明治学院大学

明治学院大学

社会学部

社会福祉学科

社会福祉学科

【ゼミ紹介】和気ゼミ:福祉開発フィールドワーク

私が担当している2年次のゼミナールは、福祉開発フィールドワークになります。この授業は、社会福祉学科の2つのコースのうち、福祉開発コースの基幹科目として位置づけられていて、文字通り、現地でのフィールドワークを通して、福祉の現実を知ることを目的として開講されていま す。  

私の授業では、2011年3月11日に発生した東日本大震災以降、「被災地における福祉支援」を統一テーマとして設定し、被災者への福祉支援や、被災地の地域再生・創生のあり方などについて、地域福祉の視点から考えていくことを目的として、フィールドワークを行っています。また、ここ数年は、福島の原発事故の避難者を対象とした「福島第一原発事故の検証と今後の課題―避難者の生活問題を通して考える―」をテーマにしています。  

今年度は、福島県葛尾村でフィールドワークを行いました。具体的には、原発事故の後、仮設住宅などでの避難生活を経て、国の避難指示解除後、葛尾村へ帰還した住民の方々に対して聞き取り調査(ヒアリング)を行いました。また、あわせて葛尾村(行政)の住民生活課と、村の社会福祉協議会、さらに村で見守り活動を行っている民間会社の担当者や「見守り隊」の隊員の方々にも同様の調査を行いました。

最後になりますが、私は常々、この授業で2つのことを学生たちに言っています。ひとつは、福祉開発フィールドワークとは、単なる「行った」「見た」「聞いた」の世界ではない。しっかりとした事前準備を行い、そこで必要となる知識、あるいは技術を習得してから現地調査を行わなければならない。したがって、大学での文献研究などを通して、周到な事前準備を行う必要がある。もうひとつは、福島第一原発事故では、結果として多くの人が生まれ故郷を離れざるを得なくなり、彼らは心に深い傷を負っている。したがって、軽い気持ちで被災者(=避難者・帰還者)のお話を聞いたり、被災地を物珍しく見学するなどの失礼な態度は絶対に許されない。被災地で、被災者の方々の内なる声を真摯に聞き、いまの現実と向き合い、彼らのことを深く理解する心構えと姿勢をもって、このフィールドワークに臨んでほしい。

sw-sm18-01.JPG

(文責:和気 康太)
**学内学会発行『Socially』26号より転載**

社会学部生のための手引き集

日々の社会福祉学科

社会学科・社会福祉学科の情報を発信しています。