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健康とは何か ―地域における「病いの語り」から

 

研究者代表 柘植あづみ
研究者 飯田さと子、高畠有理子

この調査の目的は、人はどんな状態を「健康」だとするのか、なぜ「健康」が大事だとするのか、「健康」の概念は社会の状況や文化、あるいは個人が置かれている状況といかにかかわるのかを、聞き取り調査によって把握し、そこから「健康とは何か」を検討することである。そこで山形県の中山間地(50名弱)と首都圏(30名弱)(いずれも前年度調査分を含む)における直接面接の半構造的聞き取り調査を実施した。その結果から、人々が「病い」の経験をいかに語り、意味付けているかを分析している。たとえば、糖尿病やがん、心臓病などの一般に重篤な慢性疾患とされている病気があっても、自分のことを「健康だ」と語った人、逆に、病気やけがはないにもかかわらず「不健康だ」と語った人がいた。その理由を分析すると、1)個々人によって、病気になることや年をとることについてのイメージが異なり、2)そのイメージ形成には、自分の身体経験に加えて、看病、介護、看取りの経験などが影響していること、3)実際に自分が経験した身体状況の変化や病気、障碍によって職場や家族、地域における自分の役割や責任を果たせているかの自己評価、4)病気予防や健康維持についての知識や行動をしていたかなどについての自己評価、などに影響を受けていることがわかってきた。豊富なデータが得られたために、分析・考察に時間がかかっているが、『研究所年報』に論文を掲載するように作業を進めている。

 

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