3年次には、各自が選んだ「演習1」での専門的な学びが始まります。この「演習1」が、世の中で「ゼミ」と呼ばれているものです。最大15名程度の少人数のゼミで先生や先輩とも継続的な関係性を築きながら、ゼミごとに専門的な知識やスキルを身につけていきます。学びのスタイルはゼミによって様々ですが、2年次までの少人数クラスで身につけたスキルをブラッシュアップしながら、プレゼンやレポート、ゼミ論の執筆を行っていきます。
卒業論文の執筆を希望する人は、そのまま4年次の「演習2」「卒業論文」へと進みます。自分なりの問いを立て、「演習1」で身につけた知識とスキルを生かしながら、1年かけて卒業論文を執筆します。2年間の専門的な学びによって、「4年間でこれを学んだ」と誇れる思考力や手法が身についていることでしょう。
明治学院大学社会学部社会学科には20名近いスタッフがいます。社会学の諸領域をカバーするように集められた教員が、学生の広い関心を支えています。2年次のコース演習や各コースの講義を参照にしながら、どのゼミで、どのような勉強をするか、具体的に考えていけます。
所属するゼミは、自ら希望したゼミに応募して、教員とのレポートと面接を経て決定します。多様なゼミの中からどのゼミを選ぶか、迷う人もいるでしょう。そこで、社会学科では、2年次の秋学期に3か月かけてゼミ選考を行います。最初のガイダンスで選考の流れと各ゼミの内容を冊子で紹介した後、上級生や教員に相談する機会を設け、納得のいくゼミ選びを支えます。
社会学科では、3年次に「演習1(ゼミ)」と「社会調査実習」を並行履修することが可能です。ゼミでも多くのフィールドワークが行われますが、社会調査実習はゼミとは異なります。ゼミでは理論的なことを学び、社会調査実習で実証の方法を学ぶというように、自分のテーマにあわせて組み合わせることができます。また、「社会調査実習」のみの履修でも、「演習2」に所属して卒業論文を書くことも可能です。
「ゼミ」とはどんな授業でしょうか。「少人数クラスで議論を行う」という説明をよく目にしますが、「議論を行う」とは、単に自分とは違う意見を論破することではありません。「議論」は頷くことからスタートするのです。一般に、虚空に向かって楽しそうに話しかける人はいません。話すためには、聞き手が必要だからです。頷いてもらえることで、安心して語ることができる。そのことによって多彩な語りが生まれ、考え方の類似点や相違点が明瞭になってくる。同じ事象を目の前にしているのに、なぜ異なった語りが生まれるのか。それを「社会学」をつかって分析し考察する。継続的に頷き合える仲間を見つけ、「社会学的想像力」を競うアリーナが「ゼミ」なのです。
「ゼミ」では、たくさんの専門的な理論や概念を勉強します。それを手に実際の現場に足を運び、社会現象を表現・分析する方法を模索します。たとえば、社会老年学のテキストには、様々な理論について解説されています。いよいよ現場に出ると、被災地の仮設住宅で暮らす高齢者から、被災前のようないきいきとした生活を送ることができていない、といった悩みを耳にします。では、いきいきとした生活を取り戻すために何が必要か。書物から学んだ「活動理論」を活かすチャンスです。さらに、自分たちに何ができるか、実行してみたらどのような反応があったか、次に何をなすべきか、現場での経験を踏まえて教室でさらに議論していきます。「ゼミ」とは、書物と現場をつなぐ議論の場なのです。
卒業論文の執筆を希望する人は、4年次の「演習2」「卒業論文」へと進みます。自分なりの問いを立て、「演習1」で身につけた知識とスキルを生かしながら、1年かけて卒業論文を執筆します。1,2年次に身につけた基礎に、ゼミでの2年間の専門的な学びが加わり、「4年間でこれを学んだ」と誇れる思考力や手法が身についていることでしょう。卒業論文は、ただのレポートではありません。4年間の自分独自の学びの軌跡を凝縮したものです。自分でテーマを決め、ふさわしい表現・分析の手法を選び、ゼミの仲間と議論しながら書き上げます。卒業論文を手に、胸を張って明治学院大学社会学部社会学科を卒業します。