(キーワード)
コミュニケーション、サブカルチャー、ジェンダー、性的マイノリティ、ソーシャルメディア、ポストフェミニズム
この演習では、ギデンズがいうところの後期近代の日本社会を対象に、人びとの価値観やコミュニケーションが以前と比べてどう変わったのか、なぜ変わったのかを具体的な例から考えていきます。
グローバリゼーションの進展を背景に、家族、企業、地域社会、科学技術など従来人びとのシェルターとなっていたものが揺らいでいき、社会の複雑性、不確実性が上昇しているように受け止められています。その時、人びとの価値観はどのように変容し、コミュニケーションはどのような形をとるのでしょうか。こうしたことに関して、主にインタビュ ーや社会調査データを使った文献を読んでいきます。
その時に、いわゆる一般常識を疑うところから始めます。
・日本では性的マイノリティへの寛容性は高くなったという。ではなぜ家族や友人にカミングアウトできない状況が続いているのだろう?
・SNS が登場したために若者の人間関係が息苦しくなっているといわれているが本当だろうか? 原因は別のところにないだろうか?
・同調や横並びを批判するのはいいが、それは日本独特のものだろうか?
具体的には、①性的マイノリティを例に、異質な他者に対する社会的包摂や寛容性の拡大と問題点を議論します。また②SNS などソーシャルメディアやマッチングアプリにおけるコミュニケーションの特性に関して、理論と統計データに基づく分析結果を解釈し、③文化の意味について考えます。渋谷などの都市論やストリートファッション論で優れた卒論が生まれました。
(1) 前半は文献(日本語、英語)を輪読します。グループに分かれて発表をしてもらいます。自分の発表を「具体的に」説明しなおす訓練をします。
(2) 原則として毎月レポートを提出してもらいます。
(3) 後半はフィールドワークや質問紙調査を行い、その成果をゼミ論にまとめます。
後期近代の価値観とコミュニケーションを学ぶ入門書として次のものを挙げます。
●ケン・プラマー『21 世紀を生きるための社会学の教科書』(2021)ちくま学芸文庫 1章~3 章のみ
○森山至貴(2017)『LGBT を読み解くクイア・スタディーズ入門』筑摩新書
○林・石川・加藤(2022)『若者の性の現在地』から 1 章、5 章、9 章 勁草書房
○高橋幸(2020)『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど』晃洋書房
○打越正行(2019)『ヤンキーと地元』筑摩書房
○河野真太郎(2017)『戦う姫、働く少女』堀之内出版