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『服従の心理』(S・ミルグラム 河出書房新社 1980) 「なぜひとは権威に服従するのか」という服従実験の詳細なレポート。古典的な名著であり、「いじめ」や「戦争」といった問題を考える上での必読書である。 |
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『冷淡な傍観者―思いやりの社会心理学』(B・ラタネ、J・ダーリィ ブレーン出版 1977) 後の援助行動研究をリードすることになった一連の研究のまとめ。特に、緊急時の援助行動に焦点を当てている。 |
3 |
『世論 上・下』(W・リップマン 岩波文庫 1987) 世論が主として少数のステレオタイプ化されたイメージ群から成り立っていることを幾多の例証で分析している。 |
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『自由からの逃走』(E・フロム 東京創元新社 1951) 歴史の中の心理的要因と社会的要因の交互作用を扱っている。特に、人間が自由を求め、それが発見できない時に無気力感や孤独感を感じて、かえって自由が重荷になり、自分が帰属できる「権威」を求めるようになるプロセスを歴史の中の例を挙げて指摘している。 |
5 |
『ボランティア―もうひとつの情報社会』(金子郁容 岩波新書 1992) 個人が様々な社会問題に関心を持ち、心を痛めたとしても、一人では何もできないという無気力や焦燥感に包まれている現在社会の中で、ボランティアは新しいつながりをつけていくためのひとつの具体的で実際的な方法を呈示するものであることを明らかにしている。 |
6 |
『新版 社会のイメージの心理学』(池田謙一 サイエンス社 2013) 「私たちが現実の生活の中で事件や自分の体験を『本当のこと』と感じるのはどうしてなのか」について社会心理学の立場から検討している。スペースシャトル爆発事故のマスコミ報道・パニック神話・血液型性格判断などを例にして、社会的な現実感の成立とその問題点について体系的に検討している。なお、この本は『ライブラリ セレクション 社会心理学』(全16巻、刊行続行中)の中の1冊であるが、このシリーズは、身近なテーマを中心に社会心理学のトピックスをセレクトしてあり、なおかつ解説もわかりやすく、文献リストも充実しているので、社会心理学に興味のある人には便利なシリーズである。たとえば、以下の2冊もこのシリーズに含まれている。 |
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『恋ごころの科学』(松井豊 サイエンス社 1993) 「どうして人は人を好きになるのか」、「どんな人が好かれるのか」、といった魅力や恋愛に関する研究を総覧している。 |
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『うわさが走る―情報伝搬の社会心理』(川上善郎 サイエンス社 1997) 最も古くからあるメディア―うわさ。どこか謎めいたところもある「うわさ」現象を心理学の立場から解説し、うわさの伝わるメカニズム、うわさを伝える心理やいろいろなうわさの形態、その特徴などを紹介している。 |
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『消費者理解のための心理学』(杉本徹雄(編著) 福村出版 1997) 消費者行動の理解ならびにマーケティングに必要な心理学的知識を体系化して紹介している。購買や消費に関連する心理学的な機能や個人的要因、および消費者を取り巻く状況、集団、文化などの外部環境要因を考えあわせることにより、消費者行動の主たる分析対象となる購買意志決定過程を中心に、消費者行動を総合的に説明している。 |
10 |
『影響力の武器―なぜ人は動かされるのか』(R・B・チャルディーニ 誠信書房 1991) 人間の態度や行動がどのような要因によって変化させられるのか、6つの原理にしたがってやさしく解説している。また、悪徳商法や宗教勧誘などの例も豊富であり、分厚い本のわりにはすぐに読める。 |
1 |
『メディア論』(M・マクルーハン みすず書房 1986) 情報・知識の内容だけではなく、それを媒介するメディアの社会的効果を問題とし、新しい電気的技術によって、地球が、いわば村的な相互依存のネットワークまで縮小し、グローバル・ヴィレッジとなることを予見した電子メディア論の出発点。 |
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『パーソナル・インフルエンス―オピニオン・リーダーと人びとの意思決定』(E・カッツ、P・F・ラザースフェルト 培風館 1965) 投票行動や購買行動において、マスコミュニケーションよりも、オピニオン・リーダーを介した対人的コミュニケーションの影響の方が大きいことを明らかにし、マスコミュニケーションと対人コミュニケーションの影響の特徴を検証した。社会的ネットワーク(人と人の繋がり)という視点から再度見直しをされている古典的名著。 |
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『(改訂復刻版) 沈黙の螺旋理論:世論形成過程の社会心理学』(E.ノエル=ノイマン 北大路書房 2013) 世論が形成される過程についての理論を構築し、その検証をも試みた意欲的研究。特に世論形成にマスコミュニケーションが及ぼす影響を考えるには、必読書。 |
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『プロパガンダ―広告・政治宣伝のからくりを見抜く』(A・プラトカニス、E・アロンソン 誠信 書房 1998) 現代に生きる私たちは、大衆操作の企てや集団規範の説得の標的となっている。それらの圧倒的なパワーは私たちの日々の買い物や選挙での投票行動や価値観に影響を与えようとしている。それらからいかに身を守るかを、プロパガンダの歴史と社会心理学に基づきながら論じている。 |
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『コミュニケーションの科学―マルチメディア社会の基礎理論』(E・M・ロジャース 共立出版 1992) 個人がイノベーションを採用する過程と、採用者が社会に増加していく普及過程についてのロジャースの「普及学」の理論を、コミュニケーション・テクノロジーに応用して展開している。コンピュータを介したコミュニケーションや情報社会を考える上での必読書。 |
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『孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生』(R・パットナム 柏書房 2006) 社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)が幸福な暮らしと健全な民主主義にとっていかに重要かを膨大な調査データから立証した全米ベストセラーの政治学の完全翻訳本である。 |
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『信頼の構造―こころと社会の進化ゲーム』(山岸俊男 東京大学出版会 1997) 私たちが他者を信頼するようになるプロセスについて、豊富な実験の結果から検討し、「信頼の解き放ち理論」という形で、理論化を試みている。また、信頼の日米比較を通じて、集団主義的文化と言われる日本文化を心理特性と社会的環境の特性のセットとして解釈しようとしている。全体を通じて、私たちの生活の中でいかに信頼感の形成が重要な役割を果たしているかが実感できる良書である。 |
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『こころと社会』(池田謙一、村田光二 東大出版会 1991) 認知社会心理学の立場から、コミュニケーション・世論形成・価値の変容などの幅広い社会現象を扱っている。 |
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『人を支える心の科学』(松井豊、浦光博(編) 誠信書房 1998) 人を助ける援助行動と、「人から支えられることがどのような効果があるか」を問うソーシャル・サポートの最新研究を踏まえて、対人関係の質について検討を加えている。 なお、この本は『対人行動学研究シリーズ』(全7巻)の中の1巻であり、このシリーズでは社会心理の様々なトピックスについての最新の研究が紹介されている。 |
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『インターネット・コミュニティと日常世界』(池田謙一 編著 誠信書房 2005) 私たちの日常を凄まじいスピードで変え続けるインターネットの流れはどこへ向かうのか。本書は、ブログ・オンラインゲーム・SNSなどの最新のコミュニケーション手段に触れながら、ネットの「いま」と「これから」を論じる。 |
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『ネットが変える消費者行動―クチコミの影響力の実証分析』(共編著 NTT出版 2008) 第4回吉田秀雄賞受賞。 パソコンやケータイからネットにアクセスすると、消費者自身による商品評価のブログや掲示板などの口コミ情報が大量に見つかる。それらの情報を消費者がどのように評価して消費行動に活用しているのかを分析する。 |
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『きずなをつなぐメディア―ネット時代の社会関係資本』(単著 NTT出版 2005) 第7回日本社会心理学会出版賞受賞、第14回2005年度大川出版賞受賞。 人と人、組織と組織をつなぎ協力を促進し、社会的ジレンマを解決する、エンパワーメントする。このような効果を持つ社会関係資本を形成/拡大するのにインターネットが果たす役割を多角的に論じている。 |
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『インターネットの社会心理学―社会関係資本の機能から見たインターネットの機能』(単著 風間書房 2005) 社会心理学の視点から、インターネットが個人の対人関係や地域コミュニティ、さらには社会のあり方にどのような影響を及ぼすのかを、膨大な実験や調査のデータを用いて、詳細に解説している。 |
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『メディアサイコロジー―メディア時代の心理学』(共著 富士通ブックス 1997) 第1回日本社会心理学会島田賞受賞。 オンライン・ショッピングなど、インターネットを活用した行動とそれを実施するユーザの心理を、様々な側面から検証した。 |
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『ネットワーキング・コミュニティ』(共著 東京大学出版会 1997) 「パソコン通信やインターネットなど電子情報の爆発の中で、人間関係やコミュニティはどう作られ、どう変わるのか」、「何にリアリティを感じるのか」について豊富な調査データから検証をしている。 |
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『電子メディア社会―新しいコミュニケーション環境の社会心理』(単著 誠信書房 1993) 電気通信普及財団第9回「テレコム社会科学賞奨励賞」受賞。Information Culture Center of Koreaより1994年に韓国語訳出版。 学校教育の現場や家庭生活等、私たちの生活の中に否応なく入り込んでいるコンピュータやニューメディアなどの電子メディアが個人に与える影響を考察し、それを道具としていかに有効に活かし自分らしく使いこなすかを考える。情報通信技術の普及とその社会的影響について実証的データを用いて論じたパイオニア的著作。 |
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『無気力のメカニズム―その予防と克服のために』(単著 誠信書房 1991) 「学習性無気力(learned helplessness)」理論を中心に、様々な分野での無気力現象を読み解く。なかでも、「テクノストレス」「テクノ依存症」というパソコンやゲーム利用が持つ問題点を、社会心理学の立場から解説している。 |