明治学院大学

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社会学部

社会学科

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藤川 賢

Ken Fujikawa
教員紹介プロフィール写真
7-1001(ヘボン館10階)
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fujikawa@soc.meijigakuin.ac.jp
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近年の研究テーマ

地域格差などにかかわる環境問題を中心に勉強しています。公害が差別を生むのではなく、差別が公害を生んだのだという言葉があるように、環境問題はさまざまな格差と深くかかわっており、それはグローバル化の中でより深刻化しているように見えます。それについて、国内外の公害発生地域における地域復興、廃棄物問題委への対策、過疎化する地域でのコミュニティの維持などの事例を追うことで、問題解決過程を明らかにすることをめざしています。

近年は、福島原発事故後の地域生活の再建が中心的な調査テーマです。歴史的経緯や汚染の度合いなど条件もさまざまなのですが、地域再建に向けた条件や過程の多様さの中にも、やはり過去の環境汚染問題で見られた課題が再び立ち現れているようです。

関連して、経験と教訓の継承などについても考察しています。問題の風化は、地域格差などと深くかかわり、似たような環境汚染問題が場所や原因を変えながら繰り返される一因でもあります。被災した地域がどのように新たな姿で立ち上がるかは、問題解決にとっても、また、今後の問題再発防止にとっても重要な意味を持ちます。再建の課題を被災地域・被災者だけに押し付ける結果にならないよう、どうすれば社会全体で取り組めるのか考えています。

担当授業

主な学部担当授業

  • 環境社会学
  • 地域環境論

主な大学院担当授業

  • 環境社会学研究

主な業績

著書

  1. 藤川賢、友澤悠希、編『シリーズ 環境社会学講座 第1巻 なぜ公害は続くのか−潜在・散在・長期化する被害』 新泉社、2023年
  2. 飯島伸子、渡辺伸一、藤川賢、共著『公害被害放置の社会学』、東信堂、2007年
  3. 藤川賢、渡辺伸一、堀畑まなみ、共著『公害・環境問題の放置構造と解決過程』、東信堂、2017年
  4. 藤川賢、除本理史、共編『放射能汚染問題はなぜくりかえされるのか』、東信堂、2018年
  5. 藤川賢、石井秀樹、共編『ふくしま復興 農と暮らしの復権』、東信堂

論文

  1. 「Indigenous Health Problems in Remote Australia」『明治学院社会学・社会福祉学研究』119:1-31、2005年
  2. 「公害被害放置の諸要因-イタイイタイ病発見の遅れと現在に続く被害」『環境社会学研究』11:103-116、2005年
  3. 「福島原発事故における被害構造とその特徴」『環境社会学研究』18:45‐59、2012年
  4. 「原発事故の被害と復興過程の同時進行が意味するもの」『環境と公害』50巻4号、36-41、2021年
  5. 「在日外国人をめぐる環境格差の歴史と課題」『明治学院大学社会学部付属研究所年報』52号、27-40、2022年

その他

  1. (共著)渡辺伸一代表『イタイイタイ病およびカドミウム中毒の被害と社会的影響に関わる環境社会学的研究』(科研費報告書)2004年
  2. (項目担当、編集補助)『環境事典』旬報社、2008年
  3. (項目担当、編集補助)『環境総合年表-日本と世界』すいれん舎、2010年
  4. (共著)『地域における公害経験の社会的活用に関する比較研究』(科研費中間報告書)2011年
  5. (項目担当編集補助)「A General World Environmental Chronology」Suirensha

メッセージ

感染症対策の中でつながりの重要性が再認識される一面があるとはいえ、利害の重視や対立など、関係性への視点の単純化が近年さらに強まっているように感じます。その中にあって地域や環境などは、定義や範囲が変わり得る関係性なので、その柔軟さを大事にしたいと思っています。自分でもつい「どちらがよいか」などの観点から物事を見てしまいがちですが、ゼミなどではできるだけ「べき」論にとらわれない自由な関心からの調査、考察を活かしていきたいところです。

ゼミ紹介

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*テーマの説明

多くの環境問題は、人とのつながりの中でこそ考えるべき課題をもっています。たとえば安全な水や食物を確保する際にも「自分の」安全や関心だけを満足させることは困難です。それらは、「私たちの」課題としても捉えられることで環境問題として成り立っているのだと考えられます。そういう意味で、環境について考えることは、「私たち」という範囲をどのように捉えるかという主題にも通じるものです。

こうした関係性は、家族や地域、国家といった古典的な集団から、世代や階層、活動や関心を共有する集団、消費者といったような分類など、多様な範疇について想定しうるものであり、現実にもそうした呼びかけを耳にします。国際企業による画一的な世界市場化にたいする「もう一つのグローバリズム」といった主張も、その一つでしょう。環境問題に関しては、むしろ別の地域や社会との関係が主題にあがってくることが多いようです。

そこで、このゼミでは、地域や環境に関する具体的なテーマを追求しながら、私たち自身と遠近さまざまな社会との関係を探っていきたいと考えています。消費者、生活者、市民、個人など、いろいろな言葉で表される私たちの位置を見直し、そこから社会的な活動につなげていければうれしいです。

具体的なテーマは相談して決めます。この数年は、公害・原発問題のほか、防災や地域づくりにかかわる勉強をすることも増えてきました。文献研究だけでなく、グループワークやフィールドワークなどを通して、一緒に学びながら、自分のテーマを探していきましょう。

*主要な参考文献

  • 飯島 伸子  『環境社会学のすすめ』 丸善
  • 嘉田 由紀子 『環境社会学』 岩波書店
  • 鳥越・帯谷編 『よくわかる環境社会学』 ミネルヴァ書房
  • ヴォルフガング・ザックス編 『脱「開発」の時代』 晶文社
  • ウルリッヒ・ベック 『危険社会』 法政大学出版会
  • King & McCarthy ed Environmental Sociology Rowman & Littlefield
  • Spaargaren et al Governing Environmental Flows MIT Press
  • Roger S. Gottlieb The Ecological Community Routledge

*ゼミのすすめ方・ゼミ合宿・ゼミ雑誌などの状況

合宿や調査企画などについては、相談しながら決めていきます。

学年末に、一人あたりA4(40字×40行)で10枚程度の報告ないしレポートを提出してもらう予定です。例年それをもとにゼミ論集(ファイル版)を作成しています。

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