私たちのゼミでは、都市と環境をいろいろな側面から考えるために、4つのグループに分かれて現地見学を行ないました。今回は、そのうち2つのグループを紹介します。
「フードロスと東京八重洲」
私たちのグループはフードロスに関心を持ち、東京都の中央区八重洲で開催されている「Beeat!!八重洲」を訪れました。「Beeat!!八重洲」は「おいしい食の未来」を体験・楽しめる場とし誕生し、期間限定のピザをはじめとした種類豊富なメニューが販売されています。世界全体で食糧危機や水不足の問題を抱える中で、大豆ミートを活用した料理など環境に配慮した様々なメニューを通じて、身近に環境問題を考える機会となり、食べ物の新たな可能性を感じました。また、うわべの情報と実際のギャップにも驚かされ、調べただけで知った気になるのではなく、足を運び、自らが体験することの重要性を再度認識し、今後に活かしていきたいと考えています。
佐藤実優
「都市型商業施設の屋上緑化プロジェクト」
私たちのグループは、ミッドタウン日比谷と東急プラザ銀座の屋上庭園を訪れました。事前調査において、屋上庭園はデパートや複合施設の屋上に、広いスペースを設けて憩いの場として設置されたもので、都内で緑を感じられる穴場スポットであることを理解した後、
主に環境への配慮がどのようになされているか、場所によってどのような特徴が見られるか、共通点・相違点はあるかという観点から比較してみることにしました。
まず、実際に現地に訪れた印象として、東急プラザ銀座のキリコテラスは「緑を感じられる非現実的なオシャレ空間」の演出やデザインを意識していると感じました。対して、ミッドタウン日比谷は「鮮やかで明るい大自然空間」という、全く異なる印象を持ちました。
これは一つの相違点であると言えます。
他にも、この日の利用者の様子から、ターゲット層の違いに注目しました。キリコテラスではショッピングモール内でお昼をテイクアウトし、休憩をとっている方が多く見られたことから、お買い物中のリフレッシュというよりはお仕事の会議や、休憩に使用されることが多いのではないかと考えました。
一方、ミッドタウン日比谷ではお買い物に疲れ、日陰で涼しんでいるご家族がいらっしゃり、子供たちはアイスを食べながら遊んでいる様子が見受けられたため、噴水もある広々とした空間はショッピングに飽きやすい子供たちにとって、楽しい空間となっているのではないかと考察できます。
また相違点だけでなく、2つの共通点も挙げられます。
一つは、使用されている木材が環境に配慮した間伐材であり、建物に温かみ、柔らかい印象がもたらされていることです。もう一つは、床の素材や人工芝、緑の設置の仕方など、暑さ対策への工夫が見られることです。ただ、暑さ対策には今後も改善が必要だと感じたのですが、環境への配慮をしながらの暑さ対策が課題となるのではないかと思います。
このように実際に行ってみると、地理的距離が近い場所でも、建物によってターゲット層が異なり、空間構造やデザインが全く異なるということ、環境への配慮と利用者への配慮の両立の難しさという課題を発見できました。今回は訪れやすさを重視して近い場所で比較したので、今後は遠い場所での比較検討と、別の視点からの分析もしてみたいと思いました。
(Y.A.)