河合担当の福祉開発フィールドワークは、今年度、まず、宮古島市におけるひとり暮らし高齢者全数に対するアンケート調査を5月に実施し、データの集計・分析をしました。
その上で、9月には宮古島に行き、調査対象世帯の中から20 ケースほど選んで、直接ご自宅に伺い、生活と意識に関する聞き取り調査を行いました。訪問面接調査の調査員には那覇市にある沖縄国際大学の岩田直子先生のゼミ生も協力してくれました。次のページに現地の新聞に報道された記事を掲載します。
調査結果は、宮古島市社会福祉協議会から『沖縄県宮古島市におけるひとり暮らし高齢者の生活と意識に関する調査報告書』として2014 年3 月に刊行されています。
訪問先の玄関で
訪問後の調査票の点検
(教室での授業風景(1))
(教室での授業風景(2))
おおむね計画通りに実施してきた。学生は暑い夏に作業所や学童のプール、寒い冬に夜間パトロールや年末年始の炊き出しなど、何度も横浜寿町に足を運んだ。朝早く集合の場合もあれば、夜間パトロールなど終電ぎりぎりの現地解散などもあった。学生なりに大変だったと思うが、さまざまな思い出に残る体験もできたと思う。
(↓夏祭りでことぶき学童保育で子どもたちと遊ぶ)
(↓ことぶき福祉作業所で利用者さんと一緒に楽しい昼食)
○フィールドワークとは、テーマに基づいて現地を訪問し、直接観察あるいは参加して「現実」を捉えてみる活動の場です。ただし、自分の思い込みや個人の感想で終わることなく、何らかの客観的成果が求められる活動でもあります。とくに、将来、特別支援学校教育に携わる希望のある学生たちにとって、教育の基盤となる「子どものくらし」を捉える目を養っていくことを、ひとつのねらいにもしています。
○本年度は、昨年度の継続活動として、「子どもの地域でのくらし」を身近な地域に探ってみました。まずは、地域の社会資源探索から始めました。「児童福祉」「児童福祉法」について、講義の中で知っていても、子どもたちの現実のくらしにはどのような力になっているのかなかなか理解しにくいものです。自分の目で確かめて学ぶ機会が必要です。児童福祉法に規定されている児童館、児童遊園の利用のされ方を通して、障害のある子どもたちにとっての地域資源の「現実」を学びました。
○障害のある子どもたちに提供されている「余暇支援活動」に参加(8月)、子どもたちとの活動、保護者とのかかわりを通して多くの発見と課題を手にすることができました。とくに、地域行政、サービス提供をする「放課後NPO法人アフタースクール」のスタッフの方々との協働作業は、サービス提供という社会的責任へ向き合うことでもあり、学生一人ひとりの力量が問われる機会です。利用する人たちに十分満足してもらえるための丁寧な準備、チームでの計画・活動参加・振り返りの過程で求められる共通理解の重要さなど、「他者を知り」「自らを知る」場でもあります。
○以下の写真は、8月の活動の準備会、作品、そして活動の様子です。 (担当 中野敏子)
今年度、初めて福祉開発フィールドワークを担当させていただくこととなり、「地域における『新しい公共』のあり方」というテーマのもと、8名の学生と共に1年間の授業を終えることができた。その学びの成果については、次に続く学生による報告を参考にしていただくとして、ここでは1年間のフィールドワークの概要を報告することにする。
本フィールドワークは大きく分けて3つのパートならなるものであった。
第一に、前期は学生が3つの班に分かれ、各班が東京都内で活動するNPO法人を1団体ずつ訪問し、その内容について報告する機会を設けた。学生が選んだNPO法人は、地元品川区で活動するNPO法人「ふれあいの家おばちゃんち」、町田市で金魚玉珈琲というカフェを運営するNPO法人「れんげ舎」、そして世田谷区で冒険遊び場パークを運営する「野沢三丁目遊び場づくりの会」である。どの活動も住民が主体となり、地域の中の「あったらいいな」を自分たちの手で実現している団体である。
クラスでの報告会ではフィールドワークの内容について活発な意見交換がなされた。NPO法人の活動をとおして「新しい公共」がどのように成立し、どのような人がそれを担っているのか、お金は誰が出しているのかなど、お互いの報告から東京における「新しい公共」のあり方について理解を深めた。
第二に、夏期休業期間中に、和歌山県白浜町にて2泊3日のサマーキャンプを実施した。白浜町は人口約2万3000人の小さな自治体であるが、その中では様々な住民活動が展開されている。代表的な取り組みは白浜レスキューネットワークという自殺予防の活動である。白浜には三段壁という断崖絶壁があり、そこは飛び込み自殺を企図して多くの人が集まる場所としても知られている。白浜レスキューネットワークは、そこに写真のような看板を設置し、自殺を思いとどまった人たちが、社会に復帰できるよう相談援助や生活支援、就労支援などを提供している。
白浜町では、その他にも住民主体のまちづくり活動や社会福祉協議会が取り組む地域の交流活動の話などを伺い、一方で、学生からは、東京で活動するNPO法人についての報告をおこなった。白浜と東京の活動の比較をとおして多様な主体が多様な方法で「新たな公共」の一面を担っているということについて学ぶ機会を得た。
最後に、後期は学生が選択したフィールドで実際にボランティア活動をすることを課題として設定し、新宿区で活動する「スープの会」というホームレス支援団体で各自がフィールドワークをおこなった。普段接することがないホームレスの人たちに直接触れることで、各自が抱いていた偏ったイメージを払拭することができたという声が多かった。当初は活動に参加することに対して消極的だった学生も、いざ参加してみることで、「新しい公共」の一端を担うということは決して難しいことではないということを感じていた。
私にとっては、初めてのフィールドワークということで、十分に全体をコーディネートできない部分もあり、学生に迷惑をかけたことも多々あったと思う。しかし、私を始め、学生のフィールドワーク先の各団体からは、学生の熱心な学ぶ姿勢からたくさんの刺激を受けたという報告を受けている。今年度の授業をとおして得た学びと経験を生かして、8名の学生たちがこれからの日本社会の「新しい公共」を担う人材として羽ばたいていってくれることを心から願う。
サマーキャンプの宿泊先で食事をしている様子
サマーキャンプ中のプレゼン大会
サマーキャンプの無事終了を記念して集合写真
○フィールドワークの意図と目的
本フィールドワークでは、現代社会で近年注目される社会的企業の活動について、文献講読と現場の見学、ヒアリングを通じて学びました。特に、社会的企業の活動に関して、社会性と経済性をバランスさせることのむずかしさとその面白さの理解を目指しました。
○概要
2013年9月12~14日に、16名の2年生とカンボジアに行ってきました。カンボジア・フィールドワークのテーマは国際福祉です。施設の視察ではなく、国際福祉の実践を目的とするこのフィールドワークでは、ストリートチルドレンなど、カンボジアの子どもたちのためのセラピューティック・プレイと質的調査を行います。
セラピューティック・プレイとは、問題を抱える子どもの心理面を遊びを通して支える方法です。質的調査は2グループに分かれて行いますが、研究テーマはみんなが自由に選択します。
16名の学生たちはカンボジアで約1週間、経験をともにし、すばらしいチームを作り上げています。たくさんのチャレンジとチームワークやディスカッションを通して、みんなのモチベーションが上がり、前向きに取り組むことを楽しんでいるクラスです。
明石留美子
春学期に、インターナショナル・スクールの先生からセラピューティック・プレイを習います。
何度も練習を重ね、子どもたちへのセラピューティック・プレイができるようになりました。自分たちが楽しめなければ、子どもたちに伝わりません。
学会デビュー。質的調査で分析した結果は、愛知県の愛知医科大学で行われた「日本国際保健医療学会第32回西日本地方会」でも発表しました。
研究テーマは、「心のケアとアドボカシー:人身売買から子どもを守るために」と「ストリートチルドレンの自立と健康:自らの力で生きていくために」です。
2013年のハロウィーン。東京の麻布に集まる子どもたちの数は2万人。アメリカ人のご家族にお世話になって、学生たちもお菓子を配ります。
フィールドワーク最後の国際体験です。
日程:2014年2月20日~28日
場所:フィンランドのヘルシンキを中心に、ロバニエミ、ポルヴォ―、ハメーンリンナ
参加者:学生31人、岡、梅木さん(アサヒトラベル)、山田先生(現地在住)
2月21日(金)朝9:30成田集合で、12:00発のFINエアーで日本を出発し、現地時間16:20にヘルシンキに到着し、トランジットでロバ二エミに17:40に到着しました。ほぼ北極圏に位置するサンタクロースの故郷である、ロバ二エミは雪の世界でした。ホテルに到着し、夕食後すぐにモイモイ号に乗って、オーロラ鑑賞に出かけました。残念ながらオーロラは見られませんでしたが、農場の小屋で囲炉裏を囲みながら、ソーセージを食べながら暖かくゆったりとした時間を味わえました。雪だるまにならないパサパサした粉状の雪を始めて見ました。
22日(土)は、サンタクロース村を訪問しました。雪世界の中に、ぽっかり浮かぶサンタ村、幻想の世界でした。サンタクロースと記念写真を撮り、お土産も買い込みました。一部の男子学生は犬ぞりを体験しました。サンタ村にもカモシカとソリが見られました。午後はロバ二エミの町中の自由見学でした。雪の中、みんなそれぞれ関心のあるところへ出ていきました。
23日(日)は、飛行機でヘルシンキに戻り、午後はしない観光に出ました。ヘルシンキ大聖堂と元老院広場、テンペリアウオキ教会を訪ねました。暖冬でヘルシンキは雪がなく、想定外でしたが、街並みの美しさに皆も感動していました。 24日(月)は、ポルヴォ―にある精神障害者施設とケア付き住宅を訪ねました。NPO施設ながら、潤沢な補助金と充実したスタッフで支えられている状況を垣間見ました。個室も見せていただきましたが、とても綺麗で個性的でした。典型的なおやつと飲み物もいただきました。ポルヴォ―は中世の木造建築で有名な街でもあり、午後は町中の散策に出ました。
25日(火)には、終日、ハメーンリンナにあるサンポラ障害者授産施設と住宅を訪れました。一番のお目当ての場所でした。多様な障害のある人が居住し、就労する場所です。目の不自由な人、耳の不自由な人、他の障害の人等が、集う施設です。仕事に人が合わせるのではなく、仕事を人に合わせる感じでした。まず、各人の能力や希望を明らかにして、そこからどんな仕事ができるか考案していく手順です。かなり重度の障害をもった人も、黙々と仕事を行っていました。生活雑貨の製造から、アンチーク家具の補修、印刷・製本業、手芸等々、どこも楽しそうな雰囲気が漂っていました。製造品は販売され、障害者の収入になります。障害者同士、職員との間のコミュニケーション(サイン・ランゲージ)が素晴らしかったです。ここは二度目でしたが、感動の連続でした。この施設の食堂で、お昼の食事をいただきました。
ヘルシンキ市内に戻ってきて少し時間があったので、皆でスケートに出かけました。ホテルは駅から近くで、ヘルシンキ駅の横にアイススケートリンクがありました。多くの学生が初めてのスケートでした。地元の人たちからは笑われるシーンが多かったですが、子供用のソリもあって、楽しめました。
この日の夜は慣例で、ミットネンさん宅で一般家庭料理を御馳走になりました。ここの食事がおいしくて、毎年一番おいしいと好評です。最後に、学生の合唱で感謝の意を表しました。
26日は、午前中ヘルシンキ大学の図書館を見学し、午後は学童保育施設を訪問しました。フィンランド第1のヘルシンキ大学は、市内中心部に分散していますが、図書館を一元化させたようです。近代的な建築物ですが、福祉的な配慮が随所に見られました。図書館は人気があり、朝早くから学生が関取をするくらいです。国立大学ですが、民間企業が参入していて、レストランやショップがたくさん入っています。食事も、カフェもあります。自分で軽食をとれる電子レンジ等が配置されている部屋もあります。比較的寛げ友人と話のできるイエローゾーンから会話厳禁で静寂を強制するレッドゾーンもあります。一般市民も登録の上で、無料で利用可能であり、生涯学習の場ともなっています。窓を開けてテラスに出れば、ヘルシンキ大聖堂から街並みが見渡せるパノラマビューでした。アレルギーや体の弱い人用の特別の部屋もありました。.
午後は子育て支援の学童保育施設に行きました。多目的施設で、朝早い時間帯は乳幼児対象で、午後は小学生、中学生、夕方から夜間は青少年を受け入れています。校長先生は神をグリーンに染め楽しそうな方で、職員体制からサービスの内容、受益者のニーズを語ってくれました。
この日の夜に、アイスホッケーの試合を見に行きました。本場のプロスポーツの熱狂に皆感動していました。もの静かなフィンランド人の本性が一変する氷上の格闘技でした。
27日(木)は、ストロンベルグにある小学校を訪問しました。小学生と先生たちが我々を歓待してくれました。合唱の交換から、授業を一緒に交流しました。日本についての多くの質問を受けました。折り紙を教えました。外に出て、鬼ごっこもやりました。みんな、童心に帰って楽しそうでした。昼は小学校の給食を一緒に味わいました。仲良くなった子供たちが、バスの後を追って走ってきた風景が忘れられません。
最後に、帰りの飛行機の中で、暗い機内で窓を開けるとなんとオーロラが見えるではありませんか。白っぽい模様が次第に濃くなってきて、微かに緑色から赤っぽい色が確認できました。サンタさんからの最高のプレゼントでした。機内で1泊して、28日10時に無事に日本に帰ってきました。
今年は学生31人が参加しました。みんな感動の連続であったことでしょう。きっと生涯にわたる美しく、大切な思い出の一つになることでしょう。
(岡)
サンタクロース村
サンタさんを囲んで
サンポラ障害者授産施設
ストロンベルグ小学校
オーロラ鑑賞