明治学院大学

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社会学部

社会学科

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半澤ゼミ

半澤 誠司(専攻領域:文化産業、経済地理学)

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文化・経済・地域、そしてそれらの関係性を考える

テーマの説明

この演習では、文化、経済、地域といった要素が絡み合いながら生み出している社会現象について考え、理解を深めていきます。といっても何のことか分かりにくいかと思いますが、具体的には、いわゆる文化産業、芸術文化イベント、スポーツと地域コミュニティ、などがその対象となります。ただ実際には、研究対象は何でもありと考えてもらって良いです。参加者の希望次第で、ここに挙げていない例でも取り扱います。もちろん、教員の専門や他のゼミ生の嗜好を踏まえれば、あまりにもテーマとかけ離れている対象を取り上げてしまうと、助言や議論が深まらない可能性が上昇してしまう点は念頭に置いて下さい。
伝統的には、社会学に限らず一般的に、文化と経済は相反するもの、あるいは関連性が薄いものだと考えられてきました。しかし、伝統芸能やオーケストラのようなものであっても、運営していくには経済性も考慮に入れねばなりません。さらには、文化振興が経済振興になるという事例にも注目が集まるようになってきました。また、純粋な経済活動と思われるような製造業であっても、多くの消費者向け商品には、デザイン性などの形で、何らかの文化性が組み込まれています。したがって、それぞれは不可分なものなのですが、やはり文化と経済は大きく性質が違う部分もあり、文化性を優先し過ぎると経済性が損なわれることがあります。あるいは逆に、経済性を追求しすぎて文化性が失われたりもします。
一方、こうした文化と経済が出合う場として、地域は重要な存在です。文化産業の活動が活発なのは大都市のような特定の地域ですし、芸術文化イベントは開催される地域のアイデンティティとの結び付きが強調されます。また、特に2000年代以降、地域活性化の手段としての文化への注目は高まっています。
このように、これら3要素には深い関係性があるのですが、ただ事例だけを追っていても理解は深まりません。言い換えれば、表面的かつ漠然としたイメージだけで、話を進めるのではなく、文化とは何か? 経済とは何か? 地域とは何か? それらの関係性とは何か? そしてそれぞれが社会の中で、一体どういう役割を果たしているのか? あるいは障害となっているのか? といった問に対して、どのような視点からの議論がなされているのかを学ばねばなりません。これらの議論にも色々なものがあるため、すぐに答えが出る話ではありませんが、様々な文献を読んで知見を広げた上で、現実に社会で起きている現象の本質を理解していきます。
テーマの内容から想像できるかと思いますが、本ゼミで扱う対象は非常に多岐に渡ります。それゆえ、一つの物事の見方だけではなく、色々な分野の知識が必要になってきます。ですので、1年を通して1つのテーマの文献を読んでいくというよりも、色々な分野の知識を仕入れつつ、これら3つの関係を考えていく形になります。そのため、1つのことを深く考えるのが好きな人には向かないゼミかもしれません。食わず嫌いせずに、広く色々なものを見てやろう、という人向けです。
ただし、あとで説明するゼミ論の研究テーマを、たとえば「趣味を通じた人間関係の形成」にして、経済や地域といった要素をあまり含まないような文化に関係することだけを深く堀下げる形にしても構いません。つまり、3つの要素が交わる領域だけに研究テーマを限定しません。経済的なことだけ、地域的なことだけ、を研究しても良いです。しかし、自分が一番関心を持っていることではなくても、他のゼミ生と一緒に学び考えて視野を広げてください。それが結果的に、自分の研究テーマを深めることにも繋がります。

使用予定テキスト・主要な参考文献

ゼミのすすめ方で述べている春学期での文献輪読の際には、教員が用意している「文化・経済・地域」に関連した様々な学術論文(あるいは書籍の一部)から、参加者の興味関心にしたがって輪読を行います。なお、履修者の希望に応じて文献を追加したり、英語文献を読んだりすることもあります。

ゼミのすすめ方

最終的には、期末課題としてそれぞれの人の研究テーマに基づいた12,000字以上のゼミ論を、1月中頃締切りで提出してもらいます。
それに向けた下準備として、春学期には文献輪読形式を行います。毎回、発表者にレジュメを用意の上、報告してもらい、それについて参加者全員で議論する形で進めます。発表者以外の参加者にも、事前に文献を読んだ上で議論に参加してもらいます。
次に、ゼミ論執筆への第一段階として、夏合宿において、各自で文献を収集し論を立てて発表してもらいます。したがって、夏合宿への参加は必須となります。
秋学期では、この発表内容を発展させていく形で、発表を各自最低でも2回は行ってもらい、ゼミ論を完成させていきます。
そうして例年であれば1月末ぐらいに、次期ゼミ内定生にも出席してもらいながら、1つ上の学年の卒論発表会を行います。ただし2025年度は、4年生のゼミを私が担当していませんので、卒論発表会は行いません。
以上のように、発表や課題などは一人でこなしていくことになります。ただ、必ずあるとは限りませんが、他大学との交流ゼミが開催される場合などには、グループ発表の準備を行うことがあります。
それから、ゼミ生から要望があれば、課外活動として、美術館や芸術祭などを見に行こうと思います。ただし、旅費や参加費などが一定程度かかってしまいますので、強制参加ではなく、行きたい有志だけで行く形ですし、そもそも希望がなければ実施しません。

社会学部生のための手引き集

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