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「リプロダクティヴ・ライツ」の再検討

 

研究者代表 柘植あづみ
研究者 加藤秀一

「リプロダクティブ・ライツ」とは、政治・宗教・慣習・ジェンダーおよびその他の社会経済的な理由によって「子どもを産むか産まないか,いつ産むか,何人産むか」などを決めることが妨げられている人々に、生殖における自己決定を権利として保障しようとする概念であった。あるいは国家による人口抑制政策がしばしば女性の生殖における権利を侵害してきたことから、その権利を保障するために導入された概念だともいえる。

各国で「リプロダクティブ・ライツ」が政策に盛り込まれる中、少子化対策に熱心な日本では、避妊ピルの認可以外には実行的な対応をとってこなかった。その一方で、生殖技術を使うことへの「自己決定」が医師や女性から強調されるようになった。たとえば、不妊治療において代理出産や第三者からの提供精子・提供を用いる妊娠(商業的なものも含む)、受精卵の遺伝子を検査して子宮に移植するかどうかを決める着床前検査、胎児の状態を検査して妊娠を継続するかを決定する出生前検査などを「自己決定」だとする主張などが、含まれる。さらには受精卵や卵子を研究材料とする再生医療研究への有償・無償での提供についての「自己決定」も議論されている。

そこで、このプロジェクトでは、出生前検査や不妊治療、再生医療における「自己決定」の「権利」について、さまざまな立場から議論するために勉強会や講師を招いてのセミナーを開催してきた。結論は出なかったが、「自己決定」概念の再検討を行い、そして議論を深め、対話していくことの重要性を再認識した。

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