

私自身もなるべく機会を見つけて子どもや、親、そして現場の方に接しています。子どもの「声」を聴けるおとなになってください。授業中の「親父ギャグ」はご容赦ください。