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学科主任メッセージ

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社会学科主任
坂口 緑

「ときめく正門」

私は今まで三つの大学に所属してきました。四谷にある大学、駒場にある大学、そして白金台と横浜にある大学です。

四谷の大学に通っていた頃は、満員電車にげんなりしながらも、あこがれの大学の正門を通るだけで晴れやかな気持ちになったものです。時間ぎりぎりだとわかっていても、いつも、通用門ではなく正門から登校しました。難しそうな本をわざとブックバインダーでくくって小脇に抱え、外国語の聞こえるキャンパスを歩き、大学生になったことを確認しては、悦に入っていました。正門脇のベンチ、学食の2階、通用門近くの定食屋、その先のカフェを回遊し、友達に会ってそのままどこかへ行ってしまうこともありました。勉強も遊びもアルバイトも楽しくて、あっという間の4年間でした。

けれども大学院生として通った大学では、正門から入ることができませんでした。本とコピーでぱんぱんにふくれたリュックを背中に、とぼとぼと坂の下にある門を通りました。自分の能力が信じられず、将来も不安で、誰ともあまり親密になれずにいた私には、体を斜めにしないと入れない柵のある、日陰の入口のほうがふさわしいと無意識に思っていたのかもしれません。今でも、この大学を訪れるときは坂下門から、となぜか決まっています。

白金台の大学に勤めることになり、私のときめく正門時代が再びめぐってきました。正門から登校したくて遠回りをし、バスにのってやってくることもたびたびです。右手の門柱に刻まれた伝統ある旧字体の校名、芝生の緑と壁板のピンクのコントラストが美しい記念館とインブリー館、黄色いステンドグラスが目立つ重厚なチャペル。晴れた日の美しさも、曇りの日の陰影もすべてが美しく見えます。11階の研究室でコンピュータの画面に向かって仕事をする合間に窓から見下ろす、3号館の屋根の緑青、グラウンドに響くラグビー部のかけ声、学生たちの流行のファッション、近くの保育園から遊びに来る子どもたちの歓声。教室で、ゼミで、学生とともに学び続けることのできる大学の仕事は、飽きることがありません。恵まれた環境で研究を進められることにも感謝しています。多様な背景をもつ人たちが集い、出会い、ともに学び合う明治学院大学社会学部のこの学風が、正門をさらにときめくものにさせているのでしょう。100年以上、何万人もの学生の出入りを見守ってきた白金台の正門を、グランデラテを手に、今日もまた通れることに私は静かに感動しています。