社会福祉学科主任 大瀧 敦子
「社会福祉学を選んだ事」
4月から社会福祉学科の主任をつとめさせていただく大瀧です。これから2年間ですが,色々な学科行事でご挨拶をさせていただくことになると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
そして、2013年度の卒業生の皆さん、改めましておめでとうございます。2014年度の入学予定の方々、ようこそ明治学院大学社会学部社会福祉学科へ!
卒業生を送り出し、新入生を迎えるこの時期になると、いつも思い出すのは、私自身が社会福祉学という分野を選んだ経緯についてです。私が学部生になった1980年代には、「社会福祉学」という分野は今ほど一般的なものではありませんでした。高校の進路相談で、「社会福祉をやりたい」と話したら、「何故?どうして?」と不信がられました。当時の私は、まだ十分その動機を言語化できなかったので、「ヘレンケラーと誕生日が同じだから」と応えたのを覚えています。担任の先生からは完全に「変わり者」扱いでした。教員になる事を望んでいた両親も大反対。こちらには、「家庭裁判所の調査官になる」と大ウソをついて、進学を認めてもらった記憶があります。
本当のところは、犯罪者の更生や精神障害者福祉の領域に興味があったのですが、なぜ興味があるのか、当時は上手く人に説明できなかったのです。そして、大学で学び、精神科病院で実習をしていくうちに、自分は社会の中に受容れられ辛い人たちに関心があり、関わっていきたいという希望を持っているのだという事に気付いていきました。なぜそうなのかについては、更にその後、実習先の病院に就職し、ソーシャルワーカーになる事で自覚していったのですが、詳細は、又機会がありましたら。
こんな、私のちょっとした物語(これを、社会福祉学ではナラティブ、と呼びます)、皆さんにはどう響いたでしょうか。「事実」は、もしかしたら違っていたかもしれない。高校の先生は「変わり者」扱いしていなかったかも。両親も「大反対」と言うほどでは無かったかも。人の思い出は、時間という隔たりの中に点在する記憶です。真実かどうかが重要なのではなく、それらをつなぐ「物語」が、人には必要なのです。思い出を意味づける「物語」の中に、人は生きてきた意義を見出していくのでは?こんな「ナラティブ」の考え方は、社会福祉学のほんの一部分です。もっともっと、新入生の皆さんが興味を持って取り組めるメニューを、社会福祉学科では揃えています。
新社会人頑張って!そして新入生の皆さん、4月にお会いできる事を楽しみにしています。
大瀧 敦子(おおたき あつこ)