本書は、日本語の相互行為を扱った「会話分析」の本格的な仕事の1つだ。産婦人科医療における、医療従事者と妊婦・患者とのやりとりを直接ビデオに収録し、目の向きから、手の動き、細かなことばの振動まで、やりとりの細部に目を凝らす。そこに見えてくるのは、縺れ合うことばとからだと道具が、互いの意味を担い合い、鍛え合う様子にほかならない。見るとは、触れるとは、訴えるとは、聞くとは、......どういうことなのか。
文化書房博文社 2008年6月発行
定価3,570 円(税込)ISBN978-4-8301-1128-0
目 次
- はじめに 西阪 仰
トランスクリプトの記号
- 序章 会話分析と女性医療の社会学 西阪 仰
- 第1部 道具と相互行為――環境のなかの身体
- 1章 技術的環境における分散する指し示し――超音波検査における相互行為 西阪 仰
コラム 1 産科における超音波検査
- 2章 非技術的環境における指し示し――経膣触診における相互行為 西阪 仰
- 3章 診療記録媒体への指し示し――婦人科カウンセリングにおける相互行為 高木 智世
コラム 2 更年期とホルモン補充治療
- 第2部 女性医療における相互行為の秩序
- 4章 婦人科カウンセリングにおける「心の問題」をめぐる問題 高木 智世
- 5章 不妊治療方針に関する提案の構造 川島 理恵
コラム 3 不妊治療
- 6章 不妊治療における患者意思の立ち現れ方 川島 理恵
- 7章 妊婦が心配事を語るとき
――非正当的位置における防御的問題提示について 西阪 仰
- 付録
依頼書・承諾書
データ使用の手引き
- 引用文献
- 索引