研究者代表 | 河合克義 |
---|---|
研究者 | 岡本多喜子、板倉香子、島田修身 |
1.調査の目的
本調査研究の目的は、ひとり暮らし高齢者の生活実態と意識を明らかにし、そこから求められる地域福祉活動のあり方を検討するための基礎資料を得ることである。
2.調査の方法と内容
葛飾区社協が実施する「ひとり暮らし高齢者毎日訪問事業」利用者(区内在住の70歳以上の単身高齢者)を対象に、留め置きによるアンケート調査を実施した。調査対象である毎日訪問事業利用登録者1197人のうち、実際に調査票を配布できたのは1010名であった。調査票の回収数は934、うち有効回収数は927ケースで、最終的な有効回収率は91.7%であった。
本研究ではアンケート調査で得られたデータについて集計し、性別、病気時等の支援者の有無、近隣住民による生活上の支援に対する抵抗感等を中心に分析と検討を行った。
3.研究の結果
調査回答者のうち、「病気などで体が不自由な時にすぐに来てくれる人がいない」と回答した者が全体の17.6%いた。また「近所の人にゴミ出しや家事の手伝いなどを頼むことに抵抗を感じる)」と回答した者は「やや感じる」と「非常に感じる」を併せて全体の53.3%であった。抵抗感を感じる理由として回答した人の8割は「人に迷惑をかけたくない」ことを挙げている。
こうした「病気などで体が不自由な時にすぐに来てくれる人がいない」者すなわち緊急時の支援者がいない者と近隣住民による支援に抵抗感を感じる者について、その特徴を見てみると、(1)性別では男性、(2)年齢は比較的若い、(3)本人が健康状態に問題があると感じている、(4)近所つきあいが稀薄で近所に頼れる人がいない、(5)子どもがいない、(6)友人・知人がいない、(7)本人が経済的に苦しいと感じている等の特徴が見られた。
調査結果からは地域において社会的孤立状態におかれ、生活基盤に不安定さを持つひとり暮らし高齢者が一定数存在していること、そしておかれている状況が厳しい人ほど近隣関係が稀薄となり、近隣住民からの支援を受けることについても抑制的な意識にあること等が示唆された。
調査の報告書は葛飾区社会福祉協議会より刊行される予定である。