この演習1では、戦後の日本の高度経済成長期に着目し、家族が画一化する側面について学んだ上で、近年の家族の多様化と言われる現象が何を意味しているのかを考える。とくに、子どもが育つ環境としての家族に注目し、現代の子どもたちが経験する家族変化(family transitions)を検討していきたい。例えば、親の離婚・再婚・継親子関係を経験するステップファミリーの子どもたちとその親子関係の複雑さとその社会的な背景に眼を向ける。さらに、難民・移民など国境を越える経験や国際結婚によって複数文化圏に関わりを持つ家族で育つ子ども(および親)の経験にも関心を拡げたい。その際、子どもや親にとっての重要な個人間ネットワーク、当事者支援(セルフヘルプ)組織や公的支援機関、さらには法制度や社会政策の役割にも注目したい。
・毎回、発表者の報告とそれに基づく討論を行う。取り上げる文献についてしっかりと読み、自分なりの論点を整理して、ゼミに臨むことが重要。欠席・遅刻をしない、沈黙しないことを目指してほしい。
・春学期に読んだテキストに自分が独自に探して読んだ文献を加えて自分のテーマを設定するための中間レポート(6000字以上)を書き、夏休み明けに提出する。
・秋学期には各自が設定したテーマをさらに追究し、ゼミで発表・討論しあうことを通して、学年末には「ゼミ論」(12000字以上)にまとめてもらう。新型コロナウイルス感染状況次第、履修者の人数次第だが、個人単位あるいはグループ単位で、フィールドワークに挑戦する。それを発展させて卒論に結びつけられるようなテーマとフィールドの開拓を目指す。
・ゼミの運営では、電子メールやmanabaで情報共有・コミュニケーションを行う。こまめなチェックと反応(返信)を習慣づけてほしい。
どのような文献を取り上げるかは、ゼミメンバーの問題関心も加味して決定する。とりあえず、下記の文献が入門的な講読文献候補である。数冊の書籍を購入してもらうことになる。また、『家族社会学研究』誌など専門誌掲載の論文などを適宜取り上げる。
*ゼミ合宿などについて:
夏期休暇中(例年9月前半)に2泊3日程度のゼミ合宿を行う予定(基本的に全員参加)。例年、各自の中間レポートの進行状況の報告、チーム対抗ディベートなどを行う刺激に満ちた合宿になっている。大学院生や卒業生との交流の機会になることも。