岡ゼミは毎年、北欧諸国を訪問している。1年間の講義で北欧について学生が学び、報告して知識を深めてきた。逆に、現地訪問時に日本の文化や生活を紹介したり、コーラスや交流も行っている。例年2月後半に実施するフィールドワークであるが、今年はスウェーデンのマルメ市周辺とデンマークコペンハーゲン周辺を訪問した。
1.目的:
岡ゼミフィールドワークの目的は、社会福祉の最先端を走る北欧の社会福祉を学ぶことである。文献で理解できる部分に加えて、現地の福祉利用者、行政スタッフ、一般市民等がどのような考え方を持っているのか理解することが重視される。高いレベルの福祉を維持している関係する人々の共有する価値観を学ぶことが目指されている。
2.日程:
今年はスウェーデンのマルメ市とルンド市周辺を中心に、デンマークのコペンハーゲンの施設とあわせて訪問を企画した。歴史と文化の学びの一環として、世界遺産のクロンボー城、古都ルンドの大学、有名な童話作家アンデルセン博物館を訪問した。
2017年2月21日に日本を出発し、同日夜、ヘルシンキ経由でコペンハーゲンに到着。コペンハーゲン空港から専用バスでスウェーデンにわたりマルメに到着。以後、マルメで4泊し、スウェーデンの福祉、医療、教育について関連施設を訪問した。
土曜日の2月25日に、マルメのホテルを専用バスで出発し、スウェーデンのヘルシンボリからフェリーでデンマークに渡り、クロンボー城を見学。ここは世界遺産に認定される場所で、ハムレットの舞台となった名所である。同日午後にはコペンハーゲンの市内の歴史的施設、人形姫の像、アマリエンボー宮殿、ニューハーブン等を見学。26日日曜日は、アンデルセンの生まれ育ったオーデンセを訪ね、彼の足跡を追った。アンデルセン博物館も訪問して、アンデルセンの人生について多くを学んだ。最終日27日は、コペンハーゲン市内の保育園を訪問した。園長先生のレクと施設紹介を受けた。
3.訪問施設:
①ブーロブ市庁舎内の市議会会議場
②ブーロブ市の初期医療センター(本部事務所)
③ブーロブ市ロンマ初期医療センター(地区センター)
④ブーロブ市の学童クラブ
⑤障害者施設事務所(本部事務所)
⑥障害者活動センター(劇場)
同センター(映画・映像)
同センター(紙メーカー)
同センター(書店)
⑦アテンド高齢者施設
⑧アテンド高齢者ホームと短期宿泊施設(ショートステイ)
⑨ルンド大学、ルンド大聖堂
⑩世界遺産クロンボー城
⑪アマリエンボー宮殿、人形姫像、ニューハーブン
⑫オーデンセ、 アンデルセン博物館
⑬コペンハーゲン
⑭ボルネ就学前学校(保育園)
4.感想
今回、初めてスウェーデンを訪問した。フィンランドやデンマークと似た部分も多いが、スウェーデン最南端の第3の都市で、移民の比較的多いユニークな特徴もある。ルンドは古い大学都市であり、大学生にとっては興味深かったと思われる。訪問したのは、ブーロブ自治区、ロンマ自治区とスウェーデンでもかなり小さな規模の自治体であった。
また、これまで実現しなかった医療施設の訪問ができたことは今回の成果の一つであった。理論的には理解していても、実際にどのように運営されているのか興味深かった。医師は30分に1人の患者、1日8時間労働のため1日わずか16人しか診察しないという法律がスウェーデンにはあるとのことで、皆驚かされた。非常に、合理的に人材と資源が配分されており、参考となる点が多かった。
障害者の活動センターは非常に充実しており、日本にも紹介したい内容ばかりであった。劇場、映画・映像制作、紙制作、書店等、多岐に渡る活動センターが充実しており、この国の障害者は幸せであると痛感させられた。
学生の反応を見ていると、街並みの普通の風景がとても綺麗だったと感じたようだ。また、各訪問施設の職員の何気ないお話の端々に感動することがしばしばだったようである。例えば、高齢者施設で、職員の人たちが等しく使っていた表現が「高齢者ひとりひとりの人生をより意味のあるものにするために、・・・・・・・」であった。意味のあるものにするために、どうしたら良いのか、自然に答えが出てくるというものであった。
どの施設でも、皆さん生き生きと仕事されていて、充実している職業人生を歩んでいるように見受けられた。いつも感じるが、施設の雰囲気がとても暖かくて、癒される感じがする。
世界最先端の福祉社会を体感し、学生の皆さんには非常に衝撃的で美しい思い出として、大切にしてほしい。また、一人でも多くの人にこの経験を話してもらいたい。
ロンマ初期医療センター
ブーロブ市の学童施設
アテンド高齢者施設
ブーロブ市の障害者活動センター(劇場)
ルンド大学
世界遺産クロンボー城(ハムレットの舞台)
オーデンセ、アンデルセン博物館
ニューハーブン
アマリエンボー宮殿