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熟議デモクラシーにとってのインターネットの役割

 

研究者代表 宮田加久子
研究者 安野智子 池田謙一

本研究では地域SNSの事例研究から地域の問題解決のためのオンライン議論(online deliberation)の現状と可能性を検討した。地域SNSでは主にコミュニティ内のトピックごとの掲示板とブログへの投稿・コメントによってコミュニケーションが行われている。そのコミュニケーションを通じて、地域に関する情報の共有が行われ地域への関心が高まり、地域問題解決のための活動への参加が促進される効果があった。たとえば、地域SNSの社会的ネットワークが災害時には支援や対策を話し合うネットワークとなり、実際のオフラインでの話し合いや活動へとつながった事例があった。また、育児中の母親たちが地域SNSでのコミュニケーションを通じてサポートをしあうことから始まって、地域での子育てに関する情報や問題意識を共有して、さらには地域SNSに参加していない地域の母親たちや地方自治体とも連携して、問題解決のための活動を行うに至った事例も認められた。さらに、地域SNSで地域の祭りやイベントの企画を話し合うことがその後の地域問題を考えることにつながった例もあった。ただ、大半の地域SNSは参加者が少ない。地域コミュニティティ居住者に限定せずに共通の関心を持つ人々や考え方・行動様式などで異質な側面を持った人々など、橋渡しの役割をする人々を地域SNSに呼び込むことで、地域問題解決のための議論を活発化できる可能性がある。また、地域SNSに参加していない地域の人々や既存のコミュニティ組織、行政とのかかわりを持つことがオンラインで議論したことをオフラインの活動につなげるために必要である。

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