明治学院大学社会学部社会学科は、2023年度にカリキュラム改訂を行います。その中でも「表現・実践関連科目」は、メディアの現場で活躍するプロから学ぶ「メディアクリエイティブ演習」(23年度までは「表現法演習」)、「メディアクリエイティブ特論」(新設)によって、よりキャリアや実際の制作に近い実践的な学びができるようになります。
現役学生によるユニット、レヴィ=スクロースが、「表現法演習」の経験を活かして活動している学生や、実践的な表現に取り組んでいる学生にお話をうかがい、社会学科の学びがどのように繋がっているかを取材しました。
シリーズ第3回となる今回は、イベント企画制作会社へ就職した4年生・中山寧々さんにインタビューし、社会学科での4年間を振り返っていただきました。「メディアが好き」から開いた社会学科の扉。表現法演習で実力をつけ、社会調査実習で他分野との連関を学びながら、活かし方を考えていったといいます。
──本日はよろしくお願いいたします。最初に、この大学を選んだ理由についてお聞かせいただけますか。
まず、「社会学部があるから」というのが大きな理由でした。というのも、将来の働き方として、公務員になりたい、広告関係の仕事につきたいという2つ選択肢があったので、どちらも同じくらい学びながら今後を考えていける学部が社会学部だと思ったんです。
それから明治学院大学の立地が白金台と横浜という地方出身からしたら夢のような場所にあるので、文化や経済の中心である場所への憧れもありました。
──2年生に進級する際に「コース」を選択すると思いますが、どのコースにされましたか。
文化とメディアコースです。
中学生のころからすごく雑誌を読むのが好きだったんです。それから、スマホを持ってYouTubeがたくさん見られるようになったり、思い出してみると、小学生のころはテレビを見るのが大好きだったりとか、メディアやコンテンツを見る側がすごく楽しかったので、それなら作る側もきっと楽しいんだろうなと興味を持ちました。
──表現法演習と、社会調査実習とどちらも履修されていたという事ですが、先に表現法演習のほうからお聞きしてよろしいですか。
表現法は鈴木先生の授業でした。第二弾の記事で取材されていたものと同じ、新聞や新聞社の記者の方がやられている講義です。
ほとんど以前の記事で紹介されているので内容が重複しないか心配ですが…。最初は新聞というメディアの構造、例えば右翼や左翼、記者の働き方といった座学から始まって、だんだん自分で記事を書くという設計でした。そういえば最初に実習で書いた記事のテーマは「昨日の晩御飯は何でしたか?」でしたね。
特におもしろかったのは、実際に演習として記事を書いていく中で、新聞特有の語尾を知ったことです。普段のレポートではしないような言い回しや、簡潔に情報を詰め込む文体を学べたことは自分にとって新鮮でした。
──そういえばシラバスにも「新聞には書き方の型がある」といったことが書かれていましたね!
演習の締めくくりに書いた記事では、私はちょうど自分がこれから就職する会社に勤めてる叔父に取材していました。…実はその記事をさっき振り返ったんですが、いつか地元に帰って、なにか地元のためにお仕事ができたらいいな、将来的に自分が住みやすくなったらいいなという思いながら取材をしていて。
まさかその会社に自分が入ることになると思ってなかったので、「こんなこと書いてたんだ」と2年前の自分にびっくりしてます。
──就職活動をしていく上で、表現法演習が役に立つ場面はありましたか。
私自身、文章を書くことはそんなに嫌いな方ではなかったのですが、例えばエントリーシートや選考で小論文を書く時に、新聞記事を書いている中で培った情報の並べ方が生きたり、行き詰まった時に一緒に演習を受けていた友人にアドバイスをもらって書いたこともあったので、そういった経験がすごく就活で活かされたかなと思います。
──実際に授業で先生からアドバイスをいただくこともありましたか。
毎週添削してくださって面倒見がいい先生で、授業が終わった後でもそうやって話を聞いてくださったりする先生なので、そこはすごくありがたかったなと思ってます。それこそ今日もこの後に鈴木先生にご挨拶に行くんですよ。
──そうなんですか!履修を終えても気にかけてくださっているんですね。
──続いて、社会調査実習についてお聞かせください。
野沢慎司先生の調査実習を履修しました。最初は家族について学んでいましたが、最終的にはジェンダー問題にたどり着いて、調査した結果を分析していました。
──実際、野沢先生の授業を履修されてみて思ったことってありました。
小さいお子さんを持つお母さん方にリモートインタビューをさせていただいたんです。そこから、男女の差や、労働時間とか育児問題はなぜ生まれるんだろうという問いが生まれたんです。
各家庭で考え方は違いますし、自分が育った家庭環境が親になってからの家庭にも影響していることに気がつきました。簡単に一言では言い表すことができない難しい問題ですが、調査実習全体を通して向き合っていきました。
──調査をする際に、良かったことや大変だったことはありましたか。
良かったことは移動が必要なかったことです。夏休みの時期だったので、帰省したり、大学に行ったりと場所を転々としていましたし、お母様方もお忙しいところご協力いただいたので、どこにいてもインタビューできるというのはすごく良かったなと思います。
大変だったのは、たとえば今、メモを見ないで、私と目を合わせながら取られてると思うんですけど、最初は緊張してしまったこともあって、俯きながら一生懸命メモ取ってしまったんです。画面ではなくカメラを見ないと、相手の方と目を合わせられないという特性もあって、リモートインタビューの難しさに直面しました。
──それはご自身で気づかれたんでしょうか。
先生から御指摘をいただきました。実習中も丁寧にサポートしてくださったので、そこはすごくありがたかったです。
──社会調査実習でも面倒見がいい先生に出会えたんですね!
──学生生活についてもお伺いしてよろしいですか。
サークル活動では広告研究会に所属していました。
──広告研究会さんには、私どももMGC(Meijigakuin Contest)の取材の際はお世話になりました。
ということは、中山さんにとって最後のミス明治学院コンテストが、コンテストとしても最後の「ミスコン」になったということですね。
コンテストの運営に3年間携わっていたんですけど、役職としてはミスの方をサポートするマネージャーと、ゲストの方のキャスティングや交渉といった調整を担う役割をしていました。
1年生の時は対面開催でしたが、その時はファイナリストの方のマネージャーとして、撮影に同行したり、リハーサルに立ち会ったりして、一緒にコンテストを頑張っていました。2年生からは、そのマネージャーたちをまとめていく役職で、3年生では、毎年芸能人の方がゲストとして来られるので、その方のキャスティング、交渉から当日の打ち合わせまで、統括として全体の管理を行なっていました。
ただ、途中でコロナがあって。対面開催ができなくなって配信だけになって、運営側としても、大学そのものへの入場制限がかかってしまったので、全員参加できなくなってしまったんです。
それまでは1年生から3年生まで全員でコンテストを作り上げていましたが、集まれる人数がかなり少なくなったことで、事前準備のスケジュールや当日運営に苦労しました。
──引き続きも苦労されるところがあったのではないですか。
そうですね…。
それこそ、今年のMGCコンテストを運営したのは、対面でコンテストを開催したことない世代しかいなかったんですね。それはすごく大変だったんじゃないかなと思います。私達も後輩たちに伝えられるのが1年生の時の情報しかなかったので、それをうまく受け継ぎながら、自分たちで新しいものを作っていたんだと思います。
──ありがとうございます。
最後に、社会学とメディアの繋がりを振り返っていただけますか。
社会学はすごく広い学問だと思うので、学びたかったメディアだけではなくて、途中で出会ったジェンダーについてしっかり学べたのは、自分にとってすごく大きかったなと思います。その点、社会調査実習で感じた、男女で考え方の違いがあるとか、性差別といったことは、高校生のうちは全く考えていなかったので、大学生になって新たに身に付いたことだったのかなと思います。考え方を広げてくれた4年間だったなと思うので、大学で学べて良かったなと思っています。
──今回はお話を聞かせていただき、ありがとうございました!