明治学院大学

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社会学部

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元森ゼミ

前田 麦穂(専攻領域:子ども・若者論 歴史社会学 教育社会学 教育制度論 )

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子ども支援の現在を考える
――港区プレーパーク研究

テーマの説明

2023年4月にこども家庭庁が発足し、こども基本法が施行された。こども大綱やこども未来戦略も策定され、子育てへの伴走支援、赤ちゃんからおとなになるまでの成長支援、子ども・若者の意見表明等の「こども施策」に社会全体として取り組むことが是とされる時代となっている。
しかし、支援に課題がないわけでもない。意見表明というけれど、大人と同等の法的能力が認められておらず言語能力も未熟な子どもの意見を誰がどうやって聞くのか――。子どもの貧困支援は教育支援に偏っていないか――。ソーシャルワーカーやNPOなどの支援の担い手は十分な待遇を保障されているのか――。学生の皆さんのなかには、学習支援や放課後支援などのアルバイトや子どもに関わるボランティアをしている人もいると思うが、それらもこういった時代変化とその課題のなかに組み込まれている。
本ゼミでは、現在進む子ども支援のあり方を考えるための社会学的視角を学ぶとともに、港区のプレーパークの事例研究を行いたい。プレーパーク(冒険遊び場)とは、1970年代に世田谷区で始まり全国に広がった遊び場活動である。「自分の責任で自由に遊ぶ」を掲げ、子どもが主体的に遊び、成長できる場を提供してきた。長い歴史を振り返れば、最初の頃は、都市化と学校化が進んだ社会から子どもを開放するという、対抗運動の感があった。主婦や若者がボランティア的に関わるという雰囲気もあった。しかし、子どもの生きる力や主体性が強調され、行政が外遊びを推奨する時代となった。不登校や発達障害などの課題を抱えた子どもたちの居場所としての機能も求められるようになった。それに伴い、安全への配慮、子どもの気持ちの代弁、親との交流、行政との連携など、担い手に要求される専門性は高まり、運営のあり方や行政との関係性にも新たな課題が生じている。
港区は後発だったために、こういった課題に新しいやり方で応えて活動を作り上げてきた。そこで、NPO法人みなと外遊びの会による港区のプレーパークの活動の模索と発展の歴史を調べてまとめることを通して、アクティブ・ラーニングスタイルで、子ども支援の現代的課題についての理解を深めたい。なお、現場を知るために、日曜日や水曜午後などに年数回、プレーパークの開催にボランティア参加してもらうことになるため、その時間がとれることが大前提となる。

使用予定テキスト・主要な参考文献
  • ・元森絵里子(近刊)『はじめての子ども論(仮題)』有斐閣. 2024年度中に発売見込み
  • ・元森絵里子・南出和余・高橋靖幸,2020,『子どもへの視角:新しい子ども社会研究』新曜社.
  • ・アリエス, P.,1980,『「子供」の誕生:アンシァン・レジーム期の子供と家族生活』みすず書房.
  • ・プラウト, A.,2017,『新しい子ども社会学:生物・技術・社会のネットワークとしての「子ども」』新曜社.
  • ・桜井智恵子,2012,『子どもの声を社会へ:子どもオンブズの挑戦』岩波新書.
  • ・羽根木プレーパークの会編,1987,『冒険遊び場がやってきた!:羽根木プレーパークの記録』晶文社.
  • ・羽根木プレーパークの会編,1998,『遊び場(プレーパーク)のヒミツ:羽根木プレーパーク20年』 ジャパンマシニスト社.
  • ・プレイワーク研究会編,2017,『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50:子どもの力になるプレイワーク実践』学文社.
  • ・2017年度、18年度の明治学院大学社会学部社会学科『社会調査実習報告書』の元森実習報告部分(*本学図書館に所蔵あり)
ゼミのすすめ方(受講生の人数や関心によって変化する)

・春学期:文献講読、こども施策の批判的検討、みなそとプレーパーク研究
・夏休合宿または集中ゼミ:学術論文の講読等
・秋学期:文献講読、みなそとプレーパーク研究・まとめ、ゼミ論執筆

※年数回みなそとプレーパークのボランティアをしながら関心を練り上げてもらいます
※春秋学期とも、毎週「社会学日記」をmanabaに書き込んでもらいます
※ゼミ論をどのようなものにするかは、プレーパーク研究の進展に従って考えます

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