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大瀧 敦子(担当科目:医療ソーシャルワーク論)

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専門領域あるいは担当科目の紹介

医療ソーシャルワーク論A・B

ここでは、そもそも何故医療という場に、ソーシャルワーカーという社会福祉援助職が必要とされるのかを理解することを通して、講義内容とその目的を述べていきます。

医療技術の高度化、高齢社会、これらは「病の克服と長寿」という誰もが同意する目的に向けて、私たちの社会が営んできた行為の成果です。しかしこの成果が、医療費の高騰や年金制度の諸問題といった形で、経済や制度・政策に新たな社会的課題を投げかけているのは周知のところでしょう。更に、医療が高度化し、従来ならば助けられなかった命も救えるようになったことは同時に、疾患や障がいを持ちながら地域生活を送る人たちの数が飛躍的に増えていることをも意味しています。一旦健康を損なえば、経済的問題への不安はもちろんの事、治療やケアを継続しながら、あるいは障がいを持ちながら「如何に生きるか」という課題、あるいはそういった患者の家族であれば、どうその事態に向き合っていくのか、個々の生き方の問い直しが必要になる局面でもあります。

医療ソーシャルワーカーの業務は多伎にわたります。それは、私たちの生活というものが、職業や学業に関わる活動をする社会的側面、自分自身の生き方を考えるような心理的側面、そして身体的機能を意味する生理的側面の相互作用によって成り立っていることに由来します。つまり、生理的側面の危機である疾患やけがは、その人の心理的側面や社会的側面に影響を与えずにはおきませんし、その影響もその人のこれまでの生活史や家族のあり方で大きく違ってきます。そういった個々の人たちの生活や生き方の違いは社会福祉へのニーズの違いを生み出します。従って、人々の生きる過程を援助するソーシャルワーカーは、そのニーズの違いによって様々な役割をとっていかなければならないのです。心理的サポートはもちろんの事、年金の申請や補装具の問題、住居や就労の問題まで、より専門的な相談窓口への紹介も含めて相談援助を展開します。

こういった個別的なニーズに対応する以外に、同じようなニーズを持つ人たちが多く存在するかどうかに対しても、ソーシャルワーカーは敏感でなければなりません。多くの人が同じようなニーズを持つということは、社会としてそのニーズに応えるようなシステムを必要としているのかもしれないからです。ソーシャルワーカーには、そういった「マクロの目」も求められているのです。

従って、医療ソーシャルワーク論Aの講義では、現代の医療制度や医療技術がもたらす社会的問題を、広い視野から理解することを目的に構成されています。主に日本の医療制度の成り立ちを歴史的経緯から理解し、「医療費高騰」や「高齢者の医療問題」を多面的に理解できることを目指します。更に医療ソーシャルワーク論Bの講義では、具体的に医療ソーシャルワーカーが行う援助について、事例を通して理解するとともに、ソーシャルワーク・システム理論やケースマネージメント理論、エンパワーメント理論などからみて分析する力を養います。

専門領域の理解を深めるための文献紹介