開催日時
- 2003年10月25日(土)
- 基調講演 : 10:00~11:30
- ワークショップ: 13:00~16:20
- 全体総括 : 16:30~17:00
プログラム
基調講演
「ソーシャルワーク実践における記録について ~記録法・倫理・実践の科学化の3つの視点から考える~」
講師; 東北福祉大学大学院 特任教授 根本 博司
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A:ソーシャルワーク実践の記録化 ~ 今「ソーシャルワーク」実践の記録とは~
講師: 赤羽荘、片桐健一、他一名
コーディネーター:明治学院大学 深谷美枝
介護保険、支援費制度と次々と制度的な大変革がなされる中、実践において利用者個々のケアプランが重視され、また記録が以前よりも重要視され工夫されシステマティックになされるようになってきたように見受けられる。しかし分野による記録の方法が大きく異なるようになり、分野により実に様々な書式の記録が様々な観点からなされている、という実態もある。そのような中で、このワークショップでは様々な分野や現場におけるに記録の形式を共有することからはじめ、ソーシャルワーク実践の記録とは何か、実践記録がソーシャルワーク実践としての日々の実践に活用されうるものとなるにはどうであったらいいのかを一緒に考えていきたいと思う。 前半は、各自の職場の実践記録用紙を活用したワークショップを考えている。
*参加希望者は勤務先の実践の記録用紙(書式)の白紙コピーを一部、お持ちください。 また後半では2名の若手ワーカーの提供事例をもとに、具体的に記録の方法について考えていただきたいと思う。
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B:「実践の記録化と倫理的課題-医療福祉領域でのIT化から見えてきた課題」
講師:NTT東日本関東病院 原田とも子
コーディネーター:明治学院大学 大瀧敦子
近年様々な領域でIT化が推進されているが、こういった波は、今後介護保険や支援費制度の普及で、社会福祉関連領域にも無縁ではなくなるだろう。例えば、記録の電子化の波といった形で押し寄せてくるのは、そう先の事とは思えない。だが、こういった記録のIT化などは、効率性や利便性というメリットだけではなく、様々な倫理的課題を含んでいる。
そこで本ワークショップでは、他の福祉関連領域に先駆けてIT化が進む医療機関での実践に着目し、日々の実践の中で記録のIT化に取り組んでおられる、原田とも子さんをお迎えする。ワークショップの中では、一般的な記録化の際に求められる基本的スキルを講師とともに確認し、カルテの電子化に伴って顕在化してきた、他専門職者との情報の共有化という問題等について提示していただく。そして最後に、今後ソーシャルワーク実践記録を記す上で留意すべき倫理的側面とは何かについて整理していく。
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C:「実践の科学化・理論化」
講師:松下電工株式会社ナイスエイジフリー事業推進部 船谷 博生
コーディネーター:東北福祉大学大学院 根本博司
このワークショップでは、松下電工株式会社ナイスエイジフリー事業推進部ケアマネジメント担当船谷博生さんに、今年1月「港区老人家族問題研究会」で報告してくださった事例を再度提示していただいて参加者で討議し勉強したいと考えている。この事例は、高齢者・家族の援助過程のみならずスーパービジョンの在り方を示すものである。
船谷博生さんは、現職について3年、その前は港区福祉事務所のケースワーカーをしておられた。また、明治学院大学社会学部の卒業生であり、「港区老人家族問題研究会」を立ち上げた人でもある。
なお、実践の科学化・理論化ということでは、根本の論文「理論構築のための事例研究の方法」(ソーシャルワーク研究Vol.26 No.1)、「高齢者・家族に対する相談援助活動の在り方に関する研究(2)」(明治学院大学社会学部付属研究所年報31号)に言及することになるだろうと思う。