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元森ゼミ

元森 絵里子(専攻領域:歴史社会学・子どもと教育の社会学)

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多様な子ども期を考える

テーマの説明

フィリップ・アリエスは、「子ども」を可愛がったりしつけようとしたりするまなざしは、近代になって現れたと論じた。1980年代以降、先進国の多くで、様々な問題が子どもに生じ、そのような子ども像が危機に瀕しているという議論が繰り返されるようになる。だが、子ども期は元からそんなに一枚岩だったのだろうか。

日本社会は高度成長期と学校教育の拡大で、人々は均質な子ども期を送るというイメージがひときわ浸透しやすかったと考えることはできるが、当時から「非標準的」な子ども時代を送る人はいたはずである。さらに、それ以前や、他国、そして、近年に目を向ければ、「標準」的なイメージとは異なった多様な子ども時代がありえる。

本ゼミでは、それぞれにテーマ(フィールド)を持って、多様な子ども時代の様子を探ることを目標としたい。具体的なテーマとしては、子どもの貧困、障がいをもつ子ども、児童福祉施設で育つ子ども、在日外国人の子ども、諸外国の子ども時代、戦争と子ども、生殖技術と子ども、情報技術と子ども、消費社会と子どもなど、あらゆる可能性が考えられる。もちろん、いじめや部活動、生徒文化や少女文化など、標準的な子どもが送るとされている生活の中での問題を考えてもよい。

ゼミの時間は限られているので、まずは共通の勉強として、子ども観の社会史や子ども社会学の文献を輪読したり、施設等の見学に行ったりしたい。同時並行で、各人でテーマを深めてもらい、年度末にはゼミ論の形でまとめてもらう。参加希望者には、与えられるのを待っているのではなく、自分の関心に向かってを突き進んでいくことを求める。

使用予定テキスト・主要な参考文献

詳細は参加者の関心に応じて決定し初回に案内します。以下の文献や関連論文を候補とする。ゼミで取り扱うか否かにかかわらず、読み進めておくことが望ましい。

  1. フィリップ・アリエス1980『「子供」の誕生:アンシアン・レジーム期の子供と家族』みすず書房
  2. ヒュー・カニンガム2013『概説子ども観の社会史:ヨーロッパとアメリカにみる教育・福祉・国家』新曜社
  3. 小山静子2002『子どもたちの近代:学校教育と家庭教育』吉川弘文館
  4. 河原和枝1998『子ども観の近代:『赤い鳥』と「童心」の理想』中公新書
  5. 本田和子2000『子ども一〇〇年のエポック:「児童の世紀」から「子どもの権利条約」まで』フレーベル館
  6. 野本三吉2007『子ども観の戦後史 増補改訂版』現代書館
  7. 阿部彩2008『子どもの貧困:日本の不公平を考える』岩波新書
  8. 相澤真一ほか2016『子どもと貧困の戦後史』青弓社ライブラリー
  9. 元森絵里子2009『「子ども」語りの社会学:近現代日本における教育言説の歴史』勁草書房
  10. 元森絵里子2014『語られない「子ども」の近代:年少者保護制度の歴史社会学』勁草書房
ゼミのすすめ方(おおよその予定)

春学期は、子ども観の社会史や子ども社会学の基本文献を輪読します。必要な知識を共有すると同時に、文献のまとめ方、コメントの仕方を身につけてもらいます。夏の間に個人のテーマを決め、秋学期は各人が調べた多様な子ども期についての発表に重点を移していきたいと思います。

全体として、グループディスカッションやフィールドワーク企画など、授業時間外に作業してもらうことが多くなるので心してください。上記予定とは別に、見学に行く団体の勉強をするなど、履修者の関心に応じて、授業を組みたいと思います。

※夏合宿は、希望を聞いて合意のうえで実施します。古典や専門的な本を集中的に読むか、フィールドワークに充てたいと思います。
※春秋学期とも、e-learningの掲示板を利用して、ゼミの時間外に毎週「社会学日記」を書き込んでもらいます。毎回の議論への感想もe-learningを利用して共有するかもしれません。