私たちは社会の中で育ち、環境の中で生きています。同時に、私たちは社会や環境を自分たちで変えていきます。スタバのプラスチック製ストローが紙製に変わったときの社会の賛同から「やっぱり美味しくなくなる」という感想の多さに変わってきた過程は、次にどんな展開を生むでしょうか。
「環境」は、変化する部分にも、人生を左右する基盤にもかかわるものです。重要でありつつ変化する「環境」は、絶対的な正解をもつものとは言えません。そして、正解がないとは言え、誰かが勝手に評価できるものでもありません。一方では、リスクへの対応の動きが差別や対立などを生む可能性があります。他方で、環境への意識は、発言力の小さい弱者や声をもたない次世代の人びとや動植物などを考慮するための始点にもなります。
この関係は、地域社会と私たちとの関係にも反映されています。私たちにとっての「地域」とはどの範囲であり、それはどのようにあって欲しいでしょうか。私たちは地域とどうかかわれるでしょうか。
正解がないからこそ自由に考えることができるし、その必要が増しているのが環境と社会の関係かもしれません。それを難しく考えるのではなく、たとえば一本のストローのように身近なところから見ていくことはできないでしょうか。
ゼミでは、皆さんの関心に沿いつつ複数の事例を通して、多様な視点に立って地域や社会を見直すとともに、こうした多様性を互いに理解・共有するための方法について、具体的に学んでいきたいと思います。教室の外に出て、地域や社会について注意深く学ぶこと、それらをもとにお互いに話し合い、耳を傾け合って考察を深めることを基本とします。
前期は身近な地域を見直す作業と、関連する文献の講読を中心にします。簡単なテーマを決めて、これまでとは少し違った視点で地域を歩きながら、地域や環境の基礎的文献なども取り上げます。
それらを受けて、後期には自分自身のテーマを決めて、ゼミでの議論を経ながら、個人研究を進めていきたいと考えています。個人研究のテーマともかかわるため、全体ないしグループでのフィールドワークを夏休み前後に行う可能性が高いです。なお、個人研究テーマについての相談はいつでも応じますので、ゼミの時期や時間に関係なく、ご一報ください。
その他、近隣大学の環境社会学ゼミとの交流(報告会)などを検討しています。詳細は春に相談して決めましょう。
今年度は、『シリーズ 環境社会学講座』(新泉社、2023年)のいずれかの巻をテキストに指定する可能性があります。具体的には、ゼミ内で相談してから決めます。ゼミ開始前の参考文献として、上記の講座の他に次のようなものがあります。
鳥越・帯谷編 『よくわかる環境社会学』 ミネルヴァ書房
◎ゼミ合宿についてはフィールドワークなどとの関係もあり、5月ごろまでに決めましょう。サークルなどで夏休みに多忙な場合は5月中くらいに予定が分かるようにしておいてください。
◎学年末に、一人あたりA4(40字×40行)で10枚程度のレポートを提出していただく予定です。それをもとにゼミ論集を作成しています。
◎11月頃、他大学の環境社会学ゼミとの交流会を予定しています。