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岩永ゼミ 台湾の東呉大学と第二回国際文化交流会を行ないました

岩永真治ゼミでは、2022年2月22日に、台湾の東呉大学と第二回グローバル文化交流会を開催しました。以下、参加した学生のエッセイを紹介します。

台北にある東呉大学との国際文化交流会を終えて
社会学科3年 中川茉海

2022年2月22日(火曜日)、社会学科岩永真治3年ゼミは台湾の東呉大学と、オンライン(Zoom教室)でグローバル文化交流会を開催しました。

もともとは、私たち岩永ゼミ生が台北にある大学を直接訪ねて東呉大学の学生たちと交流する予定でした。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、オンラインで交流会を開催することになりました。台湾時間で13:00〜14:50、日本(東京)の時間で14:00〜15:50という限られた時間の中で、私たちは10分ほどのプレゼンテーションを4つのグループで行い、その後ランダムにブレイクアウトルームに4つの少人数グループに分かれて交流会を行いました。

プレゼンテーションの内容は、普段私たちがゼミ活動を通じてまちづくりに取り組んでいる、千葉県君津市久留里地域における社会構造、グルメ、自然、歴史文化、地域宗教の5つのテーマに関するものでした。

10分のプレゼン後には、毎回質問等がないか東呉大学の学生たちに尋ねました。東呉大学の先生から質問されることはありましたが、24名参加してくれた東呉大学の学生たちから質問されることは、そのときはありませんでした。プレゼンは日本語で行ったため(発表時に共有した画面には、英訳も記載しました)、こちらの発表が東呉大学の学生に上手く伝わっているのか少し不安にもなりました。

しかし、プレゼン後に少人数グループでブレイクアウトルームに分かれて交流会が始まると、東呉大学の学生たちは笑顔で「こんにちは」と挨拶をしてくれたり、流暢な日本語で自己紹介をしてくれました。
自己紹介が終わった後は、好きなアーティストや漫画、食べ物、それぞれの国のおすすめ、さらには大学生活の話などで盛り上がりました。私たちの方から話題を振ることもあれば、東呉大学の学生からの質問もありました。最初に感じていた「意思疎通ができているのだろうか」という不安は、気がつくと無くなっていました。国境や言語、文化を越えて、私たちは普段「友人と交わすような会話」を楽しみました。

会話が弾んでいたところで時間が来てしまい、別れるときには名残惜しさがありました。同じグループで会話をしていた東呉大学の学生が、全体のZoomルームを退出する直前に画面に向かってハートマークを作ってくれたのを見て、「もっと会話を楽しみたかった、いつか直接会いたい」という気持ちが同じだったらいいなと思いました。

全体的に今回の交流会は、私たちにとっても台湾の学生たちにとっても有意義な時間になったのではないかと思います。しかし、次回このような交流を行うことがあれば、私たちの1年間のゼミにおける研究調査活動の成果を単純にまとめてプレゼンテーションするというよりも、日本と台湾の大学生として互いに知りたいこと、興味があることをあらかじめチェックし、それにもとづいて準備し、相互にプレゼンをし合いたいとも思いました。海外との交流に限らず、誰に対して、何を目標に、どういうニーズがあるからこのプレゼンテーションをするのか、しっかりと私たちのなかであらかじめ確認をし、それを明確にしてから開催することが、今後さらにこうした交流会を充実したものにするために大事だと感じました。

東呉大学で日本語や日本文化を学んでいる学生さんたちと、またどこかで再会できることを願って。
再见。

東呉大学との国際文化交流会を終え、ウクライーナの惨状を憂いながら、「学ぶことへの尊さ」を感じる
社会学科3年 有沢ゆうり

東呉大学の学生たちのマスクから覗いた、はにかんだ目尻が見えた瞬間、ほっと一息つくことができたとともに、これまでの日々が蘇ってきた。

思えば、私のゼミ生活はオンラインにあった。担当の地域宗教班は、久留里地域の寺社を対象に、地域宗教と久留里の人びとの関わりやその歴史について、現地で調査を進める方針だった。しかし、収束しないコロナ禍の状況を鑑みて、夏の現地におけるフィールドワークを断念して、オンラインでのインタヴューに切り替えた。調査報告や作成したプレゼンテーションのフィードバックやブラッシュアップも、ゼミ生それぞれの自宅からオンラインで実施することになった。思い通りにいかないもどかしさと、現地の雰囲気や地元の人びとの声に現場で触れられないことへの不安も募った。しかし、いまから思えば、そのオンラインに満ちた準備期間や交流の仕方を身につけたからこそ、海をも越えた学生たちとの触れ合いを成功させたいという、強い意欲にもつなげることができたのだろう。

「果たして、本当に私たちのプレゼンテーションは届くのだろうか」。異国である私たちの生活や文化に実際どれほど関心があるのか、言語の壁を乗り越えことができるのかと、少し緊張感も抱きながらZoom教室を開いてみると、東呉大学の一教室を覗き込んでいるような気持ちに直ぐになることができた。東呉大学側の教室の喧騒、宥める先生の声、戸惑いつつも好奇心が滲む表情を浮かべた台湾の学生たち。こちらはそれぞれ自室にいるにも関わらず、同じ時間を共有している東呉大学の学生たちの空間への臨場感がひしひしと伝わってくる。

いよいよ、それぞれの班がこの1年の集大成として持ち寄ったプレゼンテーションを披露し終え、ブレイクアウトルームで少人数での交流会の機会になった。自己紹介で、出身地や趣味、アルバイトについて話すと、共感して頷いてくれた東呉大生の表情に安堵した。「日本語を学び始めたのは、大学から。日本にも行ったことがあります。東京に湘南、鎌倉、川越...」。彼らの学びへの高い意欲と日本への関心、何より圧倒されるような日本語能力のおかげで、ありのままの姿で交流会を進めることができたと思う。

「大学の場所はよいのだけれど、交通が不便なんだ」「通学は往復3時間。MRTというカラフルな電車で通学しています」などと東呉大学側から紹介があると、「うち(明治学院大学)も一緒だ!」「ゼミの中でも、電車を乗り継いでくる人がほとんどだよ」という言葉に、親近感が芽生えた。「先生は自由に生きる人です。真横にいるから大きな声では言えないけれど」と声を潜める、ユーモアに溢れた一面にも笑みが溢れた。緊張した面持ちで交流会に参加した私たちだったが、終了時には興奮と達成感で思わず頬が上気していた。

今回の交流会で感じたものは、何より「学ぶことへの尊さ」だった。次回は、ウクライーナのオデッサ大との交流会だと台湾の学生たちに告げて終了したZoom教室だったが、つぎにいつ開かれるのかは現在定かではない*。「仲間たちや先生と、思う存分に学べる場は当たり前ではない」。日々目に入るウクライーナの惨状を憂うとともに、自分たちが手にしている学びの機会へのありがたみが身に沁みた。東呉大学との交流会で感じた「国境を超えて、時間や思いを共有し、共感し合う喜び」を、ウクライーナの国立オデッサ大の学生たちに伝えられる日が来ることを願って。

*岩永ゼミとウクライーナ国立オデッサ大学との第二回グローバル文化交流会は、2月25日(金曜日)に予定されていました。前日の24日まで開催の予定でいましたが、25日の午前2時、すなわちウクライーナ時間の24日午後7時に、オデッサ大学のオルガ先生から「ロシア軍の侵攻により、残念ながら教員も学生たちもすでに町を離れてしまいました」と連絡が入り、交流会は延期になりました。第三回目の文化交流会が3月17日に予定されていますが、情勢は予断を許しません。ロシアによるウクライーナへの軍事侵略を強く非難したいと思います。また、ウクライーナの土地がずっとウクライーナの人たちのものであることを祈ります。同時に、国内や国外に避難している国立オデッサ大学の先生や学生さんたちが無事でいてくれることをお祈りします!(岩永真治)

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