新保美香 |
Mika Shimbo |
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専門領域およびその概要
公的扶助は、生活上に起こるさまざまな出来事により、日々の生活を営むことが困難になったときに、国がその責任において生活の保障をするしくみです。日本では、生活保護法が憲法第25条にもとづき、「健康で文化的な最低限度の生活」を具体的に保障する制度としての役割を担っています。生活保護制度のありかたや、その制度を運用する現業員(ケースワーカー)の実践方法について、海外の制度や、関連する諸施策をふまえ、多角的に検討しています。
◆近年の研究テーマ
これまで、生活保護の実践活動にかかわることに関心をもって取り組んできました。現在は、主に、生活保護ケースワーカー・スーパーバイザーの研修やサポート体制づくりのありかた、および、生活保護における自立支援について検討しています。
2011年度は、内閣府で企画実施された「社会的リスク実態調査」および「親と子の生活意識調査」に参加させていただき、低所得世帯をめぐる諸状況について、多くの学びを得ました。また、社会福祉法人 恩賜財団 済生会の「生活困窮者問題調査会」では、無料低額診療事業に関する調査研究をさせていただき、日本社会福祉士会の「社会福祉士の事業及び活動モデル等開発に関する調査研究」では、優れた社会福祉士の実践に数多くふれさせていただきました。「特別区人事・厚生事務組合 更生施設自立支援プログラムに関する調査研究」(主任研究者:岡部卓)では、職員のみなさまとともに、更生施設の業務支援ツールづくりに携わることもできました。
生活保護のみならず、貧困低所得領域における多面的な調査研究を通じて、大変貴重な経験をさせていただいた1年でした。
2012年度は、全国各地の福祉事務所のみなさまとともに、生活保護の自立支援のあり方に関する検討を、更に深めていきたいと思います。また、アジアにおける社会福祉実践についても、調査研究していきます。
担当授業
◆学部担当授業
- ソーシャルワーク演習2
- 公的扶助論A
- ソーシャルワーク基礎実習指導
- ソーシャルワーク演習1A
- ソーシャルワーク実習指導B
- 公的扶助論B
- ソーシャルワーク演習1B
- ソーシャルワーク演習1C
- ソーシャルワーク実習指導A
- ソーシャルワーク実習
◆大学院担当授業
- 研究指導1
- 研究指導2
- 公的扶助論研究A
- 公的扶助論研究B
- 研究指導(公的扶助論研究)
研究業績
- 『社会福祉学習双書』編集委員会編 『社会福祉学習双書 2012公的扶助論-低所得者に対する支援と生活保護制度』 全国社会福祉協議会 2012年。(共著)
- 「生活保護受給者への就労支援の現状と課題」『マッセOSAKA研究紀要』 財団法人 大阪府市町村振興協会 おおさか市町村職員研修研究センター 第15号、2012年。
- 「生活保護就労支援員のための援助技術演習」 『生活と福祉』 2012年1月号、 全国社会福祉協議会。
- 「生活保護担当職員の実践力を高める研修プログラムの構築-「研修の内製化」の意義と展望-」(根本久仁子・森川美絵との共著)『研究所年報』明治学院大学社会学部付属研究所、2011年。
- 「生活保護『自立支援プログラム』の検証-5年間の取り組みを振り返る」『社会福祉研究』109号 鉄道弘済会、2010年。
- 新・社会福祉士養成講座・第16巻『低所得者に対する支援と生活保護制度(公的扶助論)』(第2版)、中央法規出版、2010年。(共著)
- 「貧困とソーシャルワーク--生活保護におけるソーシャルワークをめぐって」『ソーシャルワーク学会誌』19号、2010年。
- 「シンガポールの社会問題と社会福祉」『アジアの社会福祉(‘10)』放送大学教材、2010年。
- 『生活保護の相談援助活動 自己点検ワークブック』(岡部卓・森川美絵・根本久仁子と共著)中央法規出版、2009年。
- 「生活保護における就労支援のあり方について」『明治学院大学社会学・社会福祉学研究』 131号、2009年。
- 「生活保護ケースワーカーのためのコミュニケーション基礎講座」『生活と福祉』2007年2月号~2008年1月号(連載)。
- 「生活保護制度と自立支援」『月刊福祉』2006年7月号。
- 「公的扶助のゆくえとソーシャルワークの展望」『ソーシャルワーク研究』第124号、2006年。
- 「新人ソーシャルワーカーのあいうえお」『季刊公的扶助研究』2006年10月号。
- 『生活保護スーパービジョン基礎講座』全国社会福祉協議会、2005年。
社会的活動
- Singapore Association of Social Workers (SASW) メンバー
プロフィール
明治学院大学大学院を修了後、高齢者ケアセンター、福祉事務所ケースワーカー(高齢者担当・生活保護担当)を経て、現職に至っています。2004年度に、国立シンガポール大学(National University of Singapore)に、特別研究員として留学させていただき、多くの学びを得ました。趣味は、ジャンルを問わない音楽鑑賞とB級グルメの探究です。