岡本多喜子 |
Takiko Okamoto |
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専門領域およびその概要
◆ 高齢者福祉、社会福祉政策、社会事業史
社会事業から社会福祉への変化は、内部からの主体的な変化ではなく、時の社会的な状況のなかで政策的な変更によって行われてきたという側面があります。社会福祉の現状を理解し、その本質を考えようとするとき、実施される政策の意義、背景などを考察することを避けて通ることはできません。高齢者福祉を中心として、これらのことを研究したいと考えています。
◆ 近年の研究テーマ
老人ホームにおける処遇の歴史的研究:戦前から1960年代までの養老院、老人ホームの第一次資料を収集分析し、具体的な利用者処遇を検討し、今日の日本の高齢者施設でのケアが忘れがちな人との関係性などについて考察をしています。
地域で生活をする高齢者の環境改善の可能性:WHOの高齢者にやさしい街調査の実施、分析から高齢者を取り巻く地域社会のあり方を検討することを目的としています。 また高齢者にやさしい街の視点による地域作りを支援しています。
介護者調査:シンガポール大学との共同研究である「妻を介護する夫の事例的研究」を基に高齢者の介護問題、その解決方法などについて検討しています。
老人福祉法制定から介護保険法の時代までの政策研究:老人福祉法の形成過程についてかつてまとめたものの続きとしての研究です。老人福祉法が制定されてから今日までの社会・経済的な変化、政治の流れを検討します。
担当授業
社会福祉方法演習1では将来、高齢者分野の実習を希望する学生を中心として、高齢者の特性などを理解し、コミュニケーション技術を高めるための演習を行っています。実習3は社会福祉方法演習2と連動しており、実際に配属された高齢者関連の施設で実習を行うに当たっての指導が中心となります。また、卒業論文Bの作成も行います。老人福祉論Aは老人福祉の現状を社会保障全体のなかから捉えていく授業です。これらの授業から、高齢者に関わる制度・政策、高齢者問題の現状などを理解することを目指しています。老人福祉論Bは歴史的な視点から高齢者問題の変化を考えていくことを目的としている授業です。社会的な背景、経済的な状況をはじめ、文化的な要因も絡めて、高齢者の生活と政策との関連を考えていくという内容です。
担当授業での使用テキスト・参考文献
- 岡本多喜子『養老事業から高齢者福祉への変遷』青踏社。
- 長寿社会開発センター『老人福祉の手引き』。
研究業績
- 「生活支援策の不整合」『社会学・社会福祉学研究』(明治学院大学論叢)第114号、2003年。
- 岡本多喜子『養老事業から高齢者福祉への変遷』青踏社、2004年。
- 「福祉産業と社会保障」渡辺・服部・小島編『福祉産業経営』同文館出版。
- 「寄付行為・ボランティア・韓流ブーム」『社会学・社会福祉学研究』(明治学院大学論叢)第119号、2005年。
- 「日本における介護保険法の改訂・その実態と課題」'Korean Journal of Research in Gerontology'Vol.14 2005,(日本語)
- 「高齢者の生活支援」「今後の高齢者の生活」岡本多喜子編『高齢者の生活保障』青踏社 2005年。
- 「東京都における高齢者の生活と社会福祉の役割」『ソウル・北京・東京の老人の生活の質と社会福祉政策の状況』韓国老年学会 2006年(日本語、ハングル)
- 「高齢者の暮らしの尊厳と介護保険制度の課題」『社会福祉研究』第100号 鉄道弘済会 2007年10月。
社会的活動
- 神奈川県「かながわ人権政策推進懇話会委員」委員
- 港区「高齢者福祉サービスの苦情解決及び質の向上に関する委員会」委員長
- 東京都社会福祉協議会「福祉サービス運営適正化委員会」委員
- 平塚市社会福祉協議会「総合企画委員会」委員
- あしたの日本を創る協会「ふるさとづくり賞中央委員会」委員
- 社会福祉法人 小鳩会 監事
- 社会福祉法人 鈴の音会 理事
- 恩賜財団東京済世会中央病院 治験委員
- 新宿区外部評価委員
プロフィール
日本社会事業大学大学院修士課程修了。東京都老人総合研究所から東海大学教養学部を経て、1999年明治学院大学社会学部社会福祉学科助教授、2000年に同教授となる。2003年度・2004年度社会福祉学科主任、2005年度2006年度学生相談センター長。サイモン・フレーザー大学老年学部visiting fellow(2007年9月から12月)。日本老年行動科学会常任理事・学会誌編集委員長 。