「アカデミックリテラシー」で基本的な学び方のスキルを身につけたら、「社会学基礎演習」で社会学の基本的な考え方を身につけます。ポイントは多彩なワーク。教科書で学んだ社会学の概念を、実際に現代社会の分析に活用してみます。
社会学の基本はものの見方にあります。教科書の言葉をただ暗記するのではなく、その言葉をつかうとどのように社会が見えるかを体感し、社会学的感性を身につけてはじめて、社会学科での学びは生涯つかえる知になります。「社会学基礎演習」は、ワークを通じて、現代日本の諸問題に目を向け、それらを社会学の知をつかって考えるという感覚を体感してもらうためのクラスです。
社会学的思考において重要なのは、自分なりの対象を見つけ、問いを立て、先人が考えた理論や概念をときに修正を加えたりしながら利用し、論理的に分析していくことです。しかし、いきなり必要な理論を見つけたり、理論を修正したりすることは難しいので、まずはクラスみんなで同じ問題を同じ資料を用いて、教科書に出てくる概念で分析してみたり、文献を批判的に読み解いてみる練習から始めます。ただ暗記するのでもなく、ひとりよがりな分析をするのでもなく、「知を身につける」とはどういうことか、1年生のうちに体感します。
ワークの内容は、たとえば「メディアのなかのジェンダー分析」「現代日本のエスニックタウンの現地調査」「福祉制度についての論文を批判的に読む」など、身体、家族、ジェンダー、労働から、福祉、政治、地域、外国人まで、幅広いテーマを含みます。身近な問題から、国家レベル、グローバルレベルの問題まで、幅広い社会の見方を体感します。
学問的思考は、孤独に考える作業と、他者と意見を交換することを往復して磨かれます。「社会学基礎演習」では、20名程度の少人数クラスで、意見を戦わせながら分析をしたり、簡単なフィールドワークをしたりします。また、書評や批評をプレゼンに仕上げて、よい発表を競い合ったりディスカッションを深めたりもします。仲間のよいところを学んだり、批判に応答したりしながら、自分の思考やプレゼン能力を磨きあげる経験を積みます。多様な考え方を互いに学びながら、つかえる知識を身につけると同時に、自分の関心を見極め、2年次以降の専門的な学びの基礎をつくります。