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発展途上国における社会保障制度構築の研究

 

研究者代表 山田晋

発展途上国における社会保障の拡大に関する2007年の基礎的研究で明らかになったことの一つに、グローバリゼーションのさらなる進行の中で、途上国の社会保障は危機を一層深めているということである。

工業化諸国による途上国での際限のない収奪、搾取、途上国における「グッド・ガヴァナンス」の欠缺とそれをささえる巨大工業化諸国(とその資本)は、途上国の国民生活を破壊し、社会保障の必要性を喫緊の課題としている。2007年の基礎的研究で特に注目したのは、途上国の開発および工業化諸国の収奪の過程における先住民の知的所有権の侵害の態様とそれに対する防衛的対応である。先住民の意匠を利用した製品の生産・販売に加えて(例えばニュージーランドにおける、玩具「レゴ」事件)、近年、巨大製薬会社が先住民の薬草等に関する知識を登用し、薬剤を研究、生産する動きが著しい(アマゾンにおける先住民の知識の収奪など)。これに対しては、WPOなどが工業化諸国を含めて議論を重ねてきたがまだその結論には至っていない。

ILOが社会保険の適用拡大による"Social Security For All"を提唱しているが、それは、無拠出社会保険制度を積極的に構築するか、雇用の創出・拡大により社会保険料拠出を可能とし社会保険制度加入を促すかである。私は、無拠出社会保険制度を積極的に評価しつつ、先住民の知的所有権の確実な保障により集団的保険料拠出を提唱しているが、2007年の基礎的研究でその可能性の補強ができたと考える。

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