2002年6月 野沢 慎司
I章でも触れたが、本書は、明治学院大学・社会学部付属研究所の特別推進プロジェクト「現代社会における技術と人間」(2000-2002年度の3年計画)の下部組織「ソーシャル・サポートにおけるCMC(computer-mediated communication)」研究グループの一研究課題「ステップファミリー調査」の中間成果報告である。なお、この特別推進プロジェクトは、日本私立学校振興・共済事業団の学術研究振興資金(2001-2002年度)による研究助成を受けている(研究課題「現代社会における先端技術の「先端性」の社会的意味-受容と葛藤」、研究代表者:野沢慎司)。私たちは、この2つの機関からの支援に感謝している。
この報告書「ステップファミリーにおけるソーシャル・サポートの研究」は、メインとなる「ステップファミリーに関するアンケート調査」が2002年5月末に終了を迎える前に、2001年度末時点(正確には2002年2月22日時点まで)の回収データを入力し、中間的に分析した成果をまとめたものである。この調査票調査は、通常の調査と異なり、7ヶ月間以上の長期にわたる調査票回収期間を設定していることもあって、協力いただいた当事者組織などへの中間報告が必要だろうとの判断から、このような報告書を作成することにした。暫定的な報告とは言え、分析と執筆に予想以上の時間がかかり、当初の予定よりも発行が遅れてしまったことをお詫びしたい。
5月末に調査が終了した後には、回収データ全体についての再分析を行い、年度末にはバージョンアップした報告書を作成する予定である。その意味でも、この中間報告に提示された分析結果は暫定的・仮説的なものと理解していただきたい(この調査が抱えている方法上の限界についてはII章を参照)。今後は、今回の調査回答者のうちでさらにご協力を了承していただいた方々への事後的なインタビュー調査を含む多様な調査を実施して、より深い研究を展開していきたいと考えている。この研究プロジェクトはまだまだ発展途上の段階にあり、眼前に拡がるフロンティアはなお広大である。
この調査は、多くの方々のご協力によって初めて実施が可能となった。この場を借りてお礼を述べさせていただきたい。調査の様々な場面で、SAJ(ステップファミリー・アソシエーション・オブ・ジャパン)に多大な協力をいただいた。とくに代表の春名ひろこさんをはじめとするスタッフ(運営委員)の方々にお世話になった。また、予備調査インタビューなどでご協力いただいた「サークル・ベルメール」のメンバーの方々にも感謝したい。2001年11月に来日したSAA(Stepfamily Association of America)会長のマージョリー・エンゲルさん(Margorie Engel, Ph.D.)には、米国でのステップファミリー研究の状況や成果についてご教示いただき、研究展望に大きな指針を得た。明治学院大学社会学部付属研究所の研究員・森田聡之さんと事務スタッフ・小林千津恵さんには調査票の送付・回収・管理など、煩雑な調査の実務面を担当していただき大変お世話になった。菊地真理さん、稲葉知子さん、斉藤亮太朗さんには、調査データの収集・整理・分析の様々な支援作業で活躍していただいた。私たちの研究プロジェクトのホームベースである明治学院大学・社会学部付属研究所の前所長・渡辺雅子教授と現所長・中野敏子教授には、一貫してこの研究プロジェクトへの暖かいサポートをいただいている。皆さんに感謝したい。
最後になったが、予備調査と本調査において多岐にわたる質問に快くご回答いただいた数多くの調査回答者の方々に心よりお礼申し上げる。プライベートな内容に踏み込む、不躾な数多くの質問に辛抱強く答えていただけなければ、このような研究は成り立たなかった。ささやかな研究成果にすぎないが、ステップファミリー当事者の方々にとって、そして当事者以外の社会にとって、これまで社会的に見えにくかった「ステップファミリーという経験」を知るための第一歩として少しでも役立つものであることを祈りたい。