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日々の社会学科

5月16〜17日に、スペインのバレンシア州立アリカンテ大学の招聘で、二回の特別講演を行いました。最初の講演会は、社会学者であるマリア・ヒメネス・デルガルド先生主催の教員向け研究例会(Grupo de investigación OBSOEDU)で、"Playing a Part in the New Creation of Mutual Benefit through Market Transactions: Towards a Continental Market Virtue as a Social Telos"というタイトルで行われました。もうひとつの講演会は、地理学者であるトマス・マソン先生が主催する研究会で、"The Changing Ideas of Localities and Regionalities in the Process of Globalization: Thinking between Alicante in EU and Tokyo in East Asia"というタイトルで開催されました。

この二つの特別招待講演は、ともに英語で行われました。アリカンテという街は(標準スペイン語であるカスティリア語ではAlicante、地域語であるバレンシア語ではAlacantと、街中では二重に公的に表示されています)、私にとってかつてリサーチ・フィールドであったこともあり、特別講演の最初の部分では、アリカンテとの馴れ初めやフィールド・リサーチを行なった頃のことなどを、自己紹介もふくめて簡単に標準スペイン語で話しました。

標準スペイン語による自己紹介は、予想外だったようで、会場は最初から小さな驚きと笑い、また親しみと歓びの感情に包まれました。

マリア・ヒメネス・デルガルド先生の研究会では、スペイン(あるいはヨーロッパ)と日本(あるいは東アジア)のあいだにある「社会的価値」(Social Value)の共通性や違いをめぐって、出席した研究者の質問を通じて、詳細な比較・検討が行われました。一方、トマス・マソン先生の研究会では、世界最大の都市圏である東京の都市現象と、バレンシア州の中核都市であるアリカンテの都市現象が、グローバル化の異なった影響を受けた姿として議論され、比較されました。

トマス・マソン先生は、講演会の最後に、「スペインにおける闘牛の文化についてどう考えるか」という問題提起を私にされました。「闘牛」は、ヨーロッパの他の国で動物愛護団体から「動物の虐待」にあたると批判されることがある一方、スペイン人にとってはナショナルな文化の「魂の拠り所」になっている部分があるからです。

この論点は、私が講演のなかで、「ヨーロッパのなかのアリカンテと東アジアのなかの東京の間において、賃金の支払い方、投資の原則、原発への向き合い方、異文化・異宗教に対する寛容性、女性や性的マイノリティーや学生の社会的地位をめぐる問題だけでなく、子供や動物に対する『虐待』に関してどのように価値観を共有できるかが、いま問われている」と述べたことにも関わっていました。

日本とヨーロッパの間には、アメリカや中国、朝鮮半島との間以上に、伝統社会に対して挑戦的な共通課題がたくさんあるということが、特別講演を通じて確認されました。

(岩永真治)