皆さんは何を求めて大学に入学しましたか。ぜひこの授業を聞きたい、このスキルを身につけたいという熱い思いがある人もいるでしょう。しかし、私自身がかつてそうであったように、自分が何がやりたいかまだわからないけれど、とりあえず大学には行っておこう、社会学というのは色々なことを広く学べるらしいからそこで考えよう、という人も少なくないのではないでしょうか。
コロナ禍によるオンライン授業が続き、「大学に通う」ことの意味が問われています。思い描いていたキャンパスライフが送れないかもしれないにもかかわらず、皆さんはなぜ大学に入学し、単位をとり、4年目には就職活動をしようとするのでしょうか。入学時点で可能性を狭めずに済むから社会学科を選んだという声をよく聞く一方で、社会学科生には、なぜ大学に通うのかということ自体は(ささやかな疑問を持ちつつも)深く考えないという人が多い印象を持ちます。
もちろん、好き勝手に生きよ!と無責任にすすめたいわけではありません。多様な価値観を認め合っていこうという時代になっているのに、なぜ私たちはある決められた範囲でのささやかな選択に自分を押し込めてしまうのでしょうか。そこに働く社会のからくりを考えるのが、社会学だ!と私は思います。そして、社会学を学ぶことで身につく「社会のからくりを考える力」こそが、それを身につけなければ見えないかもしれない人生の選択肢をたくさん見せてくれるものになると信じています。
世界規模の混乱のなかで社会学を学ぶ皆さんには、自分がそのなかで生活しているこの社会を、ときに当事者目線に寄り添い、ときに当事者が気づいていないことに目を向けながら、多角的に読み解く力を身に着けてほしいと思います。社会学科の教員は、社会学とその隣接領域のエキスパートです。ぜひ社会を色々な角度から眺めるわくわく感を共有しましょう。