明治学院大学

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社会学部

社会福祉学科

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フィールドワーク2014年度

農村地域のひとり暮らし高齢者世帯を訪問して (担当教員:河合克義)

河合担当の福祉開発フィールドワークは、今年度、山形県最上町においてひとり暮らし高齢者世帯を訪問し、生活の現実を直接お聞きする調査を実施しました。

事前学習として、大都市と地方都市や農村地域の基本的条件の違い、その中での高齢者の生活状況を比較検討しました。

まず、東京都港区という大都市のひとり暮らし高齢者の生活状況、ひとり暮らし高齢者に対する港区の諸施策について、港区役所に訪問して、聞き取り調査をしました。

つぎに、山形県の民生委員児童委員連絡協議会が主体となり実施された(明治学院大学河合研究室も協力)、山形県全市町村のひとり暮らし高齢者実態調査の結果を分析し、農村地域のひとり暮らし高齢者が都市部とどう違うのか、また共通する点はあるのか等について事前学習をしました。

その上で最上町の地域特性、行政施策について学習し、調査に臨みました。

最上町は、山がすぐ迫り、川の上流にあり、水がきれいで、川の魚、農産物が豊かなところです。町内には温泉街もいくつかあり、地域の魅力が豊富です。地域を本当に楽しみました。

<清水 浩一フィールドワーク> (担当教員:清水浩一)

  • 担当者氏名
    清水 浩一
  • テーマ
    横浜寿町にみる社会的排除の現実と社会統合の試み
  • 授業のねらい
    貧困と社会的排除および各種の支援を実地に学ぶことにより、応用的な手法を学ぶ。
  • フィールドワークの内容
    寿町における各種支援団体や施設等を訪問し、支援活動に参加すると同時に利用者と触れ合う。
  • 授業内容
    2014年度は以下のような内容で授業を進めてきました。
    <春学期>
    1. 貧困や格差社会、社会的排除についての基本を知る。
    2. 貧困の基礎(マルクス経済学の資本、賃労働、剰余価値、搾取等)を学ぶ。
    3. 現代のグローバリズム経済と格差の拡大について学ぶ。
    4. 世界の貧困の現実を文献により学ぶ。
    5. 実地体験(1)-クラス全員で横浜寿町の現地見学、現地スタッフの講義を受講
    6. 実地体験(2)-寿町内学童保育で子供たちと遊ぶ体験
    <夏季休暇期間> 8月~9月(3日程度)
    1. 実地体験(3)-福祉作業所での作業体験、町内の行事参加
    2. 実地体験(4)-ことぶき学童保育の夏季行事に参加
    <秋学期> 10月~1月
    1. 実地体験(5)-桜木町駅周辺の夜間パトロールへの参加
    2. 実地体験(6)-横浜駅周辺の夜間パトロールへの参加
    3. 実地体験(7)-寿デイ・サービスの一日体験
    4. 実地体験(8)-年末年始の炊き出し行事に参加
    5. 個人研究発表(テーマは自由。1人20分程度で模擬授業風の研究発表を行う)
    6. まとめ
  • 学生の自己負担額
    実習費一人5千円及び現地までの交通費
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フィールドワーク(NPOインターンシップ)概要 (担当教員:米澤旦)

○フィールドワークの意図と目的

本フィールドワークは、NPOインターンシップを通じて、地域社会でのNPO(非営利組織)の活動について理解を深めることを目的としています。NPOインターンシップとは、NPOの中間支援団体であるアクションポート横浜が企画・運営しているプログラムです。このプログラムでは、横浜市内のNPOと近隣の大学の学生を結びつけ、20団体程度の環境、福祉、子育てなどの分野で活動するNPOに、横浜にかかわりのある大学の学生がインターンの立場でかかわります。地域のNPOの活動に実際に参加することにより、NPOの活動の意義やむずかしさを理解することを狙いとしています。

○概要

  1. 春学期(文献講読/インターンシップの準備)
    春学期には、(1)文献の輪読と、(2)事例ワークシートの作成、(3)港区の社会福祉法人への訪問を通じて、NPOの活動の基礎について学びました。同時にインターンシップに臨むため、研修会やマッチング会に出席し、インターンシップの準備を進めました。
          
            (港区福祉施設への訪問)      (インターンシップの準備会への参加)
  2. 夏休み NPOインターンシップ
    夏休みには、4人の学生がNPOの活動にインターンとして参加しました。本年の学生のインターン先は、国際協力のNGOやその中間支援団体、プレイパーク、まちづくりNPOでした。参加者は、イベント企画や日常的な事務作業などを通して、多くの体験を積むことができたのではないかと考えています。
         
                       (インターンシップへの参加)
  3. 振り返りと個人研究・イベント参加
    秋学期には、インターシップの振り返りとインターンでの経験を基盤とした個人研究(文献の検討や新聞記事の報告)を実施しました。また、インターンで関わった団体のイベントに参加し、地域とNPOの関係について理解を深めました。

ニューヨークに行ってきました! (担当教員:明石留美子)

2014年度は、アメリカのニューヨークでフィールドワークを行いました。今回の主な目的は、移民先進国であるアメリカで多文化共生のあり方を現実から学ぶことと、英語力をアップすることの2つです。夏休み中の8月23日から30日の約一週間で訪れたニューヨークは、様々な民族が暮らす共生社会です。私たちは、チャイナタウン、リトルイタリー、アフリカ系の人々が多いハーレム、インド系・パキスタン系の人々が暮らすジャクソンハイツを訪れ、アメリカ社会の多文化共生のあり方を学びました。

そのほか、コロンビア大学社会福祉大学院(Columbia University School of Social Work)、国連、米国同時多発テロで崩壊したワールドトレードセンター跡地であるグランドゼロなどを訪れ、地域住民による防災チーム会合に参加し、東日本大震災の復興支援に向けたファンドレージングやひとり親家庭・低所得家庭の子どもたちとの遊びを通じた支援などの活動も計画し、英語で実践してきました。ニューヨークの子どもたちはとても明るく快活で、意思の伝達も上手です。

ニューヨークでたくさんの支援する人、支援を受ける人に出会い、英語でコミュニケーションをとって、新鮮で忘れられないフィールドワークとなりました。

ニューヨークから帰国した皆さんには変化がみられます。様々な経験を通して何を学び、何を感じたか・・・それぞれの報告をまとめました。

コロンビア大学社会福祉大学院の新入生オリエンテーションに出席し、大学院生とともにバーベキューランチにも参加しました。

セントラルパークで、復興支援のためのファンドレージングを行いました。

国連では、国連政治局選挙支援部政務官の宮村浩子さんから、途上国支援についてのお話を伺いました。

地域住民による緊急事態対応チーム(CERT)の会議に参加しました。会議では、英語で発言する皆を見て感動しました。

2014年度 北欧社会福祉フィールドワーク(岡ゼミ) (担当教員:岡伸一)

期日:2015年2月18日から2月27日まで
場所:デンマークのオーフス、オーデンセ、コペンハーゲン
参加者:学生36人(男性13人、女性23人)と岡、上杉さん(添乗員)

概要

岡ゼミの北欧社会福祉フィールドワークは、今年度はデンマークを選択した。福祉施設と教育施設を訪問してきた。実は、今年のフィールドワークの実施に際しては、いろいろな困難に遭遇した。一つは、出発4日前と3日前に、コペンハーゲンで突如テロ事件が発生したことである。銃撃にともない死者もでた。急遽、実施が危ぶまれたが、コペンハーゲンにおける活動を変更することで、実施することになった。

もう一つは、帰国の途について空港でチェックイン直前に、予定していた飛行機の故障がわかりフライトがキャンセルになった。総勢38人の団体で、結局、もう一泊して翌日のフライトに変更になった。混雑したところで長時間待たされて疲労したが、高級ホテルに食事付で1泊プレゼントされたかたちで、学生はむしろ喜んでいたようであった。

デンマークは今年は暖冬ということで、雪もなく、温度は日中0度から1度程度であった。ただ、訪問中は霙まじりの雨の日が3日あり、日本から行くとやはり寒い風を感じた。森の幼稚園の訪問中、そして、アンデルセンの故郷であるオーデンセ訪問時がちょうど雨で、皆、寒い中での外出となった。以下、スケジュールに沿って研修内容を紹介しよう。

【1日目】

2月18日(水)早朝7:15成田空港第1ターミナル集合で、9:45のSK984便で出発、コペンハーゲンに現地時間13:20着で、国内線SK1257にトランジットでオーフスに向かう。13:30にオーフス到着。バスでホテルに到着し、しばらく休んでから市内の散策に出た。オーフスは川と海に囲まれたデンマーク第2の都市で、美しい街並みであった。夕方暗くなっていたが、大聖堂に入れて、その大きさと荘厳さに学生も感動していた。

【2日目】

2月19日(木)は、オーフス市の中心街にあるカールスブロックスガードの高齢者施設を訪問した。デイセンターと高齢者住宅の2か所を訪問した。着くなり、集会室には、コーヒーとパンが用意されていた。デンマークでは、来客にはこのようにもてなす伝統らしい。以後、どこの施設を訪ねても同様に、コーヒーとパンやおやつが最初に出された。

デイセンターでは、初めに施設長であり、オーフス市の市議会議員で高齢者政策の担当責任者から施設の概要を説明してもらった。デンマーク第2の都市オーフスの町の中心街にある高齢者施設であるが、非常に充実していた。ゆったりしたスペースでプールや体操ジムもあり、集会室も広かった。外部の人も利用できるカフェが必ずあるということであった。施設利用者である高齢者は安く食事やお茶もできる。


カールスブロックスガード高齢者施設      オーフス市の「森の幼稚園」

その後、歩いて高層ビルを抜けて森の中にある低層の高齢者住宅を訪ねた。すべて市立の施設である。1フロアー8人の個室ユニットで、共用の食堂、リビング、集会室等があった。施設全体が温かく、明るい雰囲気で、利用者、職員の皆さんとも笑顔が多かった。個人のお部屋は、本当に自分の部屋という感じで、公的施設の間借りと言うイメージはまったくなかった。「幸福度、世界1」という統計が思い出された。

高齢者住宅を後にして、市内中心部のデイセンターにもどり、ここで昼食をいただいた。利用者さんがカフェで食べるものと同じ昼食をいただいた。続いて、施設内の見学をした。施設は広く、中庭も広かった。プールではお年寄りが我々に手を振ってくれた。

午後はオーフス市庁舎を訪ねた。ここでも会議室に通されるとコーヒーとパンが出された。ここではオーフス市の社会福祉全般、若者・教育、高齢者のテーマについて、市議会議員の担当責任者3人から説明を受けた。市全体の状況の説明であった。データからもオーフス市の社会福祉、教育、医療等の領域が充実していることが理解できた。

最後に、市庁舎内の見学をした。戦中に建てられた広くて大きな建物で、庁舎内に議会室があり、中に入ることもできた。議員席について写真も撮って帰ってきた。庁内の結婚式場も案内してもらった。

【3日目】

午前中、オーフス市にある子供へのサービス施設ランゲネススチーエンを訪問した。園長先生から、オーフス市の子供・若者サービスについて講義を受けた。乳児から幼児、小学生の通う児童施設であった。自然から学ぶことを重視した施設であった。関連施設として、バスにて海辺近くの「森の幼稚園」を訪問した。

寒い北欧にあって、幼児を雨の日も雪の日も風の日も外で育てるという教育方針で運営している有名な施設である。訪問した日も暖冬とは言え、日中でも温度0度程度で霙降るなかであったが、幼児は自然の中を飛び跳ねて遊んでいた。乳母車の乳児も家の外で過ごしていた。「森の幼稚園」と言われているが、海から数十メートルで、冷たい海風が吹きさらすところであった。明学の学生もいつしか一緒に遊びだした。

午後は、オーフスを離れ、バスでオザー市に向かった。障害者と一般の人の共生をテーマとして運営されているフリースクール、エグモントホイスコーレンを訪問した。この施設は、今回の研修でも最も衝撃を受けた施設となった。年齢的には、中学・高校から大学程度の学校である。私立学校であるが、予算の8割は公的補助金で賄われている。寮制の学校で、寮費と授業料の合計は月3万円程度とのことであった。たくさんの介助者がいるが、専門スタッフの他、同僚の学生が介助者となり給料を得ているとのことであった。給料は30万円程度と聞いた。重度障害の人で、7人の介助者を抱えている人もいるという。昼担当、夜担当、週末担当等で役割が分業されているとの説明があった。

施設も素晴らしく、広くて、美しい。障害者対応のプールや80メートルのスラローム滑り台は、デンマークの有名な会社の社長のプレゼントだそうだ。体育館、図工アトリエ、音楽室、食堂、寮の個室も障害者対応が素晴らしく、充実していた。

この施設の退職した教員が一人日本人の方で、我々に説明してくれた。また、日本人で学んでいる学生、介助者、現地スタッフの3人の女性にも会えた。下半身不随で車いすの女子学生は、「日本にいたら障害者と言うと何もできないで私の人生終わってしまいそうだったが、ここに来たらやりたいことが何でもできそうなのでやってきた。」と。そして、ここにきて現地のスタッフが初めにかけてくれた言葉が、「ここでは、あなたくらいの障害は何でもないから。」であった。ちょっとぶっきらぼうなこの一言が、彼女には最高の励ましだったようである。とても明るく、生き生きとして、楽しそうな表情であった。

国民の幸福度が世界1のデンマークであるが、障害者も幸福度が最も高いことがたやすく想像できた。この施設では、皆、カルチャーショックを受けたことであろう。この学校を出て、バスにしばらく乗り、夕方、オーデンセに到着した。

【4日目】

4日目は土曜日。童話作家のアンデルセンが生まれた町として有名なオーデンセの市内を観光した。生憎の小雨の天気であったが、童話の世界そのもののような美しい町であった。アンデルセンの生家、通った教会、アンデルセン博物館、市庁舎、大聖堂、母親が洗濯をしていた川、母親が入院していた病院等々、アンデルセンの生涯を顧み、彼の人間性に思いを巡らす機会を得られた。今でも童話の1シーンが再現できるような、綺麗な風景がたくさんあった。

初めて、自由行動の時間を設け、場所(範囲)と時間を決めて、団体で行動することを条件に、街中で解散となった。小さな町であり、学生も迷うことなくホテルに無事に戻ってきた。

【5日目】

5日目の日曜日は、当初、バスでコペンハーゲンに来て、観光する予定でいた。出発3日前と4日前にテロ事件が発生したため、急遽、コペンハーゲンのスケジュールを大幅に変更した。コペンハーゲンを避け、午前中にオーデンセ郊外のショッピングモールで買い物をして、午後は世界遺産で有名なロスキレ大聖堂を訪問し、夕方コペンハーゲンに入ることにした。


オーデンセのアンデルセン像           世界遺産のロスキレ大聖堂

ロスキレは古い町で、歴代の国王が居住した旧都であった。大聖堂の地下には、国王のミイラも展示されていた。圧倒されるほど巨大な大聖堂を堪能し、その後その周辺の街中を散策した。この教会の歴史を聞くと、それはデンマークの歴史と一致していた。

夕方、コペンハーゲンに着いて、バスから市内を回って見学した。アンデルセン童話に登場する有名な人魚像のところだけ、15分間バスから降りて、直接、見学した。暗くなって、ホテルに到着した。

【6日目】

朝9時に出発し、バスでコペンハーゲン郊外の公立のソルトダムスコーレン中学校を訪問した。最初に、デンマークの学校制度について概略説明を受けた後、これも世界的に有名になっている、SPS(学校―警察―地域社会の3者連携による非行防止プログラム)について、取りまとめの教員から説明を受けた。学校からの落ちこぼれ、不登校等から非行に走っていく青少年に3者がスクラムを組んで健全な市民に組み込んでいこうとする試みである。欧米の反社会的若者がテロリズムに走る傾向が出てきている時に注目されている。システムよりも実践が素晴らしく感じた。英才教育で優秀な人を育てることよりも、むしろ、こうした非行防止に力を入れているところが、福祉先進国らしいところであると感じた。


ソルトダムスコーレン中学校           エジェゴット障害者活動センター

その後、今度は6チームに分かれて、違ったクラスで交流授業となった。明治学院の学生は各クラスで日本紹介のプレゼンを行い、質疑応答を経て、交流を楽しんだ。予め、パワーポイントを使って、英語で準備していったのだが、皆、がんばってそれぞれユニークなプレゼンができていたようだ。プレゼンのテーマはクラスにより、個人により異なり、個性が出て、デンマークの学生も楽しめたようであった。

午後は発達障害者の活動センター、エジェゴットを訪問した。森の中の牧場のような田舎の町であった。施設の食堂で昼食をいただき、その後、施設見学をした。二つに分かれて2つの別の施設を見学した。一つは比較的障害の軽い人たちの就労支援施設であった。もう一つは比較的障害の重い人たちを対象とした活動センターであった。活動センターでは、絵を描いたり工作したりする部屋、音楽の部屋、体操・リハビリの部屋、各種趣味の部屋等、楽しそうな活動が同時進行していた。何より、職員さんと利用者さんがとても仲好さそうで、温かい雰囲気に包まれていた。

夕方、施設を発ち、コペンハーゲンのホテルに向かった。途中、ガイドさんの助言で、お城に立ち寄った。欧州にはこのような古い遺跡が随所にある。とても広く、美しいお城で、予定外の楽しい出来事であった。その足でホテルに戻った。

【7日目】

朝、ホテルを出て13:00発の飛行機で帰国の予定であった。ところが、チェックイン直前になって、飛行機の故障が発見されフライトがキャンセルとなった。他の代替飛行機であれば4機に分かれてであれば同日帰国可能であったが、全員での同時帰国が原則のため、翌日のフライトしか方法がなかった。航空会社SASが急遽用意したホテルでもう1泊することになった。食事も4食SAS持ちであった。空港からバスで10分の1泊2万円以上の高級ホテルであった。

【8日目】

翌日、ようやくSASのフライトでコペンハーゲンを出発。数時間後、真っ暗な飛行機の左側の窓から白っぽい帯状のオーロラが見えた。学生も感激していた。今回はテロに始まり、いろいろハプニングがあったが、最後に最高のプレゼントが用意されていた。神に感謝。

【9日目】

機内泊を経て、朝、無事成田到着。解散。

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