3年生の演習Ⅰでは、江原由美子さんの名論文「からかいの政治学」の精読から始め、三橋順子『これからの時代を生き抜くためのジェンダー&セクシュアリティ入門』、河野真太郎『戦う姫、働く少女』などの文献購読を通して、現代社会におけるジェンダー問題について勉強しました。
4年生の演習Ⅱ(大学院生も参加)では、最初に戸田山和久『最新版 論文の教室:レポートから卒論まで』を、練習問題を解きながら読み通した上で、毎回の進捗報告とディスカッションを通じて、各自の卒業論文をじっくりと仕上げていきました。
9月には3年生・4年生・大学院生合同の夏合宿をホテルラフォーレ那須で行ない、3年生は各自が自由に本を選びその内容について報告する読書レポート、4年生と院生は修士論文の中間報告を行いました。
それぞれの論文が完成した後の2月には、全学年合同で「ゼミ論文・卒業論文・修士論文発表会」を白金校舎で行ないました。
私のゼミのテーマはジェンダー/セクシュアリティに関わるさまざまな社会問題を知ることですが、このテーマについての知識を増やす以上に重視している目標は、やや専門的な文献をしっかり読める力と、他人の話をしっかり理解できる力を鍛えることです。その次に来るのが、物怖じせずにディスカッションを行なうメンタリティを養うことです。
どんなテーマについて学ぶにせよ、一定以上の読解力と語彙力が不可欠です。最近の教育をめぐる議論では、アウトプットのスキルがことさらに強調される傾向がありますが、文献を読みこなしたり他人の話を正確に理解する力、つまり充実した「インプット力」がなければ、中身のある議論もプレゼンもできるはずがありません。
ゼミに集まってくれた学生諸君が、1年弱の活動の中でも、目に見えてそうした知力を伸ばしていく様子を見るのは、教員にとっても何より嬉しい経験でした。一人ひとりが、ここで学んだことをこれからの生活に生かしていってくれることを祈っています。(文責・加藤)