明治学院大学

明治学院大学

社会学部

社会学科

社会学科

岩永ゼミ

岩永 真治(専攻領域: 都市社会学・地域社会学・まちづくりの社会学・グローバル社会学)

教員紹介ページへ

グローバリゼーションと多文化共生のまちづくり-ユーラシア大陸統合の社会学的分析-

テーマの説明

グローカリゼーション( グローバル化とその反作用としてのローカル化)にむきあう都市の文化変容について考察し、また、そのもとでのコミュニティの創造的構築について考えます。具体的には、「多文化共生のまちづくり」というテーマで、演習参加者全員が東京都江東区亀戸地域・中央通り商店街の中国系住民の増加や、同区亀戸大島6丁目や江戸川区西葛西に 4000 人住むと言われるインド人と日本の地域社会との共生や軋轢について考えます。また、第 2 回東京オリンピックで注目されている東京都中央区月島地域では、もんじゃストリートの草市( 夏祭り) に参加するかたちで、人口増加と不動産価格上昇の渦中にある地域社会のリアリティの一端に触れます。ゼミ活動としては統計的な分析のほかに、地域住民へのアンケートやインタヴュー、アクティヴ・リサーチの実施など、フィールドワークに出て行くことが要求されています。そのほか、5 月には代々木上原にあるトルコ文化センター( ユヌス・エムレ・インスティトゥート)でトルコ・セミナーを毎年開催して、オスマントルコ帝国の歴史イスラーム教について学び、多文化共生のまちづくりに関する学習の一助としています。
一方、このゼミでは、海外研修旅行を実施しています。2019 年度は、まず 9 月 7~ 16 日に、スペインバレンシア州立アリカンテ大学で一週間、スペイン語およびスペイン文化の勉強をしながら、同時に「市場をめぐる社会変化」についてヨーロッパ統合に向きあうアリカンテ市の現状と課題を学びました。
さらに、毎年 2 月には台北の中心にある東呉大学で、日本語や日本文化を学んでいる学生たちに、日本語で日本の文化に関するプレゼンテーションをおこない、台湾・台北の文化と日本・東京の文化の比較をしています。
ちなみに、2014 年度には、今日の東京のインド系コミュニティの課題をより深く理解するために、ベナレス・ヒンドゥー大学で日本語を学ぶ学生たちと交流 ( プレゼンテーション、交流会、まちあるき)をおこない、同時にデリー、サルナート、アグラ、ジャイプールなどインドの現代都市、聖都、古都を訪れたこともあります。これは、西葛西でヒンドゥー教新年祭ディワリ・フェスタの運営のお手伝いを毎年 10 月の第 3 土曜日に行っているところから出てきた企画です。
2022  年度に、引き続きコロナ感染の拡がりによる外出自粛等の規制が発生する場合には、「携帯で写真を提示したりビデオを撮ったり見せたりする空間(瞬間)に入り込む地域性(locality)の研究」や「SNSにおける自己呈示(self-presentation) や自己開示(self-disclosure) や自己顕示(self-display)の瞬間や脱領域化(de-territorialization) と再領域化(re-territorialization) の現場に現れるグローカリゼーション( =地域性) に関する研究」に、研究対象をずらしてゼミ活動を行います。
そのばあい、 とくに 「 買い物をする経験」(Shopping Experiences) 「 買い物をする場所」 (Shopping Sites)の関係に焦点をあてながら、「都市・地域における買い物」と「ネット上の買い物」における経験のちがいを「公共圏としてのネット生活圏(Life Public Sphere on the Web)の伸展」の問題として把握していきます。

使用テキスト
  1. まちづくりボランティアでかかわる多様な都市や地域が、「読解」の「テキスト」になります。
参考書・論文等
  1. 上村勝彦訳『バガヴァッド・ギーター』岩波文庫、1992年
  2. アルジュン・アパデュライ『さまよえる近代‐ グローバル化の文化研究‐』平凡社、2004年
  3. Yogendra Singh (2012), Modernization and its contradictions: contemporary social changes in India, Polish Sociological Review 2(178)
ゼミの進め方・ゼミ合宿など

みんなができるだけ自由に話す雰囲気づくりと、話し合いによる合意の積み重ねにより、物事を進めていきたいと思います。ただし、自由で個性的なリーダーシップの発揮は、これをかならずしも非民主的、独裁的とは考えません。日本では、民主主義といえば、下から順番に議論を丁寧に積み上げていくことだと考えられがちですが、実際はもっとダイナミックなものです。
合宿は、報告会と親睦会を兼ねて年2回実施することがあります。夏合宿は、以前は毎年、沖縄県与那国島にいき、地域づくりのお手伝いをしながら、離島・国境地域の生活について学ばせていただいていました。2024 年度は、千葉県内房総久留里・松丘・亀山地域久留里街道沿い)の旧城下町山村集落「古民家再生プロジェクト」をかねたフィールドワーク群馬県前橋市中山間地域におけるフィールドワーク合宿を考えています。商店街ひとつない離島・国境の島・山村集落・漁村集落で地域づくりのお手伝いをすることを通じて、グローバル都市・東京の都心部でまちづくりをすることの意味を再考しています。
以上のようなプログラムを通じて、「いま、都市で生活するとはどういうことか」「地域で生活する豊かさとはなにか」という、このゼミのテーマに深く、また多元的にとりくみたいと思っています。
同時に、2011 年夏にヨーロッパ研修旅行を始めて以来、グローバルに行動し地域で提案できる人材を、ゼミ活動を通して育てたいと思ってきました。2024 年度は、海外ゼミ研修旅行(スペイン・アリカンテ滞在)を実施します。
ゼミのモットーは、「よく学び、よく遊べ」ではなく、「まず遊べ、とことん遊んで、それから学べ」です。「学びはじめたら、夢中で学べ」です。

社会学部生のための手引き集

学びのガイド

社会学科・社会福祉学科の情報を発信しています。