明治学院大学

明治学院大学

社会学部

社会福祉学科

社会福祉学科

八木原 律子 (担当科目:精神保健福祉論)

教員紹介ページ

 ◆ 専門領域あるいは担当科目の紹介


精神保健福祉論A・B、精神保健福祉援助技術各論A・B

「精神保健福祉論」と「精神保健福祉援助技術各論」を担当します。

「精神保健福祉論」は、まず精神障害者の処遇について歴史の変遷と共に、制度・政策がどのような変化を遂げてきたかを学習していきます。

我が国における精神障害者を取り巻く政策は1900年の精神監護法に始まり現在に至っています。1995年の精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)成立でようやく精神障害者も福祉の対象となりました。本講義では、各法制度の起源を整理していきます。また障害者を援助していく専門家(精神保健福祉士)についても資格に至った経緯について、権利擁護のあり方を探りつつ現在の精神保健福祉の動向に触れて行きたいと思います。

「精神保健福祉援助技術各論」は、障害特性をふまえ、対象者を取り巻く状況で、どのような専門的技術が必要とされるかを、実践されている現場の状況を通して講義していきます。本講義では、事例を取り上げ、援助技術の手法を学ぶと共に、よりよい援助技術を学ぶために必要なスーパービジョンにも力を入れていきます。


 ◆ 専門領域の理解を深めるための文献紹介


1 吉川武彦『こころの病事始め―精神障害者問題入門―』明石書店
本書は心のメカニズムを分かりやすく説明してあり、精神障害者を理解する上で参考になるでしょう。また歴史的に精神障害者がどのような処遇を受けてきたのか、そしてそれぞれの時代でその偏見と闘ってきた人々はどんな働きをしてきたのかを、やさしく解説しながらこれからの精神保健福祉の課題を提示しています。精神保健福祉を学習したいと思っていらっしゃる皆さんにお勧めの1冊です。
2 森田ゆり『エンパワーメントと人種―こころの力のみなもとへ―』解放出版社
わたしたちは潜在的に苦しみや悲しみ、迷いや不安に立ち向かう力を持っています。しかしながら、外敵や内敵から思うように自分の力を発揮できないことも本当です。本書では、自分が自分であるために、安心して生活していけるよう、自分の意志で、自信を持って生活していくことができるように、分かりやすく解説してくれます。福祉職に従事したい人には、必ず自分と向き合う場面が起ります。その時のためにまずはこの本で勇気をもらって下さい。
3 月崎時央『精神障害者サバイバー物語 8人の隣人・友達が教えてくれた大切なこと』中央法規
サバイバーの人達から勇気と安心と自信をもらいましょう。

 ◆ その他

なぜ精神保健福祉を志すようになったか

この領域に入ったきっかけは、学生時代、宮本忠雄先生(東京医科歯科大学教授)の正常と異常についての論文をよみ、境界線はどこにあるのだろうと興味を持った事から出発したように思います。民間精神病院での実習中に、副院長の一言「3週間で精神障害者のケアなど解りっこない。本当にこの道を目指そうと思ったら週に2~3日、6ヵ月程続けてみないとね」という刺激的な言葉や、そこで働く精神保健福祉士からも「職場を離れた時の精神保健福祉士の生活を覗いてみなさいよ。協力してあげる。」というすばらしい提案をいただいて、早速、各先輩方の生活を転々とする長期実習を開始することになりました。

個人的な状況を説明することはできませんが、6人の女性スタッフの私生活を垣間見せていただくことで、仕事と自分の生活、患者さんと自分、余暇の楽しみ方等多くの学びを提供していただきました。私の活動の原点になっています。貴重な体験をさせていただくことができました。

正常と異常の境界線については、私自身、今もって明確な解答は得ていませんが、時代的背景や思想の変化、地域住民の許容力によって違いがあるのだということが理解できたように思います。

社会学部生のための手引き集

日々の社会福祉学科

社会学科・社会福祉学科の情報を発信しています。