名称:日本の社会調査史におけるライフヒストリー研究
講師:桜井 厚 氏(一般社団法人日本ライフストーリー研究所代表理事)
日時:2024年2月8日(木) 16時00分~18時00分
場所:社会学部付属研究所 多目的ルーム
申し込み:要(ちらしにあるリンク・QRコードから申し込み可能)
報告内容:ライフヒストリー法は、W.I.トマス&F.ズナニエツキ『ポーランド農民』を嚆矢として社会調査法として長い歴史をもつが、わが国の社会調査史の中ではリバイバル期と言われる1980年代前後から注目され、とくにオーラル・データを用いる手法が有力な研究法の一つになった。社会学におけるライフヒストリー法のリバイバル期の先鞭をつけた中野卓『口述の生活史』(1977)は、中野にとって一つの社会学的な冒険、研究のターニングポイントであり、中野自身も当初はそう語ってもいた。ところが、しだいに中野はライフヒストリー法が自分の以前からの研究アイディアであり、商家同族団や同族組織、漁村における家と家連合などのそれまでの自分の研究との連続性を主張するようになった。この研究の連続性という中野の主張の根拠を彼の研究史に尋ねながら、社会学的調査法を自らの調査研究実践とともに鍛え上げてきた戦後第一世代の社会学的フィールドワークにおいて、ライフヒストリー調査がどのような手法として理解され実践されたのか、その調査法を通して何を求めようとしたのかを明らかにしたい。
主催:明治学院大学社会学部付属研究所
対象:社会学部教員、大学院社会学専攻・社会福祉学専攻学生
担当者:稲毛 和子(明治学院大学社会学部付属研究所 研究調査員)
schyosa@soc.meijigakuin.ac.jp
【講師プロフィール】
桜井 厚 1947年生まれ。一般社団法人日本ライフストーリー研究所代表理事。元立教大学社会学部、千葉大学文学部、中京大学社会学部教授。専攻はライフヒストリー/ライフストーリー研究、社会問題の社会学。主要著書(単著)として『インタビューの社会学――ライフストーリーの聞き方』(せりか書房、2002)、『境界文化のライフストーリー』(せりか書房、2005)、『現代社会学ライブラリー7 ライフストーリー論』(弘文堂、2012)。訳書にW. I. トーマス、F. ズナニエツキ『生活史の社会学──ヨーロッパとアメリカにおけるポーランド農民』(桜井厚訳、御茶の水書房、1983年)、A. シュッツ『現象学的社会学の応用』(桜井厚訳、御茶の水書房、1980年)、K. プラマー『セクシュアル・ストーリーの時代』(共訳、新曜社、1998年)ほか。