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学部長メッセージ

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社会学部長
北川 清一

社会学部の伝統的ミッション

社会学科と社会福祉学科というわが国でも数少ない学科編制をとる社会学部は、2015年に創設50周年を迎えました。その前身とされている社会科時代から数えますと2018年には90年となりますが、その歴史は明治学院大学そのものといえるような歩みを刻んでいます。

この90年間、日本は、政治・経済・市民生活のいずれの部面をとっても激動の時代であったといえますが、社会学部は、常に「変えてならないもの」の存在を調査や実践を通じて解き明かし、講義室や演習室での授業で学生とともに科学的証拠に基づき論証することに努めてきました。その取り組みの態様は、時に為政者が求めるものと激しく対立しても「真理」を曲げることなく、学生に教授し、研究の成果を社会に発信し続けるという信念に貫かれたものでした。このことは、私が東北の大学で学生時代を過ごしていた時に恩師を介してお目にかかった社会科第1期生であった方のパフォーマンスから感じとれたものでありました。明治学院の学風を語り、社会科の学生として学んだ「時代を先取する」英知を自らの行動基準に定められながら「社会」について学ぶ一学生でしかない私に語りかけてくださった際の真摯な姿は感銘を覚えるものでした。その出会いは「社会」とその構成員としての「個人」について「科学とヒューマニズム」を基点とする学びの方法に興味を覚えた瞬間であったことを40年過ぎても鮮明に覚えています。私にとっては、自分の以後の人生の歩みを決定づけられた人との出会いであったのです。大学として長い歴史を刻む明治学院、とりわけ、社会学部は、そのような経験と機会に若い方々が遭遇できる環境を提供する場でありたいと願っています。

人びとの暮らしのなかの「荒み」「きしみ」が随所に顕在し、命の尊厳を踏みにじるような「事件」「事故」等を耳にすることは、もはや日常化した感があります。しかし、そのような事態に向き合う過程で、生きることに翻弄されている人びとの実態は一律に説明し難い事情にあることが詳らかになります。ところが、そのような状況を読み解く際に、私たちは「多くの方々」や「皆さん」なる言葉を用いて語ることが多くなりました。とりわけ、2011年3月11日に遭遇した未曾有の東日本大震災以降、持続可能な未来社会について、それを「国の形」を切り口に論じる傾向が定着しています。人びとの「悲しみ」「苦しみ」「もがき」「切なさ」等を「最大公約数=マス」のような視点から受けとめている限り、暮らしの真の再生に寄与できることはありません。人としての命を繋ぐための支援を最も必要とする状況に置かれているであろう「いと小さき者」(聖書:マタイ第18章1節~14節)の「最後の一人」自身が「温かい血の流れ」を感じ取れる「営為の形」について社会学部は希求していきたいと思います。さらに、そのような願いをかなえる「枠組み」は与えられるものでなく、そこに連なる者が人びとの「語り」から構想し、創り、支え、批判し、変えていく過程を通じて生成されるという事実を、「社会」について学問し、研究する際の基底に据えた共同体になれるよう努めたいと考えます。

時代がいかに変動し進展しても、何よりも「一人の人間」の「人格」と「人権」と「尊厳」を重んじることを基本に、社会学と社会福祉学は、「時代を先取する」感性を社会に発信できればと思います。それが社会科の時代から続く社会学部のミッションです。白金キャンパスで意義ある豊かな大学生時代を過ごしていただきたいと願います。