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主任メッセージ

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社会学専攻 主任
澤野 雅樹

社会学専攻主任メッセージ

 新入生のみなさん、入学おめでとうございます。
余計なアドバイスかもしれませんが、大学院への進学というのは「うれしい」とか「楽しみ」とかいう言葉では言い尽くせない、ちょっと奇妙なところがあります。
大学時代の友人たちはみんな社会に出て行ったのに、自分だけがまだ学校に残っているんです。どことなく居残りを命じられたような、周囲から取り残されているような、または自分の居場所にいるはずなのになんとなく居心地がわるいというか、どこか宙ぶらりんな気持ちになるかもしれません。私もそう思いました。
でも、その宙ぶらりんな感覚は、これから孤独という特別な時間を手に入れ、自分だけの道を切り拓いていくための土台になるはずです。孤独などと言われると寂しい気持ちになるかもしれませんが、むしろ積極的に没入し、かけがえのない時間を大事に使ってください。

なにか心配事があったら、指導教官をはじめ、履修した授業の先生方に積極的に相談してみるとよいでしょう。きっと、あなたの不安それ自体が社会学の諸問題に通じていることを知らしめられるでしょう。そして、社会学的思索の第一歩は自分自身というフィルターを通して社会の問題を発見するところにあると気づくことになるかもしれません。
たぶん明学の社会学専攻には、あなたのふとした問いかけから、とんでもない場所にいざなってくれるスタッフがそろっているでしょう。人材の豊かさという点では、日本でも希有なところだと思います。ただし、どれほど充実したスタッフをそろえていても、あなたがたが自分のために利用しなければ熊の置物とかわりません。
なんとかとハサミは使いようです。

これからの世界は、あらゆる学問にとって正念場を迎えることになるでしょう。試練の時代と言ってもかまいません。
社会学が出現して以来、偉大な先達も未熟な新米も、みんな取り組んできた問いがあります。
社会って、どうなっているんだ?
そもそも社会って何なんだ?
これらの問いを、それぞれの時代にあって社会学者は発しつづけ、それぞれのやり方で解こうとしてきました。
私たちは私たちの時代において、おなじ問いを発することになります。
世界は今、どうなっているのか?
この時代に社会学を専攻する意味はどこにあるのだろう?
社会学という学問にいま何が求められているのか?
昨今のさまざまな問題に対して、社会学はどんな道具立てを揃え、どんな分析ができるのか?
他の学問で話題になっている問題を社会学の土俵にのせたら、どんな料理ができるのか?
もちろん、どんな問題に取り組んでもかまいません。大事なことは三つ。
どんな些細な問題でも、この時代のこの世界につながっていることを忘れないこと、ゆえに思考の地歩を固めること、それから時代と世界に思いきり振りまわされること、以上です。

もちろん焦る必要はありません。はじめに言ったように、あなたたちが手に入れたのは、生涯のうちでももっとも自由に使える時間なのですから。