明治学院大学

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社会学部

社会福祉学科

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カンボジアでの国際協力と調査研究  (担当教員:明石留美子)

社会福祉学科福祉開発コースの2年生12名がカンボジアに出発!

関心があってもなかなか行けない開発途上国。そのように思っている人は多いのではないでしょうか。私たちのフィールドワークでは、福祉開発コースの2年生12名(男子6名、女子6名)が、「国際児童福祉の実践」をテーマに、2009年9月11~18日、カンボジアを訪れました。先進国である日本の学生が開発途上国で研修を行う場合、配慮しなければならない倫理があります。その一つは、私たちが訪問学習することで受け入れ先の人々に不利益がもたらされてはいけないということです。人々や社会の問題に取り組むという社会福祉の基本に基づき、私たちはカンボジアの人々に少しでも役立つことを最も大切に考えてきました。このフィールドワークでは2つの目標を設定しました。カンボジアでのボランティア活動と本格的な調査です。


(写真1)カンボジアの子どもたちと

小さな国際協力を行いました

出発前の授業のなかで、学生たちから、カンボジアの子どもたちに何かを贈りたいという希望が出ました。「鉛筆を寄付しては?」という案が出されましたが、鉛筆は本当に必要とされているのでしょうか。訪問先の一つである児童保護団体に尋ねると、必要なのは子どもたちに提供するお米と服でした。つまり、鉛筆ではなく、生きていくためのベーシーックニーズでした。先進国の学生たちが想像するニーズと、カンボジアの子供たちの実際のニーズには差があることに気づき、国際協力の基本である、ニーズを調査することの大切さを痛感しました。授業で話し合い、お米の購入資金を集めるために募金を行うことになりました(写真2)。


(写真2)出発前に大学内で募金を行いました。

カンボジアでは、募金で集まったお金と学生自身の寄付金で、訪問先が保護している30人の子どもたちを1か月間養える量のお米を購入することにしました(写真3)。


(写真3)50キロのお米を皆で運びます。

お米とともに不足している子どもたちの服はどうしたら? 学生たちは、日本から真っ白のTシャツと衣服用のペンキを持って行き、子どもたちに思い思いの絵や文字を書いてもらってプレゼントすることにしました。子どもたちは、皆で描くプロセスを楽しみ、世界に一つしかない自分たちのTシャツをとても喜んでくれました(写真4)。


(写真4)子どもたちといっしょにTシャツづくり。

日本国際保健医療学会で発表

ボランティア活動に加え、カンボジアでは調査活動を行いました。12名が2班に分かれ、「児童保護に必要な要素」と「紛争後諸国の人々への支援」をテーマに質的調査を実施し、2010年3月、日本国際保健医療学会で研究者として本格的に研究成果を発表しました(写真5)。


(写真5)日本国際保健医療学会で研究発表を行いました。

同じアジアのなかでも、環境に恵まれない子どもたちがいる。その傍ら、彼らを懸命に助けている人々がいる。このフィールドワークに参加した学生たちは、子どもたちとの別れ際に、苦境にあっても力強く生きている子どもたちに感動し、思わずエールを送っていました。学生たちは、授業を通じて、視野を大きく広げ、チームワーク、英語の練習、企画と運営、学会発表と、様々な難しい課題にチャレンジし続け、たくさんの能力を発揮してきました。


(写真6)時計もアクセサリーも外し、ビーチサンダルか裸足と、子どもたち変わらない姿で臨みました。皆の思い出にと、デジカメだけは例外でした。

帰国後の最後の授業で、学生たちは次のような感想を書いています。


「悔いなく頑張れたと思います。」
「カンボジアでの一週間は生涯、忘れることのできない経験になったと思います。関心のあったアジアの開発途上国の現状を自分の目でしっかり見ることができたということは、大きな財産です。」
「大学生になって、こんなにも充実した一週間があるのかというぐらい、有意義な実習でした。」
「英語力のなさに焦りを感じ、もっと英語でコミュニケーションをとらなくてはいけないと改めて感じました。様々な人の前で意見を言うことの難しさも味わいました。」
「話し合いでは積極的に意見を出し、自分の能力をフルに活用してきました。」
「人生感を大きく変えてくれたこのフィールドワークに参加できて本当によかった!」



(写真7)子供たちに、現地のことば、クメール語であいさつ。

2010年3月  明石留美子

社会学部生のための手引き集

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