社会福祉サービスは利用者の生活支援の手段として有効に活用されることが求められる。そこには、利用者のニーズと提供される社会福祉サービスのマッチングという手続きが存在することは明白である。では、そのマッチングに存在するものとは何か。ひとつには、利用者のニーズ把握の手段として着目されてきている「アセスメント」である。「アセスメント」はサービス提供過程での「定式化された手続き」であり、既に言及し尽くされた課題と評されるかもしれない。障害者相談支援事業での「アセスメント」、とくに、知的障害のある人に焦点をあてた事例的研究(2008年度の本研究プロジェクト)を試みることから、改めて、「生活実態把握」としてのアセスメントに関連する課題を確認することができた。具体的な相談という実践を通して、「生活の中に知的障害という障害をどのように捉えていくか」である。地域での相談支援が強化される方向にある今日、本課題は利用者にとって障害者相談支援の機能を明確するためにも検討を深める意義がある。
障害者相談支援で「生活の中に障害をいかに捉えるか」という課題に接近するために、改めて障害者福祉の展開過程における「相談」機能に着目する。具体的には、我が国における障害者福祉における相談支援が実践レベルでどのように醸成されてきたかを把握する。措置制度、契約制度というサービス利用制度の変化を視野に入れながら、戦後社会福祉法制定後に障害者相談実践経験をもつソーシャルワーカーを対象に聞き取り調査を研究会形式で実施した。
分析結果は年報に報告予定であるが、研究としてはまだ端緒に就いたばかりであり、結論に至るまでには達していない。データの集積に向けて継続研究の必要性が明らかになった。