明治学院大学

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社会学部

日々の社会福祉学科

日々の社会福祉学科

ディーセント・ワークにつながる質の高い教育をカンボジアの子どもたちに(担当教員:明石留美子)

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2022年度も、福祉開発コースの2年生13名と共に、カンボジアの貧困家庭の子どもたちにオンラインで学習支援を行う国際フィールドワークを行いました。この授業では、カンボジアをフィールドとして、開発途上国が直面している課題を理解し、グローバル・マインドを高めることを目的としています。またフィールドワークでは、Win-Winであることを大事にしています。国際学習支援を通して、日本の学生だけではなく、カンボジアの子どもたちにもグローバル・マインドが育ち、共にグローバル人材として成長していくことを目指します。国境を超えてつながることで、双方にプラスとなるフィールドワークです。

授業では、まず発表やディスカッションを通じてカンボジアについての知識を深め、学習支を準備します。今年度は、6月から12月に夏休みを除き週1回のペースで学習支援を行いました。秋学期後半にはSDGsコンテストにチャレンジし、現在、結果を待っているところですが、コンテストへの参加は、これまでの学習や活動を一丸となって体系化させる機会になりました。

ひろしまハウスとのパートナーシップで行う学習支援
20230222-02.png学習支援は、NPOひろしまハウスとのパートナーシップで進めていきます。ひろしまハウスは、カンボジアの貧困家庭の子どもを対象に、給食付きの学習支援を行なっています。ひろしまハウスに通う子どもたちにとって日本語学習は必修であり、私たちは彼らに日本語を教えます。
日本語ネイティブだからといって、教えることは簡単ではありません。日本語教育の教材を参考に教授法を学び、私たち独自の教材を作っていきます。授業から取り残される子どもがいないように、初級、中級、上級のクラスに分けて授業を行なっていきます。授業には、社会福祉学科生としての専門性を取り入れ、自信がつく、自尊心を高めるなどの社会福祉の要素を取り入れ、私たちだからこその授業を組み立て行きます。右は作成した教材の一部ですが、社会福祉にとって大事な概念である、ストレングスの視点を取り入れています。

課題にアジャイルに対応する 
20230222-03.jpg子どもたちとの授業は楽しく進みますが、いくつもの課題に直面しました。カンボジアの教育制度は午前と午後の2部制となっているため、生徒が学校のスケジュールに合わせて交代し計画通りに授業を進められないこと、学習支援はひろしまハウスの現地の先生たちとの協働で進行しますが、より良い職を求めて先生が突然辞職してしまうことなどです。開発途上国特有のこれらの課題に遭遇する中で、学生たちの迅速な対応力が磨かれ、アジャイル(素早く対応できる)人材へと成長していきます。

20230222-04.jpg最後に、カンボジアの生徒たちからメッセージが送られてきました(右)。日本語学習への強い意欲が読み取れます。カンボジアの貧困家庭の子どもたちが、望む教育を受け、将来、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に就いていけることを願って、学習支援を行ってきました。


(学生レポートから)

「学ぶことの意味について」

学ぶことは人生の選択肢を増すことや、自己実現のために重要である。ひろしまハウスの生徒に日本語学ぶ理由を聞いたところ、日本語の先生になりたい、Jリーグの選手になりたい、といった理由があった。一方で、カンボジアの教育の現状として、公立学校の給与が低いことなどから教員の質が低いという現状がある。また、進級していくにつれて、家庭教師をつけたり、有料のエクストラクラスを受ける必要があり、さらに卒業試験や進級試験がエクストラクラスに合わせられてしまう。そのため、エクストラクラス授業料を払えない生徒や家庭教師つけられない子どもは進学や進級することができないという現状がある。このような教育システムの中で、公立学校があるということだけが平等だと言えるだろうか。このような学習を受ける機会の格差の問題は日本においても同様に抱えている。
このような学びの格差は進学、就職へと繋がっているため、経済格差が再生産されてしまうということも大きな問題である。経済状況を理由に自己実現や夢を諦めざるをえないという状況は子どもたちのウェルビーイングに繋がらないため、家庭環境や経済格差によって学習の機会を左右されないための支援が必要である。
学ぶことでスキルを身につけることは、自分に自信がつき、自己肯定へと繋がる。ひろしまハウスの生徒も活動を通して日本語を話すことに自信がついてきていた。学ぶ機会を持つことは、自分に自信をつけること、そしてより多くの人生の選択肢を持つことができるため、ウェルビーイングのために必要不可欠である。(S)

「子どもたちと作り上げたグローバルに誇れる活動」

私たちは、2022年度カンボジアFWにおいて、カンボジアの貧困家庭の子どもたちに教育支援を行うNPO、ひろしまハウスとのパートナーシップのもと、約半年間、zoomでカンボジアの子どもたちに日本語を教える国際学習支援交流を実施した。この交流を行うにあたり、プレゼン発表を通して、カンボジアの基本情報や歴史、経済、教育の現状等を学んだ。
また、私たちは普段の学習分野である社会福祉的要素を取り入れることをテーマとして掲げ、単に教材を作成して子どもたちに日本語を教えるだけでなく、ソーシャルワークの視点を取り入れて授業を行なった。具体的には、子どもたちが授業から取り残されないようにするために、日本語習熟度別に初級・中級・上級の3つにクラスを分ける、上達したら褒める、丁寧なフォローを欠かさないなどだ。
この活動を通じて、子どもたちの日本語習熟度に大きな変化があったことは、子どもたちと共に授業を作り上げてきた私たちにとって、とても誇らしいことだ。加えて、日本で働きたい、日本の規律について勉強したいという子どもたちの将来の手助けができたことや、日本語学習に熱心な子どもたちと、1回45分という短い時間ではあったが、充実した時間を共に過ごせたことは、私たちにとって大きな財産となる。
現在私たちは、今回の活動を、朝日新聞が主催している、大学SDGs ACTION! AWARDS 2023で発表するための準備期間に入っている。準備にあたって、ひろしまハウスの方々へのインタビューや自分たちの活動を振り返ってみても、私たちの活動は、日本に、グローバルに誇れる活動だったと確実に言えるものだった。(K)

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