明治学院大学・社会学科では、学びの重要な領域の一つを「社会調査関連科目」というカテゴリーで示しています。これは、社会学的な思考・分析の根拠となるデータの集め方、その読み方に関わる一群の科目です。学生の皆さんが履修計画を立てる際の重要な目安として、「社会調査関連科目」をぜひ意識してほしいです。
社会学は、実に多様な社会現象に目を向け、そのしくみを明らかにしようとするユニークな学問として発展してきました。社会学の伝統は、単に社会現象について思いついたことを自由に論じるのではなく、考察を裏付ける根拠として資料、データ、証拠を重視する点にあります。多様な方法や技法が開発され、長年にわたって錬磨されてきました。本学科のカリキュラムにおいても、社会調査について初歩から応用レベルまで段階を踏んで学べる授業科目を用意しています(下記の「社会調査関連科目の学びのフローチャート」参照)。
入学当初の1年次には、社会調査について学ぶ意味が必ずしもピンと来ないかもしれません。しかし、3年次の「演習1」(いわゆるゼミ)などにおいて、グループや個人でフィールドワークを行う機会が訪れます。4年次のゼミ「演習2」を履修しながら「卒業論文」のために研究を行おうとすると、自力で社会調査を実施する必要に迫られることもあります。あるいは、様々な文献にあたり、データ分析の結果を読み解く必要も出てきます。その段階で、社会調査やデータの扱い方についての基本的な知識やスキルがいかに大切かを痛感することになります。
社会学科の1年次には、誰もが「社会調査の基礎」(春学期)と「社会調査の技法」(秋学期)の授業にチャレンジしてほしいです。そこでの努力は、社会調査の見取り図の理解、そして基本的知識と技法の習得というかたちで実を結びます。次のステップである「データ分析入門」、さらに「社会統計学」へと畏れることなく前進してほしいです。その上で、各自の関心に応じて、「数量データ分析」あるいは「質的データ分析」を履修することで、それぞれ特色あるデータの分析法をより具体的に、深く学ぶことができます(2023年度入学生からは、「質的データ分析」と「数量データ分析」が2年次の選択必修科目となり、どちらかの単位取得が卒業に必須となりました)。
それらの学びを踏まえた3年次の「社会調査実習」では、数量的データを扱う調査実習クラスと質的データを扱う調査実習クラスを含む複数のクラスが開講され、その中から選択履修できるカリキュラムになっています。1年間を通して、クラスがひとつのチームとなって、調査の計画から実施、結果の分析と報告書の作成までを経験します。
この実習科目を含む、指定された「社会調査関連科目」を履修し、所定の単位を取得すれば、「一般社団法人 社会調査協会」が認定する「社会調査士」資格を申請することができます。多くの社会学科生が、1年次から計画的に「社会調査関連科目」を履修して、資格取得に挑戦してほしいです。資格取得を目指さない場合でも、上記のように社会学の学びに必要な知識と技法の修得は極めて重要です。いくつかの科目履修を意識的・選択的に履修してください。
社会に関する情報・データをきちんと扱える能力を身につけることは、私たちの思考に力と自信を与え、また考察の楽しさや知的発見の喜びをもたらします。また将来、どのような仕事に就くにせよ、多様な職業場面で力を発揮できるでしょう。社会の中で、自らの人生を拓くという意味でも、社会調査関連科目を学ぶことには積極的意義があります。授業で、ともに学べることを楽しみにしています。