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フィールドワーク2009年度

フィンランド社会福祉研修【担当教員:岡伸一】

2009年12月16日から23日までの8日間、フィンランドのヘルシンキを中心に社会福祉研修を行いました。総勢27人を出迎えてくれたのは気温マイナス12度から21度という雪と氷の世界でした。10時頃明るくなり、15時には日没で太陽が低い位置にしか見えない暗い街並みでしたが、クリスマスの飾りつけが綺麗でした。さすがに若い学生は元気で、雪合戦からそり遊びまで無邪気に戯れていました。

精神障害者のピアカウンセリングを行うNPO法人の全国事務所、障害者の学校・活動センター・職業訓練施設・寮、高齢者(認知症)施設、高齢者グループホーム(写真1)、失業者や高齢者の活動センター、学童保育施設等々を回りました。昼食は各種施設で頂きましたがおいしく充実していました。


 

(写真1)高齢者グループホーム

まず、ヘルシンキの市立小学校を訪問し子どもたちと交流しました。世界1の教育水準について、「英才教育はしていない。できる子は何もしなくて良い。我々は落ちこぼれを出さないようにひとりひとり丁寧な教育をしている。」と話す校長先生はもう18年校長をしているそうですがまだ若い女性校長でした(写真2)。教育と福祉は相通じるものがあると感じました。


 

(写真2)ヘルシンキの市立小学校

バスで1時間半内陸に移動したラハティーの障害者施設では、音楽、美術、手芸等の職業教育、体育等を行う民間の学園で、市の補助金とギャンブル課税を財源にしています。寮もあり、馬小屋まである美しい施設でした。ダイヤモンドダストが綺麗に見える感動の場面でした。

日曜日は隣国エストニアに日帰りクルーズにでかけ、世界遺産のタリンの旧市街を見学しました。寒波で雪の中、短い時間での訪問でしたが、とても綺麗な街で、クリスマス市場でお土産を見て回れました。夕食は船上のビュッフェスタイルのディナークルージングで楽しめました。1週間を通して、食事はおいしく充実しており、女子学生は体重を気にしていました。

最後の晩餐は一般家庭で心温まるおもてなしを受けました。旅行中に偶然2人が20歳の誕生日を迎え、大きなバースデーケーキを用意しサプライズの誕生パーティーとなりました(写真3)。一生記憶に残る思い出になったのではないでしょうか。その夜には、パブで打ち上げコンパをして盛り上がりました。


 

(写真3)誕生パーティーの様子

学生はどの施設でも日本では信じられないくらい積極的に質問していました。「こんな施設で働きたい」と共感しあっていました。寒い国でしたが、街並みや雪景色だけでなく、フィンランドで出会った方々の綺麗な心にも触れ、美しいものにたくさん魅せられて、感動の研修でした。帰国後、学生が口を揃えて「楽しかった」「また行きたい」。最後にムーミンネクタイを学生にプレゼントされて、私も企画して良かったとつくづく実感しました。

カンボジアでの国際協力と調査研究【担当教員:明石留美子】

社会福祉学科福祉開発コースの2年生12名がカンボジアに出発!

関心があってもなかなか行けない開発途上国。そのように思っている人は多いのではないでしょうか。私たちのフィールドワークでは、福祉開発コースの2年生12名(男子6名、女子6名)が、「国際児童福祉の実践」をテーマに、2009年9月11~18日、カンボジアを訪れました。先進国である日本の学生が開発途上国で研修を行う場合、配慮しなければならない倫理があります。その一つは、私たちが訪問学習することで受け入れ先の人々に不利益がもたらされてはいけないということです。人々や社会の問題に取り組むという社会福祉の基本に基づき、私たちはカンボジアの人々に少しでも役立つことを最も大切に考えてきました。このフィールドワークでは2つの目標を設定しました。カンボジアでのボランティア活動と本格的な調査です。

 

(写真1)カンボジアの子どもたちと

小さな国際協力を行いました

出発前の授業のなかで、学生たちから、カンボジアの子どもたちに何かを贈りたいという希望が出ました。「鉛筆を寄付しては?」という案が出されましたが、鉛筆は本当に必要とされているのでしょうか。訪問先の一つである児童保護団体に尋ねると、必要なのは子どもたちに提供するお米と服でした。つまり、鉛筆ではなく、生きていくためのベーシーックニーズでした。先進国の学生たちが想像するニーズと、カンボジアの子供たちの実際のニーズには差があることに気づき、国際協力の基本である、ニーズを調査することの大切さを痛感しました。授業で話し合い、お米の購入資金を集めるために募金を行うことになりました(写真2)。

 

(写真2)出発前に大学内で募金を行いました。

カンボジアでは、募金で集まったお金と学生自身の寄付金で、訪問先が保護している30人の子どもたちを1か月間養える量のお米を購入することにしました(写真3)。

 

(写真3)50キロのお米を皆で運びます。

お米とともに不足している子どもたちの服はどうしたら? 学生たちは、日本から真っ白のTシャツと衣服用のペンキを持って行き、子どもたちに思い思いの絵や文字を書いてもらってプレゼントすることにしました。子どもたちは、皆で描くプロセスを楽しみ、世界に一つしかない自分たちのTシャツをとても喜んでくれました(写真4)。

 

(写真4)子どもたちといっしょにTシャツづくり。

日本国際保健医療学会で発表

ボランティア活動に加え、カンボジアでは調査活動を行いました。12名が2班に分かれ、「児童保護に必要な要素」と「紛争後諸国の人々への支援」をテーマに質的調査を実施し、2010年3月、日本国際保健医療学会で研究者として本格的に研究成果を発表しました(写真5)。

 

(写真5)日本国際保健医療学会で研究発表を行いました。

同じアジアのなかでも、環境に恵まれない子どもたちがいる。その傍ら、彼らを懸命に助けている人々がいる。このフィールドワークに参加した学生たちは、子どもたちとの別れ際に、苦境にあっても力強く生きている子どもたちに感動し、思わずエールを送っていました。学生たちは、授業を通じて、視野を大きく広げ、チームワーク、英語の練習、企画と運営、学会発表と、様々な難しい課題にチャレンジし続け、たくさんの能力を発揮してきました。

 

(写真6)時計もアクセサリーも外し、ビーチサンダルか裸足と、子どもたち変わらない姿で臨みました。皆の思い出にと、デジカメだけは例外でした。

帰国後の最後の授業で、学生たちは次のような感想を書いています。 


「悔いなく頑張れたと思います。」 
「カンボジアでの一週間は生涯、忘れることのできない経験になったと思います。関心のあったアジアの開発途上国の現状を自分の目でしっかり見ることができたということは、大きな財産です。」 
「大学生になって、こんなにも充実した一週間があるのかというぐらい、有意義な実習でした。」 
「英語力のなさに焦りを感じ、もっと英語でコミュニケーションをとらなくてはいけないと改めて感じました。様々な人の前で意見を言うことの難しさも味わいました。」 
「話し合いでは積極的に意見を出し、自分の能力をフルに活用してきました。」 
「人生感を大きく変えてくれたこのフィールドワークに参加できて本当によかった!」


 

(写真7)子供たちに、現地のことば、クメール語であいさつ。
2010年3月  明石留美子