2019年2月1日に、欧州連合(EuropeanUnion)と日本との間でEPA(日・EU経済連携協定)が発効しました。これで、欧州連合、すなわち"ヨーロッパ"と、日本との関係は、以前にも増して近くなったわけです。日本人にとって"ヨーロッパ"は、かつてのように"遠い憧れの国・地域"ではなく、隣近所のように身近で近しい関係を築かなければならない対象になりました。
明治学院大学の白金キャンパスでも、国際交流の関係で、たとえばパレットゾーンB2Fのジムに行くと、アメリカやフィリピン、タイ、中国の留学生たちだけでなく、フランス、ドイツ、スペイン、オランダ、英国など、多くの"ヨーロッパ"からの短期・長期の留学生が汗を流しています。
さて、今回、私はその欧州連合(Erasmus+プログラム)の招聘で、ルーマニアの首都ブカレスト(ルーマニア語名は、ブクレシュチ)にある、ルーマニア・アメリカン大学(Universitatea Romano-Americana)で一週間の特別講義を行なってきました。2019年3月19日にブカレストに到着し、講義の準備や講義室の機器のチェックを行ったうえで、25日から29日まで5日間、午後1:30から4:20まで、途中10~15分の休憩を1回はさみ、英語で講義を行いました。講義のタイトルおよび内容は、以下の通りです。
Globalization, Citizenship, and Rights to the City: Thinking between Romania in EU and Japan in East Asia
3月25日 Japan in the Contemporary Global Context: From the End of World War Two
to Early 1990s
3月26日 Rescaling Modes of Regulation, Changing Regimes of Accumulation, and
Economic Society: On the Lost 25 Years of Economy after 1991
3月27日 The Euro-Asian Continent Conceived as a Globally Integrated Region and
as Localities: Japanese Economy embedded in the Glocalized Economy
3月28日 A Moral Question as a Scale Question: An Emerging Issue of Societal Integration
between Two Continents
3月29日 Rights to the City and the Glocalizing Civil Society: On the Future of Urbanized
Society: Towards a Creative, Multi-Layered, and Multi-Valued Public Sphere in
Euro-Asian Continent
17名ほどの参加学生のなかには、地方からブカレストに来て学ぶルーマニア人の学生、大学院生のほかに、ナイジェリアからの留学生が3名(女子学生1名、男子学生2名)と、ジンバブエからの女子学生1名がいました。ルーマニア人の学生も含めて全員、一度も日本に行ったことがなく、また日本語を勉強したこともない学生たちでしたが、授業では日本社会の現状に関して活発に質問や意見がでました。
また、学生たちと日本とルーマニアの社会の比較をする中で、ルーマニアの若者がヨーロッパ統合の中であまり恩恵を受けていないと感じていることがよくわかりました。「ポピュリズム」と判を押したように政治学者やジャーナリストによって性格づけられる、最近の東欧の政治―社会現象の、ルーマニア的な雰囲気に触れたような気がしました。
講義棟の壁に貼られた案内にも、他の招聘教授の講義案内とともに、私の特別講義が明治学院大学のロゴとともに紹介されました。
ルーマニア・アメリカン大学のWebsiteにも、招聘講義が紹介されました。
(岩永真治)