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ヨーロッパ統合のなかの国民国家、都市、地域社会 -スペインにおける言語と地域の問題を中心に

 

研究者代表 岩永真治
研究者 JORGE DE LA BARRE

バスク地域社会の問題は、スペイン側(パイス・バスコ)とフランス側(ペイ・バスク)で、位相がちがってくる。スペインにおいて、国がつくる地図では、バスクは3県にまたがる地域社会であり、その政治的な中心はアラバ県ビトリアにある。だが、バスク地域で売っている「地図」は、フランス側3地域を含んでより広い地域をバスク地域としており、たとえばナバーラの中心都市であるパンプローナは、バスク文化を継承する中心地であるとされることもある。

言語に関して言えば、フランス側はフランス語教育が浸透しているなかにバスク語保護運動が存在し、スペイン側では、バスク語が四大公用語のひとつになっているものの言語使用の状況はより複雑である。そのようななか、2009年5月、バスク地域の議会選挙では、地域独立を必ずしも支持しない勢力がわずかながらも勝利した。この僅差の勝利がなにを意味するのか。「バスク地域は存在しない。存在するのはその結uセ語だけだ」という人もいるなかで、またヨーロッパ統合が進むなかで、とくにスペイン側バスクを中心とした地域運動は、国境地域においてナショナルな概念を変容させながら、どこに向かっていくのか。ガリシア語、カタルーニャ語などスペインにおける他の「公的言語」との関係はどうなるのか。都市や地域の文化の質の変容に敏感であり続けながら、そしてその変容の内側から、われわれは独立運動をふくめてさらに詳細にバスク地域の運動を捉えていかなければならない時期に来ている。

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