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<生命>とフェミニズム:書誌的基盤づくり

 

研究者代表 加藤秀一
研究者 稲葉振一郎、石田仁、丹野さきら

 

 フェミニズムをめぐる議論の中で「生命」というテーマは主として二つの領域において採りあげられてきた。その一つは女性による身体的経験、とりわけ妊娠・出産をめぐる諸経験の語りの発掘・再評価であり、もう一つは生物学の諸概念をフェミニズム的発想から見直す研究である。近年では両者の交差する地点に焦点を定め、近代科学・技術によって排除ないし周辺化されてきた女性の経験を重んじつつ、生物学の内在的な批判・修正を志向する研究も現れてきている。

 本プロジェクトの目標は、こうした動向の全体像を把握するための準備作業として、「生命」をキーワードとしてフェミニズム思想、進化生物学、生命科学史、科学論等のサーベイを行ない、今後の研究活動の基盤として役立つ書誌を作成することであった。もとより網羅的なデータベースを単年度で構築することは不可能であるから、テーマごとに重要な文献をいくつか選び、簡略な解題を付すことが具体的な課題であった。そのためにメンバー間(主に加藤・丹野)で継続的に情報交換と議論を行なうとともに、オープンな研究会も一度行なった(報告者・稲葉振一郎社会学部教授)。

 結果として書誌作成作業自体は限定的なものにとどまり、当初の目論見通りに進捗したとはいえず、反省点が残った。しかし、購入された文献とメンバー間の議論の成果は、昨年中に刊行された加藤の著書『個からはじめる生命論』(日本放送協会出版)、および丹野の論考「真珠採りの詩、高群逸枝の夢」(未公刊だが、藤原書展主催の第三回「河上肇賞(奨励賞)」を受賞した)に活かされた。

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